必須ミネラルのうちの一つの硫黄は体内では含硫アミノ酸の構成成分として存在する

硫黄はミネラルの一つであり、体内ではカルシウム、リン、カリウムに次いで4番目に多く存在します。

硫黄というと独特のにおいがする成分ですが、通常はアミノ酸と結合することによって含硫アミノ酸として存在しています。

茹で卵が独特なにおいを持つのは硫黄によるものであり、卵の白身にはメチオニンやシスチンが含まれています。

卵が加熱によってアミノ酸と硫黄が分離して異化水素とともににおいが発生します。

蛋白質が身体のあらゆる組織を作るのに硫黄は欠かせないミネラルです。





 

アミノ酸等の栄養成分と結合

硫黄は食品中や体内では単一では存在せず、アミノ酸やビタミン類等の栄養成分と結合しています。

硫黄とアミノ酸が結合したものの総称を含硫アミノ酸と呼び、代表的なものとして、メチオニン、シスチン、ホモシステインがあります。

含硫アミノ酸が身体に有益に働くにはメチオニンが大きく関わります。

メチオニンとは必須アミノ酸の一つであり、次の働きがあります。

  • シスチン、タウリン、カルニチンの生成
  • セロトニン、ドーパミン等の材料として
  • 記憶力、学習力の向上
  • 肝機能維持
  • 抗アレルギー
  • 免疫力の向上

硫黄はアミノ酸の他にも、ビタミンB1やビオチン、硫化アリル等の栄養成分とともに様々な効能を発揮します。

これらは含硫アミノ酸として次のように有益に働きます

  • ケラチンの生成
  • 美白効果
  • 自律神経の調整
  • 肝機能維持
  • 抗アレルギー、免疫力の強化
  • 筋肉の生成
  • 生活習慣病の改善

 

ケラチンの生成

シスチンとはメチオニンによって生成される非必須アミノ酸であり、ケラチンの主成分となっています。

蛋白質の中で体組織の構成に関わるメチオニン、シスチンは、ケラチン生成します。

ケラチンは爪や髪、角質等の形成に関わります。

爪や髪を美しくし、肌のバリア機能として肌を外敵から守ったり、皮膚の潤いを保ちます。

亜鉛及びビオチンと一緒に摂るとケラチンの働きをサポートすることによって、これらの効能に更に期待があるでしょう。


 

美白効果

シスチンにはチロシナーゼの働きを抑制するとのことです。

チロシナーゼはメラニンを作る酵素であり、シミの原因になるものです。

シスチンはビタミンCと協力することによってメラニンそのものに働きかけ、シミの生成を抑制します。

また、両者が協力することによって、一度出来てしまったシミを目立たなくするとのことです。

シスチンは肌の新陳代謝を促進することからも、美白効果や美肌効果に期待があります。


 

自律神経の調整

メチオニンにはセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの材料としての役割があります。

タウリンはメチオニンによって生成されます。

タウリンにはGABAを活性化させる働きによってストレスや不安を軽減したり、グリシン受容体を活性化させることによって不安を軽減させると言われます。

タウリンは抑制性神経伝達物質をしての機能もあるとのことです。

硫黄はビタミンB1との関係性もあり、ビタミンB1は脳の栄養源であるブドウ糖を代謝するときの補酵素として利用され、脳機能や神経機能の向上に寄与します。

硫化アミノ酸は葱等の硫化アリルを含む食品にも含まれるため、硫化アリルによってビタミンB1の働きを増強させます。


 

肝機能維持

メチオニンによって生成されるタウリンには胆汁酸分泌促進、アルコール代謝促進、中性脂肪の排出促進、解毒作用があることから、肝機能維持を図るとのことです。

硫黄はイソチオシアネートの成分の構成に関わり、イソチオシアネートの酸素原子を硫黄原子で置換することによって得られます。

肝臓に侵入した有害物質を無毒化して解毒効果を高めることによって、肝臓を活性酸素や炎症から守ります。

 

抗アレルギー

メチオニンには血液中のヒスタミン濃度を下げる働きがあることから、抗アレルギー作用があると言われます。

ビオチンにもヒスタミンの濃度を下げる働きがあることが知られており、更にビオチンはアレルギー物質を尿中に排泄させる働きがあります。

イソチオシアネートには強い抗炎症作用があり、花粉症やアトピーの予防に有効的とのことです。




 

