寿司や刺身と並ぶ最高傑作品の日本の伝統食「納豆」

納豆が庶民の間で食べられるようになったのは江戸時代と言われますが、納豆の歴史は更に昔に遡り、その起源にも所説があります。

納豆には「糸ひき納豆」と「麹納豆」があります。

そのうち麹納豆は中国が起源となっていると言われています。

納豆を食べる文化は、煮た大豆を藁に包んだら大豆が発酵し、食べてみたら美味しかったことから始まったそうです。





 

納豆の栄養

日本料理の優れている傑作品というと寿司や刺身をイメージするかもしれませんが、栄養面においては納豆の方が優れています。

元々大豆は蛋白質が豊富な食品ですが、発酵によって茹でた大豆よりアミノ酸やビタミン類の含有量が多くなります。

納豆に含まれる栄養成分は蛋白質、アミノ酸をはじめ、ビタミンB1、B2、ナイアシン、ビタミンB6、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、鉄分、亜鉛、銅、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナットウキナーゼ、食物繊維、ポリアミン、イソフラボンアグリコン、レシチン、サポニン、5-ALA等が含まれます。

納豆には、次の効能に期待があります。

  • 筋肉の強化
  • 神経伝達物質の形成に関与
  • 記憶力、学習力を高める
  • 鬱や怒りの抑制
  • 興奮抑制
  • 動機や眩暈、立ち眩みを予防
  • 認知症予防
  • 骨を丈夫にする
  • 腸内環境改善
  • 生活習慣病予防
  • 冷えや肩こりの解消
  • 筋肉の硬直を抑える
  • 皮膚の形成
  • 血液凝固抑制
  • 抗血栓作用
  • 血流改善
  • 癌予防
  • 貧血予防…等
  • 脂肪燃焼
  • 疲労抑制

 

アミノ酸が豊富

納豆は蛋白質が豊富なので、アミノ酸摂取に期待出来ます。

原料の大豆には、平均17.5~18.5%の蛋白質が含まれています。大豆が「畑の肉」と言われているのは、この牛肉並みの蛋白質含有量である為なのです。

この蛋白質が納豆菌によってアミノ酸に分解され、納豆の中には旨味の素であるグルタミン酸をはじめ、必須アミノ酸等が大量に含まれています。

さらに納豆菌そのものがアミノ酸を持っているので、極めて多くのアミノ酸を摂取することが出来るのです。

つまり、納豆は「完全アミノ酸食品」なのです。


 

脳や神経を正常に保つ

納豆にはアミノ酸や蛋白質の代謝に関わるビタミンB6が含まれます。

神経伝達物質の機能を正常に働かせるためには、蛋白質の摂取が欠かせません。

そしてブドウ糖の代謝に必要なビタミンB1も含まれています。

ブドウ糖が代謝されると脳の栄養としての力を発揮し、記憶力や学習力を高めるとともに、鬱や怒りの症状をコントロールしやすくなります。

納豆にはセロトニンの生成に必要な栄養成分が含まれ、リラクゼーション効果とともに強い精神力を養います

ナイアシン、カルシウム、マグネシウムには興奮抑制作用があります。

マグネシウムにはGABAを持続させると言われています。

マグネシウムには自律神経を整える働きがあり、これによって動機、眩暈、冷や汗、立ち眩み、不眠、鬱、怒り、不安等の精神的症状を抑制します。

また、マグネシウムは中枢神経に働きかけることから認知症予防にも良いと言われています。


 

骨の栄養

納豆は元々大豆で出来ていることからカルシウムとマグネシウムが含まれます。

茹でた大豆と比べるとビタミン類の含有量が増加します。

納豆にはビタミンB群も含まれていますが、ビタミンKも含まれます。

ビタミンKの含有量は100グラムあたり、糸ひき納豆で600μg、ひきわり納豆で930μg含まれています。

さらに納豆を食べると体内のビタミンKが増えると言われます。

ビタミンKは骨とカルシウムを結合させる働きをします。

このビタミンKは、骨に存在するオステオカルシンを活性化する働きがあり、骨を形成することに関わっています。

脂溶性ビタミンであるビタミンKは、油と摂ることによって吸収が促進されます。

納豆に亜麻仁油やえごま油をかけて召し上がることはこのような観点から理に適っていますし、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取比率のバランスの観点からも理にかなっています。

納豆に含まれるカルシウムやマグネシウムと一緒に摂取出来るので、カルシウムを結合した骨はマグネシウムによって定着され、ビタミンKのサポートによって骨粗鬆症を防ぐ効果に期待があります。

 

