蕎麦は縄文時代から食されていたとの説があります。
当時は麺類としての蕎麦ではなく、そばがきとして召し上がっていたそうです。
蕎麦は全粒穀物であることから栄養価も高く、低GI食品です。
そして、穀物の中でも蛋白質の含有量が多く、アミノ酸スコアが大豆の9割と言われています。
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蕎麦の栄養と期待する効能
蕎麦は炭水化物をはじめ、蛋白質、アミノ酸、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンE、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、マグネシウム、鉄分、亜鉛、銅、マンガン、食物繊維、ルチン、ケルセチン、食物繊維、レジスタントプロテインが含まれます。
そばは特に鉄分の含有量が多く、鉄分はヘモグロビンの材料となっている為、貧血予防に良いと言われています。
栄養価が高く「日本のスーパーフード」と言われている蕎麦ですが、次のようなメリットがあり、様々な効能に期待があります。
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アミノ酸スコアが高い
そばは他の穀物よりも蛋白質が豊富に含まれています。
100gあたりの蛋白質質含有量が、米:6.1g、小麦:8.8gに対し、そばには12gの蛋白質が含まれています。
更にアミノ酸組成も優れており、そばの蛋白質は必須アミノ酸から構成されているのです。
大豆のアミノ酸スコアを100とするとそばのアミノ酸スコアは92となり、畑の肉と呼ばれる大豆の9割となります。
そばのアミノ酸は、特にリジンが多く含まれています。
そばの蛋白質を効率的に摂るにはそば粉、又は10割そばで食べると良いとされています。
但し、そば粉に小麦粉と混ぜた場合、リジンが乏しい小麦粉のアミノ酸組成の影響を受ける為、アミノ酸スコアが低下してしまいます。
ミネラルが豊富
蕎麦には、鉄分やカルシウム、亜鉛、マンガンなどのミネラルが豊富に含まれます。
蕎麦は、特に鉄分が豊富に含まれます。
鉄分は、赤血球の材料となる為、血中ヘモグロビン濃度を高めることから、貧血予防に役立つことが言えます。
腸内環境改善
そして、蕎麦は、食物繊維の多い食品です。
その多くは、ヘミセルロースという不溶性食物繊維です。
ヘミセルロースは水分を吸う力が強い為、食物繊維のデトックスを有効に活かすには水分をしっかり摂ることです。
更に、蕎麦にはレジスタントプロテインが含まれています。
レジスタントプロテインは、食物繊維に分類されていませんが、小腸で消化吸収されない上に、蛋白質でもあります。
そして、レジスタントプロテインは、不溶性食物繊維様作用と水溶性食物繊維作用があるといわれいています。
不溶性食物繊維は、腸管内では善玉菌の餌となって、腸内を善玉菌優位にし、便のかさを増やして腸の蠕動運動を促します。
水溶性食物繊維、マグネシウムが円滑な便の排泄をサポートして、腸管内に溜まった老廃物を排泄します。
不溶性食物繊維はプレバイオティクスとしての働きがある為、発酵食品から摂取する乳酸菌(プロバイオティクス)と共に摂取すると、更に腸内環境改善効果が期待出来ます。
そばつゆの原料には鰹節や昆布で取っただしや、伝統的な製法で造られた醤油といった発酵食品を使う事が最良であり、そばと一緒に摂取することによって、腸内環境改善に非常に良いと考えられます。
腸内環境によって得られるメリットは非常に多く、腸管内のデトックスをはじめ、免疫力強化、太りにくい体質の改善、メンタルヘルスの向上など、身体に有益に働きかけてくれます。
エネルギー代謝及び生活習慣病予防
そばにはビタミンB1も含まれています。
ビタミンB1は炭水化物、脂質、蛋白質が体内でエネルギーとして利用されるのに必要な栄養素であり、特に炭水化物の代謝に関与しています。
