オステオカルシンは骨芽細胞から分泌されるホルモンであり、血糖値降下作用、インスリン分泌促進作用があるホルモンとして注目されています。
オステオカルシンは骨中に0.4%存在し、そのうちわずかな量が血液中に存在します。
微量にも関わらず、血糖上昇抑制をはじめとする様々な効能があることが知られています。
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インスリン作用を高める
オステオカルシンは膵臓のランゲルハンス島のβ細胞を増やす為、インスリンの分泌量を増量します。
そして小腸にてインスリン分泌を促すインクレチンの分泌量を増加させます。
インクレチンの分泌量増量にはオステオカルシンの働きが裏付けられており、血糖上昇を抑制することによって糖尿病予防が出来るということになります。
オステオカルシンはアディポネクチンというホルモンの分泌を促進する働きもあり、アディポネクチンによってインスリンの働きが高まります。
認知機能改善
オステオカルシンにはニューロンを活性化させる作用があることが確認されています。
脳を活性化する上、脳の細胞死を防ぐことから認知機能を改善すると言われています。
骨や筋肉の形成
オステオカルシンは男性ホルモンである「テストステロン」の分泌を促進します。
テストステロンは筋肉や骨の形成を促す働きがあります。
筋肉を増えると脂肪燃焼しやすくなり、太りにくい身体を作ります。
また、筋肉量低下におけるサルコペニアの予防にも、オステオカルシンの作用が役立てることが言えます。
テストステロンは精子を増やして活発化させることから、精子不足による不妊症の改善に期待があります。
抗酸化作用
オステオカルシンには抗酸化作用があり活性酸素を抑制する働きがあります。
活性酸素産生の抑制により酸化コレステロールの生成を抑制し、酸化したコレステロールから血管に傷が付くことを防ぎます。
血管拡張
オステオカルシンは一酸化窒素の産生を促進すると言われています。
一酸化窒素は体外では有害物質ですが、体内においては血管を拡張する働きがあると言われています。
その為、心筋梗塞や動脈硬化等を予防することが出来ると言われています。
オステオカルシンの分泌量を増やすには?
オステオカルシンの分泌量を増やすには、骨を丈夫にする為の栄養が必要となります。
骨を作るミネラル
骨の材料となる栄養にはカルシウムとリンが関わりますが、リンは食事が食べられていれば殆ど不足することはありません。
そして骨形成にはマグネシウムも関わっています。
骨の材料であるカルシウムを骨に定着される為、骨を丈夫にするにはカルシウムとマグネシウムをセットで摂ります。
ほうれん草や小松菜、モロヘイヤ等の緑色の濃い野菜、大豆及び大豆製品、海藻類、種実類にはカルシウムとマグネシウムの両方を含まれる為、骨の形成に関わる栄養を効率的に摂取します。
小魚やあみエビ、桜エビにはカルシウムが多く含まれるので、マグネシウムを含む食品と食べ合わせます。
更に小魚やあみエビ、桜エビにはカルシトシンが含まれています。カルシトニンはカルシウムを骨に取り込む為、骨を丈夫にする働きがあります。
ビタミンK
そしてオステオカルシンの材料となる栄養素がビタミンKです。
オステオカルシンはビタミンK依存性のカルシウム結合蛋白であり、ビタミンKが作用することにより骨芽細胞から作られます。
ビタミンKが不足すると、この作用が正常に働かなくなります。
ビタミンKは、ほうれん草や小松菜等の緑色の野菜や、納豆に多く含まれています。
コラーゲン
骨の形成に関わる成分としてコラーゲンも関わっています。
コラーゲンは皮膚の形成のイメージが強いですが、体内に存在するコラーゲンの2割が骨に存在していると言われています。
骨はコラーゲンに骨形成に必要なミネラルが沈着することによって作られています。
コラーゲンにミネラルを沈着させるのにビタミンKが関わっています。
また、コラーゲン生成にはビタミンA、ナイアシン、ビタミンC、鉄分の補給も必要となります。
そして、主に身体を構成する蛋白質の摂取も心がけましょう。
運動による刺激
骨密度を上げるには運動することも大切です。
骨も皮膚と同様に新陳代謝を繰り返し、細胞が入れ替わっています。
骨は運動することによって刺激を与えられ、刺激によって骨は丈夫になっていきます。
ビタミンD
骨を丈夫にするには日光浴も欠かせません。
紫外線によって体内にビタミンDが生成されますが、必要以上に増える心配はありません。
食品からも摂ることが出来、椎茸や舞茸、鮭、鰯などからも補給出来ます。
ビタミンDは骨の形成を促す為、骨形成に必要な栄養素の一つとなります。
ビタミンAとビタミンEの過剰摂取を防ぐ
ビタミンAとビタミンEには抗酸化作用があり、生活習慣棒予防やアンチエイジング効果があることで知られていますが、これらの栄養素の過剰摂取には注意しましょう。
ビタミンAとビタミンEは過剰摂取すると、破骨細胞を活性化してしまいます。
また、ビタミンAの過剰摂取は血中のレチノイン酸を上昇させ、過剰摂取による症状を呈してしまいます。
血中レチノイン酸の上昇すると、レチノイン酸によって骨芽細胞が阻害されてしまいます。
レバーの摂り過ぎによるビタミンAの過剰摂取や、サプリメントの不適切な摂取によるビタミンAとビタミンEの摂り過ぎには十分注意を払いましょう。
βクリプトキサンチン
体内でビタミンAに変換されるファイトケミカルの中でも、βクリプトキサンチンは破骨細胞の減少を抑えることにより、骨吸収を抑制すると言われます。
更に、βクリプトキサンチンは骨密度低下予防、骨強化、骨代謝促進の作用もあると言われます。
注意点
オステオカルシンの生成にはビタミンKが関わりを持っています。
但し、ビタミンKにはワーファリン等の血液凝固抑制剤の効力を弱めてしまう作用があります。
ワーファリン等の血液凝固抑制剤を服用している時は、緑黄色野菜を一度に大量摂取することや、納豆の摂取を避けなければならない状態となります。
ワーファリン等を服用している場合は医師に相談してみると良いでしょう。