シンバイオティクス

納豆は発酵食品であることから善玉菌の摂取源となります。

納豆は食べる前の30分以上に冷蔵庫から出し、常温中に置いておくと納豆菌が増殖して驚くほど軟らかくなります。

粘りも増えます。醤油を加える前に沢山粘りが出る位かき混ぜてから、醤油、薬味をかけると、更に納豆菌の効果をより増強させます。

納豆1gの中に納豆菌が20憶個はいると言われます。

また、納豆には食物繊維も含まれ、食物繊維は善玉菌を増殖させ、腸内環境を整えて善玉菌優位にします。

つまり、納豆はプロバイオティクスであるとともにプレバイオティクスとの働きもある為、立派なシンバイオティクス食品であることが言えるのです。

腸内環境が整えば、当然、老廃物の排泄によって腸管内が綺麗になり、美肌効果や肥満予防、免疫力強化やメンタルヘルスの向上等の様々なメリットを得られることに期待があるのです。

 

生活習慣病予防

そして、納豆には、食物繊維が含まれるので、腸管からの余分な糖分や、中性脂肪の吸収を抑制するとともに、血液中の糖分や、中性脂肪を排出することによって、糖尿病や肥満、脂質異常症等の生活習慣病予防効果に期待があります。

そして、納豆は、カリウムが含まれるので、血液中のナトリウムが過剰になると余分なナトリウムを排泄して血圧を正常に調節すると言われます。

このことによって浮腫み解消や冷え、肩こり、腰痛の解消にも期待があるでしょう。

また、アミノ酸が豊富で立派な栄養源であることから、栄養状態改善による浮腫みの解消にも期待があります。

そして、ナットウキナーゼは、血栓を溶かす働きが強いと言われ、抗血栓薬に匹敵するそうです。

また、ナットウキナーゼにも血圧を調整する働きがあると言われます。

ところで、ビタミンKの血液凝固作用とナットウキナーゼの血栓を溶かす働きは矛盾しているのではないかと思います。

ナットウキナーゼは直接血栓を溶かす働きがある上に、ウロキナーゼという酵素を活性化させる働きもあります。

ウロキナーゼは消化管の表面に存在し、このウロキナーゼも血栓を溶かす働きがあります。

このナットウキナーゼの血栓症予防効果は、血液をさらさらにするために働くことから、このような働きがあると言えます。

一方、ビタミンKの血液凝固促進作用とは、傷口が出来てしまったときに、血漿の中のフィブリノーゲンがフィブリンに変化することによって血液が凝固します。

この時、血液凝固因子であるトロンビンという酵素が働きかけます。

このトロンビンの前駆体がプロトロンビンであり、プロトロンビンの生成にはビタミンKが必要となります。

ビタミンKによる血液凝固促進作用とは、傷口を止血させるための血液凝固作用となるため、中性脂肪やLDLコレステロールによって血液がドロドロになるものとは違うものとなります。

そして、納豆に含まれる脂肪分は、αリノレン酸とリノール酸であり、大豆に含まれているサポニンとレシチンというこれらの成分が、HDLコレステロールを増やしてLDLコレステロールを減らすことから、脂質異常症予防にも良いことが言えます。

ビタミンE、サポニン、5-ALAには抗酸化作用があることから、血液中の中性脂肪やLDLコレステロールを酸化から守り、動脈硬化や血栓の形成を未然に防ぎます。

マグネシウムはインスリン分泌を促しインスリン感受性を保持します。

マグネシウムはカルシウム量を調節することから、筋肉の緊張を緩和して血圧の上昇を防ぐとともに、心臓の鼓動を整えます

つまり、納豆は生活習慣病予防に大いに役立てる食品であると言えるのです。


 

血液をサラサラにする

納豆は発酵する時に「NKCP」という酵素を産生します。

NKCPにはバチロペプチターゼF、ニュートラルプトテアーゼ、細胞外プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、ナットウキナーゼの5種類があります。

このうちナットウキナーゼは血栓症予防効果や血栓を溶かす働きがありますが、バチロペプチターゼFはこれらの作用に加えて血液の粘度強化を抑制する働きがあると言われています。




 

癌予防

納豆にはビタミンEやサポニン、5-ALAといった抗酸化作用を持つ成分が含まれています。

抗酸化作用は細胞の損傷を抑制する働きがあることから、癌予防に良いと言われています。

納豆は大豆製品であることからイソフラボンが含まれていますが、納豆のイソフラボンは発酵によってアグリコンに変換します。

アグリコンには癌細胞の増殖を抑えたり、免疫力低下を抑制すると言われます。

ポリアミンには炎症を抑える働きがあることから、癌の進行抑制に期待があります。

炎症を抑える働きは、風邪やインフルエンザなどの感染症予防やアレルギー症状の抑制にも期待があると言わるでしょう。

そして5-ALAには癌細胞を選択的に死滅させる働きがあると言われます。

 

貧血予防

納豆は植物性食品の中で数少ないビタミンB12が含まれる食品です。

ビタミンB12は発酵によって微生物が生産されることから、大豆由来の発酵食品含まれています。

納豆には葉酸も含まれている為、ビタミンB12とともに悪性貧血の予防や改善に寄与します。

また、赤血球の材料となる鉄分や鉄の吸収を促す銅も含まれている為、鉄欠乏貧血の予防や改善にも良いと言えます。

 

ダイエット効果は本当か?

