砂糖と言えば白砂糖がメジャーですが、健康志向の方の中には白砂糖を避けて黒糖を用いている方もいらっしゃるのではないのでしょうか。
黒糖はサトウキビが本来持っている栄養成分も摂れるので、白砂糖を選ぶのなら黒砂糖の方が健康的と言えます。
ただ、黒糖を使用する際には注意点もありますので、是非、この記事を参考にしてみて下さい。
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総論
サトウキビはイネ科のサトウキビ属に分類され、東南アジアやポリネシアを原産とします。
サトウキビは沖縄、九州。四国等の熱帯地域で広く栽培されています。
サトウキビは常緑の多年草で草丈が高く、約5~6mまで成長します。サトウキビは熱帯地域で栽培されているものの、ある程度の耐寒性があります。
霜に当たらない限り冬場を乗り越えることが可能です。冷たい風に当たると葉が枯れてしまいます。サトウキビには強い大暑性があることから、夏場や熱帯地域で栽培するのが適していると言われています。
サトウキビは、「銅葉サトウキビ」「サトウキビ(バリエガツム)」「サトウキビ(竹糖)」の3つの品種に分かれます。
銅葉サトウキビは葉の色が銅の色となっているのが特徴です。銅葉の色を良くする為には日によく当てることです。
バリエガツムは班入りの葉を持っているのが特徴です。
竹糖は主に四国地方で栽培されており、小型という特徴があります。
黒糖の栄養成分について
サトウキビから作られる黒糖には亜鉛、カリウム、カルシウム、鉄分、マグネシウム、ビタミンB1、ビタミンB2が含まれています。
このほかにラフィノース、オフタコサノール、フェニルグルコシドが含まれます。
黒糖のカロリーは100gあたり354kcalです。上白糖の384kcal、グラニュー糖の378kcalと比べると低めですが、砂糖の中では低めなだけであって、決して低カロリーなわけではありません。
GI値は99であり、上白糖の109と比べると低いですが、他の食品群と比べれば決して低GIではありません。
ただ、砂糖の中では比較的GI値が低めと見てよいでしょう。
さとうきび(黒糖) | 三温糖 | 甜菜糖 | 上白糖 | |
カロリー(kcal) | 396 | 392 | 390 | 384 |
炭水化物(g) | 98.8 | 98.7 | 97.5 | 99.2 |
GI値 | 99 | 108 | 65 | 109 |
オリゴ糖(mg) | 0 | 0 | 5 | 0 |
ナトリウム(mg) | 10-30 | 7 | 15-85 | 1 |
カリウム(mg) | 142 | 13 | 5-65 | 2 |
カルシウム(mg) | 10-35 | 6 | 0-1 | 1 |
マグネシウム(mg) | 3-20 | 2 | 0-0.3 | 微量 |
リン(mg) | 1.1 | 0 | 0-0.3 | 微量 |
鉄(mg) | 0.15-0.45 | 0.1 | 0-0.3 | 微量 |
亜鉛(mg) | 0 | 0 | 0.1 | 0 |
腸内環境改善
黒糖に含まれるラフィノースにはプレバイオティクスとして善玉菌の餌として腸内環境を整える働きがあります。
腸内環境改善によって排便コントロール状況が改善される他、皮膚炎への効果、免疫力アップ、アレルギー症状の改善等様々な効能が期待出来ます。
エネルギー代謝
黒糖にはビタミンB1、B2、B6が含まれていることから、三大栄養素のエネルギー代謝を効率的に行い、糖分や脂肪分をエネルギーとして燃焼させることに関わります。
その為、黒糖から摂った糖分が効率的に利用されることによって、運動時の疲労を抑制しながら体脂肪を燃焼します。
黒砂糖には、オフタコサノールが含まれています。
あまり聞きなれない成分ですが、オフタコサノールは、主に黒砂糖やブドウの皮やリンゴの皮に含まれます。
このオフタコサノールにも、ビタミンB群のような働きがあり、筋肉痛予防や疲労回復に良いと言われます。
つまり、黒砂糖は、白砂糖を食べるより、スタミナを維持出来ることが言えます。
筋蛋白合成をサポート
そして、黒砂糖には、ビタミンB6が含まれています。
ビタミンB6は、筋肉の合成に関わる栄養素です。
蛋白質を含む食品と合わせると、蛋白質とビタミンB6の働きによって筋肉が作られることが促進し、体脂肪率の低下にも繋がります。
体脂肪率が低下すれば、運動時における脂肪燃焼を効率的に行うことが出来ます。
脳機能向上
そして、脳機能に関連するビタミンB群には、ビタミンB1があります。
これには、ビタミンB1が糖質の代謝に大きく関わることが、脳機能維持に繋がるのです。
脳機能を正常にすることによって、精神面や運動機能の安定を図ることが出来、集中力や記憶力の低下を防ぐことに繋がります。
また、神経機能を正常に保つことから、怒りやうつのコントロール、心機能不全になることを防ぐといった働きもあります。