筋肉の生成

含硫アミノ酸であるメチオニンはアミノ酸の中でも蛋白質の合成に関わっています。

含硫アミノ酸にはテストステロンを活性化させる働きがあることが知られるようになり、筋肉の生成や男性らしい身体を作ることで注目されています。

果物にはプロメリンというテストステロンを増やす酵素が含まれています。

ただし、プロメリンは熱に弱いため、生の果物から摂るようにしましょう。

 

生活習慣病の改善

含硫アミノ酸はテストステロンを増やすことから、体脂肪率を減少させると言われます。

テストステロンにはエネルギーの消費を高める働きがあり、エネルギーとして利用されたり、脂肪燃焼を促します。

エネルギーの消費にはビタミンB群が欠かせません。

この体脂肪とは糖分との関係性もあり、ビタミンB1と摂ることによって正常に利用されます。

含硫アミノ酸は肉や魚以外にネギ類にも含まれると言われています。

ネギ類には硫化アリルが含まれ、ビタミンB1の働きを助長します。

しかし、男性が更年期を迎えるとアンドロゲンの分泌量の低下とともにテストステロンの分泌量も減り、糖質が代謝されずに蓄積することによって内臓脂肪が付きやすくなります。

また、アンドロゲンの分泌量の低下は男性の更年期障害と関連性があると示唆されています。


 

癌予防

メチオニンはセレンと共に重金属や有害物質の排泄に関わります。

強いデトックス作用とともに、セレンは強い抗酸化作用を得られることから癌予防に期待があります。

イソチオシアネートの一つであるスルフォラファンには解毒作用強い殺菌作用があると言われます。

スルフォラファンの強い殺菌作用によってピロリ菌に作用することから、胃癌予防に期待があります。


 

硫化アリルを含む食品

硫化アリルを含む食品には以下のものが挙げられます。

  • 鶏肉
  • 牛肉
  • 魚類
  • 豆類
  • ナッツ類
  • 葱、にら、にんにく、ミョウガ、玉葱等の香味野菜
  • チーズ
  • 全粒小麦

 

ホモシステインは悪影響を及ぼす

含硫アミノ酸は男性にも女性にも嬉しい働きがありますが、摂り過ぎにはリスクがあります。

認知症の原因にはホモシステインの上昇が原因として挙げられています。

ホモシステインとはメチオニンの代謝における中間生成物を言います。

ところがこのホモシステインは身体に様々なデメリットをもたらしてしまいます。

ホモシステインはメチオニンの過剰摂取や代謝異常によって生成され、血液中のホモシステイン濃度が高くなることによって様々な症状を呈します。

  • 活性酸素の過剰産生
  • 血管トラブル
  • カルシウムの沈着
  • 動脈硬化
  • 血栓症
  • 網膜症
  • 認知症
  • 男性機能の低下
  • 骨のコラーゲン劣化

メチオニンが正常に代謝されるためには、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12を摂ることが必須となります。

血中ホモステイン濃度が高くなる要因として、飲酒、喫煙、腎機能低下、加齢によるものがあります。

また、血中クレアチニン濃度が高いとホモシステイン濃度が高くなりやすいと言われます。


 

サルフェートとは

サルフェートは硫酸塩のことで、ヨーロッパの地層に含まれている成分で日本の水の成分ではあまり見られません。

サルフェートはカルシウム、マグネシウム、硫酸基が結合して出来ており、ミネラルウォーターの成分として使用されています。

サルフェートには強い利尿作用があることが知られています。

サルフェートは血液中や体組織内にある老廃物や有害物質を腎臓に回収し、利尿作用によって体外に排出します。

サルフェートは排便効果によって老廃物を排泄させることから、腸内環境改善に良いとされます。

腸内環境改善は体質改善にも繋がり、太りやすい体質の改善、免疫力アップ、アレルギー体質の改善、脳機能向上等に期待があります。

サルフェートの強いデトックス効果によって得られるものは新陳代謝の促進と言われます。

新陳代謝が促進されると細胞のターンオーバーが早くなる為、肌の若返りや細胞の修復に役立ち、外見内面とも健康的になれることに期待があります。

 

まとめ

硫黄は栄養素と結びつくことによって以下のような効能に期待があります。

  • ケラチンの生成
  • 美白効果
  • 自律神経の調整
  • 肝機能維持
  • 抗アレルギー、免疫力の強化
  • 筋肉の生成
  • 生活習慣病の改善

含硫アミノ酸は男性にも女性にも嬉しい働きがありますが、過剰摂取は却って身体に弊害をもたらしてしまいます。

過剰摂取や代謝異常を起さないためにも、一つの栄養素に囚われないようにしましょう。

 
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