納豆のダイエット効果は本当か嘘なのかという話ですが、これは嘘ではありません

納豆には、ビタミンB1、B2、ナイアシンなどが多く含まれています。

その中でも特にビタミンB2が豊富に含まれており、煮た大豆の5~10倍も含まれると言われています。

ビタミンB1は糖質がエネルギーに利用されるのに必要な栄養素であり、薬味である葱と一緒に食べるとその効果が増します。

糖質がピルビン酸に変換されるのにビタミンB1とマグネシウムを必要とします。

ビタミンB2は特に脂肪の代謝に関わります。

これには糖質から変換されたピルビン酸がアセチルCoAに変換する必要があり、アセチルCoAに変換することによって有酸素運動下においてエネルギー代謝を行うためのクエン酸回路に移行できるからです。

ピルビン酸がアセチルCoAに変換するにはビタミンB1が酵素として利用されます。

クエン酸回路にてエネルギーが利用されるには、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸が必要となります。

5-ALAにはミトコンドリアを活性化することに関わり、クエン酸回路におけるエネルギー代謝をサポートします。

納豆には、ビタミンB群、マグネシウムが含有されていることから、これらの代謝経路が成り立つのです。

これは、ただ納豆を沢山食べて、ビタミンB1やB2を摂取するだけではありません。

糖質も脂質も運動によってエネルギーを利用するときに活用されます。

ビタミンB1、B2により、疲労感を抑えながら、運動開始時にブドウ糖を消費し、その後の有酸素運動にて体脂肪が燃焼されることによってダイエット効果が現れるのです。

更に納豆自体がアミノ酸を豊富に含みます。

アミノ酸には成長ホルモンの分泌を促進し、成長ホルモンによって筋蛋白合成が促されます。

分岐鎖アミノ酸も摂取出来る為、筋蛋白合成に必要な栄養源となります。

蛋白質が体内で利用されるには、ビタミンB6が必要となります。

このように脂肪燃焼しやすい身体を作るという意味ではダイエット効果がないわけではないのです。

もし、納豆を食べてダイエットをするのであれば、運動することも必須となります。

正しい生活習慣を実施したうえで、納豆のダイエット効果が発揮されると言えるのです。

 

毎日1回摂ると良い

納豆は味噌汁同様に毎日1回は必ず摂ることが望ましいです。

納豆には、納豆菌が作った蛋白質分解酵素・脂肪分解酵素・デンプン分解酵素といった「消化酵素」沢山含まれています。

その為、消化吸収しやすく、納豆の栄養成分も効率的に摂取できるのです。

これらの他にも大豆による栄養的な効能を得ることにも期待があります。

大豆の栄養の詳細については大豆の記事へリンクしてください。

 

注意点

納豆を食べる際の注意点として、ワーファリン剤等の抗血栓薬を服用している場合は、ビタミンKが薬の作用を弱めてしまいます。

この場合は納豆の摂取を避けなければなりません。

 

まとめ

納豆の主な効能についてまとめます。

  • 筋肉の強化
  • 神経伝達物質の形成に関与
  • 記憶力、学習力を高める
  • 鬱や怒りの抑制
  • 興奮抑制
  • 動機や眩暈、立ち眩みを予防
  • 認知症予防
  • 骨を丈夫にする
  • 腸内環境改善
  • 生活習慣病予防
  • 冷えや肩こりの解消
  • 筋肉の硬直を抑える
  • 皮膚の形成
  • 血液凝固抑制
  • 抗血栓作用
  • 血流改善
  • 癌予防
  • 貧血予防…等
  • 脂肪燃焼
  • 疲労抑制

日本料理の定番と言えば寿司や刺身であり、美味しさとともに蛋白質やオメガ3脂肪酸の摂取源としては確かに優れています。

しかしながら、納豆は蛋白質量は動物性食品並みであり、腸内環境改善効果やビタミン類、納豆菌による健康効果が盛沢山なことから、栄養面で寿司や刺身より優れており、何よりコスパが良いのです。

一汁三菜のバランスの良い食事を基本に、1日1回は納豆を食べることが望ましいです。

 
栄養相談、サポート詳細
 

関連記事

最近の記事

  1. 塩は人体の体液の約0.9%を占めており、海水と同じ割合でミネラルが含まれる

  2. 鉱物に含まれる「ゲルマニウム」は一部の食品に含まれる

  3. ベリーをはじめとする赤い果実に含まれるポリフェノール「エラグ酸」は美容効果の他にも生活習慣病予防に期待