ビタミンB群のメリット
ビタミンB2は、粘膜生成に関わることから、免疫力の向上に役立てます。
この他にも、ビタミンB1はアルコール代謝にも関わります。
つまり、ビタミンB1によって肝臓が守られることから、黒砂糖は、三大栄養素の代謝が正常に行われることを担っていると言えます。
つまり、ビタミンB群が含まれているか含まれていないかで、身体への働きかけがだいぶ変わるのです。
ミネラルが豊富
黒糖にはサトウキビが本来もっている栄養成分が残っている為、ミネラルも含まれています。
骨や歯の形成に関わる
黒糖にはカルシウムやマグネシウムも含まれていることから、骨や歯の材料となるカルシウムがマグネシウムによって骨に定着することによって骨や歯を丈夫にする働きことをサポートします。
とは言っても糖分なので大量摂取は却って身体に害を与えてしまう為、量を留めてしまうとそれ程の効能は期待出来ませんが、ミネラル分が全く失われた白砂糖に比べると骨を丈夫にする効果が少し優れていると見た方が良いでしょう。
高血圧予防
黒糖にはカリウムが豊富なことから、体内の余計なナトリウムを排泄し、血圧が正常になるようにコントロールします。
また、ナトリウムを排泄することによって浮腫みの解消にも繋がり、血行促進効果が得られることも期待できます。
貧血改善や予防
黒糖には鉄分も含まれている為、白砂糖を摂取するより鉄分の摂取量が少し増えます。
鉄分は赤血球の材料となる為、造血作用があります。黒糖には銅も含まれており、鉄分の代謝を促します。
脂質異常症予防
黒糖にはLDLコレステロールや中性脂肪の吸収を抑える働きがあると言われています。この働きは黒糖に含まれる「オフタコサノール」によるものです。
オフタコサノールは植物の葉や皮に存在し、サトウキビの他にブドウの皮やりんごの皮に含まれています。
オフタコサノールはLDLコレステロールや中性脂肪の吸収を抑えることから脂質異常症予防効果があると言われ、生活習慣病予防に期待出来ます。
糖の吸収抑制
黒糖に含まれるフェニルグルコシドは糖の吸収を抑える働きがあります。
更に体内の不要な糖分を排出する働きもあるので、血糖値上昇抑制効果が期待出来ます。
血糖値の乱高下が緩やかなことから、食後の血糖値の急な上昇を抑えるとともに、その後の血糖値が急激に下がることを防ぎます。
血糖値が下がると空腹感を訴えますが、血糖値が下がり過ぎるのを防ぐ為、腹持ちが良くなります。
ビタミンB1や亜鉛も含まれている為、ビタミンB1によって糖がエネルギーとして利用されることを促進され、亜鉛はインスリンの構成成分となる為、血糖値を急激に上げる白砂糖に比べると糖尿病予防に良いことが言えます。
ダイエット効果は本当か?
黒糖は本当にダイエット効果があるのでしょうか?
ダイエットに良いという要点をまとめます。
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これだけ見るとダイエット効果に期待があると言えるのですが、黒糖はあくまでも甘味料であることを忘れてはなりません。
ただ、さとうきび本来の栄養成分が残っている為、糖の代謝に必要な栄養成分も摂れることから、白砂糖よりは太りにくいと言えます。
黒糖からダイエット効果や健康効果を期待するというよりは、普段使う甘味料を白砂糖から黒砂糖に変えて、健康維持を図るといった方が的確でしょう。
ただ、白砂糖を使うよりは黒糖を使う方がベターです。
注意点
黒糖を摂る時は以下の点に気を付けましょう。
乳児に与えない
黒糖を摂取する時に注意して欲しいのは「1歳未満の乳児に与えてはいけない」ことです。
サトウキビは原料から黒糖に加工する行程の中でボツリヌス菌が入ってしまうことがあります。
黒糖もはちみつやメイプルシロップ同様に乳児ボツリヌス症の危険性があり、最悪の場合は死に至ってしまいます。
摂りすぎは生活習慣病に
黒糖はビタミンB群やミネラル、その他の成分が豊富だからといって摂り過ぎも良くありません。
基本的には糖分の為、寧ろ摂り過ぎてしまうと糖尿病や中性脂肪上昇のリスクに繋がります。
まとめ
黒糖にはどのようなメリットがあるのかまとめます。
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黒糖の摂取量は1日の目安として40gが適度でしょう。
黒糖は、今まで調味料として使っていた白砂糖を黒糖に変えてみたり、コーヒー等の甘味料としても活用出来ます。
肉じゃがや炒り鶏等の煮物料理にも合いますし、酢の物に使うのもお勧めです。
和食に使われる醤油や酢の発酵調味料と、黒糖に含まれるラフィノースの組み合わせは新バイオティクスとなり、腸内環境改善においてメリットとなります。
白砂糖を使うよりコクや深みが出てくるので料理の質を上げることが出来ます。