インスリンと相対的に作用するグルカゴンの役割

グルカゴンは血糖値を上げるホルモンの一つです。

血糖値を上げるというと糖尿病のことが懸念されることから、あまり良いイメージがしないでしょう。

グルカゴンはインスリン同様に膵臓から分泌されるホルモンです。

インスリンは膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌され、グルカゴンはα細胞から分泌されます。

インスリンとグルカゴンは相対的な関係があり、グルカゴンを上手く利用することによって肥満防止に努められます。





 

グルカゴンの働き

グルカゴンの働きには次の4つがあります。

  • 血糖値上昇
  • 脂肪燃焼
  • 蛋白質分解
  • 食欲抑制

 

血糖値上昇

グルカゴンの働きで一番知られているものが血糖値の上昇です。

摂取した糖質は体内ですぐ使われない場合はインスリンによってグリコーゲンに変換され、肝臓や筋肉に貯蓄します。

グルカゴンは肝臓に蓄えられたグリコーゲンを分解することによってグルコースを作り出し、グルコースを血液中に送り出すことによって血糖値を上昇させます。

血糖値は上昇しすぎても身体に良くありませんが、低血糖はかなり深刻な状態をもたらすものです。

低血糖を起こすと倦怠感や眩暈を起します。

これが重症化すると痙攣や意識不明の状態に陥ってしまうことがあります。

血糖値が下がる原因として、糖尿病による血糖コントロールが困難な状況や白砂糖のように血糖値を急激に上げる食品の日常的な摂取、無理な絶食、インスリノーマ、甲状腺機能亢進症などが挙げられます。

 

脂肪燃焼

インスリンは血糖値を下げる一方、太るホルモンと言われています。

炭水化物や糖質は太ると言われていますが、炭水化物を主に含む食品は、食品群の中でも特に血糖値に影響を与えます。

その為、他の食品群よりも血糖値を上昇しやすいことから、それだけインスリンの分泌量を要します。

炭水化物が太るというのは、インスリンに左右されているからです。

グルカゴンはインスリンと相対的に作用することから、グルカゴンは脂肪燃焼を高めると言われます。

それには、脂肪細胞の分解に携わるホルモン感受性リパーゼを活性化させる働きがあるkらです。

リパーゼとは消化液に含まれ、脂肪の代謝に関わる酵素郡であり、大きく分けると二種類あります。

一つは脂肪細胞組織外に存在するリボ蛋白リパーゼであり、血液中の中性脂肪を分解して組織内に取り込ませる働きがあります。

もう一つは脂肪組織内に存在するホルモン感受性リパーゼであり、中性脂肪を分解して血液中に放出する働きがあります。

インスリンはグルカゴンとは対象的にリボ蛋白リパーゼを活性化させて、糖を中性脂肪として脂肪組織に貯蓄させることを促進します。




 

蛋白質分解

グルカゴンは糖新生によって蛋白質から糖を作り出します。

エネルギーとして利用されるには糖質から利用され、次に脂肪が利用されます。

蛋白質からのエネルギー消費はあくまでも緊急時に備えるためのものです。

末期の癌やCODPといったエネルギー代謝が亢進する病気では、糖や脂肪からのエネルギー代謝がたちまち行われてしまうため、糖新生を行うことによって生命の維持を図ります。

その為、癌やCOPDの患者にはるい痩が多くみられるのです。

生命の維持を図るための手段としてグルカゴンが利用されているのです。

 

食欲抑制

満腹中枢は血糖値が上がることによって刺激され、食欲を抑制します。

つまり、血糖値を上げる働きのあるグルカゴンは満腹中枢の刺激による食欲抑制に携わっているのです。

糖質制限食がダイエットに良いと言われるのは、インスリンの分泌抑制とグルカゴンの分泌促進が関連しているからです。

糖質制限をすれば血糖値もそれに伴い上がりにくくなるため、グルカゴンがホルモン感受性リパーゼを活性化して血糖値を上昇させるように働きかけます。

血糖値が上昇すれば満腹中枢に働きかける為、食欲をコントロールすることによって食べ過ぎを防ぎます。

 

グルカゴンと血糖値

健康な場合はグルカゴンが分泌されていても血糖値を正常に維持することが可能ですが、糖尿病にかかると食欲のコントロールが困難になります。

糖尿病に罹るとグルカゴンが満腹中枢に働きかけられなくなります。

その為、常に空腹感との闘いとなります。

食慾のコントロールが難しい上に血糖コントロールも困難となり、インスリンとグルカゴンの調整が上手くいかなくなります。

糖尿病が重症化すると高血糖や低血糖を頻繁に起しやすくなり、その都度、食事や薬物を調整していきます。

また、糖質は太るからといって糖質を抜いてダイエットを行っていても、身体は低血糖から守る為に血糖上昇ホルモンを分泌させます。

しかし、不自然なホルモン分泌はホルモン分泌機能を低下させたり、ホルモンそのものの働きを弱めてしまいます。

グルカゴンの働きが弱くなると「太りやすい」というデメリットに繋がります。

 

まとめ

グルカゴンはインスリンと相対的な働きがあることから、血糖値の上昇や脂肪燃焼促進、糖新生、食慾抑制という働きがあります。

糖尿病を予防することが一番ですが、栄養バランスが基本であることと、糖質を選ぶのなら質を重要視しましょう。

 
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