医療療養型病院の実態

療養型施設には医療療養型と介護療養型の二種類があります。

医療療養は診療報酬に基づき、介護療養は介護保険制度に基づいております。

介護保険制度による施設サービスは特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設がありますが、その中で介護療養型医療施設は3つの中で医療依存度が一番大きいものとなっております。とはいっても、提供する医療行為は限られております。

一方、医療療養型は介護療養型よりはるかに医療依存度が高くなっております。

患者様の医療区分及び介護区分の重度によって診療報酬が違い、要介護状態であり、医療区分が重度であればあるほど診療報酬が上がる仕組みとなっております。

例えば、酸素による人工呼吸が必要な方、気管切開をされている方、痰の吸引が必要な方…という方が対象となり非常に看護業務の多い現場となり、慢性期、終末期の方を抱えています。





 

医療療養型病院の患者の年齢層は意外にも…

…となると、医療療養型病院の患者様は90歳位の超高齢の方が入院されているのではないのでしょうか?と思われがちです。

ところが意外に、思ったほど患者様の年齢は高齢ではないのです。

70代前後の方もいれば60代の方もおり、中には50代の方もいます。しかも50代や60代にして非経口的栄養管理を行っている方も少なくないのです。

暴飲暴食による生活習慣病が引き金になったもの、ストレス、事故、障害など要因はさまざまですが、改善可能なケースの場合はこうなる前に何か予防する術があれば、この患者様達はもっと人生を有意義に過ごせたと思うのにと悔やまれます。

人生100年と言われる今日、これから超高齢化社会に入っていきます。医療療養型病院の需要は高まるという見方をするのも否めないと思います。

しかし、国の財源という部分で見ると、診療報酬による病院の収入が多ければ多いほど、医療費を圧迫させる恐れがあります。

NST介入によって医療費の削減に繋がった報告もありますが、これは医療施設によってメリットになる施設もあればデメリットになる施設もあります。

患者様自身が栄養吸収障害を起こしてしまっているケースや、末期癌で悪液質が見られるケースなど、栄養介入しても改善の余地がない、もしくは栄養介入が却って病状の悪化に繋がってしまい、NSTの意味がなくなってしまいます。

このような場合は寧ろ終末期に向けて多職種による苦痛緩和の為のケアを行った方が好ましいでしょう。

国の財源を無駄にしない為にもDPC加算を導入して、NSTによる早期な栄養管理を行い、早期な栄養介入によって薬剤の使用を削減し、在院日数を出来るだけ短くするという方法は、急性期病院なら医療費の削減に貢献出来ますが、医療療養型では全く状況が違います。

 

身体や心のケアは早くから取り組む

体中に管を通され、針を刺されている姿はとても幸せとは思いません。

仮に自分がもし食事が食べられなくなり、死期が近くなった時、自分ならどうしたいかという会話をすることがあります。

殆どの人が「身体に管を通されてまで延命はしたくない」と答えます。

現在寝たきりの方がそうなってしまった以上、この状況を変えることは出来ませんが、悲惨な老後生活を送らないためにも、食習慣、生活習慣、心のケアは早いうちから行った方が良いのです。

但し、事故や障害については運も関わってくるので、こればかりは避けられない問題です。

食事内容については細かく説明するときりがないのですが、不摂生な食生活は生活習慣病を引き起こす将来が待っている危険性が大きいものです。

そして適度に身体を動かし、適切な睡眠時間をとることが大事です。

ストレスについては軽減できるものもあれば避けられまいものもあります。

大切な人の死別、重大な病気が潜んでいることを宣告された時のように、ショックが大きいものは専門家による介入も必要でしょう。

これが職場によるものであれば、ある程度コントロールが可能になってきます。

働いている以上、何等かのストレスが付き物ですが、身体に支障をきたす長時間労働(休みがとれない、残業代なしの深夜までに及ぶ残業)や、人間関係が尋常でない場合(ハラスメント、例えば仕事で一つでもミスを犯せば、取返しのつかないことをしたと攻め立て、「あなたのやっていることはおかしい」「あなたは無責任過ぎる」といった他人を否定する言葉を用いて暴言を吐く、大勢の前で恥をかかせる…というように、自ら退職を申し出るように仕向ける)は環境を変えないと、精神、身体ともに蝕まれてしまいます。

意外にこのような職場に勤めている方は洗脳されているケースが多いのです。

労働基準法について調べてみると分かりますが、本来職場は従業員にとって快適に働けるように、そして生活を保障出来るように制定されているのです。

 

自分が寝たきりになった時に備えて

また、自分が寝たきりにならない為にも、自分が意思決定出来ない状態になる前に「延命治療は望まない」という意思を残した方が良いでしょう。

万が一自分が意思決定出来ない状態に陥った時、貴方の意思を代弁するのは家族をはじめとするキーパーソンとなります。

そこで家族(キーパーソン)が「長生きしてほしい」と申し出れば、寝たきり生活を余儀なくされてしまいます。

そうならない為にも家族(キーパーソン)の理解も必要ですが…

年齢での寿命を延ばすことはデメリットも伴いますが、健康寿命を延ばすことは老後も本人が本人らしく生きる術であり、介護負担の軽減にも繋がり、更に国の財源の節約にも繋がるのです。

 
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