体内で糖質がエネルギーとして利用されることにより、余計なブドウ糖が蓄積するのを防ぐ為、肥満や糖尿病、脂質異常症、脂肪肝などの予防にも役立つと言われます。
そばには食物繊維やレジスタントプロテインによって腸管からの余分な糖分の吸収を抑制したり、血液中の糖分や中性脂肪、LDLコレステロールを排出させることによっても、生活習慣病から守ってくれます。
そして、蕎麦は、炭水化物の中でも、低グルセミックインデックスです。
他の麺類と100グラムのうちのカロリーとグルセミックインデックス値を比べると明らかです。
うどんと比べると、うどんとカロリーがそんなに変わらないものの、うどんのグルセミックインデックス値は80であるところ、そばのグルセミックインデックス値は59と、同じ炭水化物類でも、かなり違います。
これには、そばが全粒粉で食物繊維が多い事が関与しているからでしょう。
このようにそばには、貧血及び高血圧症、脂質異常症、動脈硬化、脳出血、糖尿病等の生活習慣病予防効果や便秘解消効果が期待されています。
脳機能向上
蕎麦は、糖分とビタミンB1によって、脳機能向上や神経機能を正常に保つとのことです。
脳機能を正常にすることによって、精神面や運動機能の安定を図ることが出来、集中力や記憶力の低下を防ぐことに繋がります。
また、神経機能を正常に保つことから、怒りやうつのコントロール、心機能不全になることを防ぐといった働きもあるでしょう。
血圧降下
蕎麦に血圧降下作用があると言われるのはルチンが含まれているからです。
ルチンには毛細血管の透過性を適正に保ち、血管壁を強化する働きがあります。
止血、血管収縮、血圧降下の効果があると言われ、高血圧症、脳出血、動脈硬化等の予防効果があるとのことです。
そして、循環器疾患の予防には、抗酸化作用も寄与しています。
抗酸化作用には、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪の酸化を防ぐ働きがあります。
酸化した中性脂肪やコレステロールによって血管壁が傷つくことや、活性酸素によって血管が硬くなることを防ぐことから、蕎麦は、循環器疾患予防に良い食材であることが言えます。
美肌効果
蕎麦の抗酸化作用は、ケルセチンによるものであり、このケルセチンは、紫外線から皮膚ヲ守ることによって、シミやしわ、たるみなどの老化を防ぐと言われます。
そしてケルセチンには、シス・ウンベル酸が含まれます。
シス・ウンベル酸には、メラニン色素を活性化させるチロシナーゼの働きを抑制することから、メラニン色素の働きを抑えるとのことです。
その為、しみやそばかす予防に良いことから、美白効果にも期待があるでしょう。
その他効能
その他、蕎麦を食べるメリットとして、抗酸化作用があることから癌予防に役立つ、抗炎症作用、関節痛の緩和などがあります。
蕎麦湯のすすめ
そばに含まれるルチン、ケルセチンやビタミンB群は水溶性です。
蕎麦湯を飲むと良いと言われるのは、蕎麦を茹でた時にこれらの水溶性の栄養成分が茹で汁に溶け出るからです。
ルチンやケルセチン、ビタミンB群の効能を享受するには、蕎麦湯も召し上がることです。
麺以外の摂取方法
蕎麦は麺以外に召し上がる方法があります。
蕎麦は、スプラウトとしてサラダ用に用いられることがあります。
そして蕎麦からは、鉄分が豊富な蜂蜜が採取されます。
韃靼そば
蕎麦には「韃靼蕎麦」という種類があります。
韃靼そばは、中央アジア原産の一年草、ダッタンソバの種子を用いたものです。
シベリア、中国、モンゴル、ネパールの山岳地帯で栽培され、近年、日本でも北海道や東北地方で栽培されるようになりました。
学名の「タータリカム」とはタタール人のことであり、中央アジアから北アジアの諸民族のことをさします。日本では「タタール」を「韃靼」と訳しています。
韃靼そばは苦味があり、黄色がかった色が特徴です。
日本で一般的に食べられているそばは「甘蕎麦」、韃靼そばは「苦蕎麦」と呼ばれています。
韃靼そばの成分は通常のそばと殆ど同じですが、ルチンの含有量が通常のそばの100倍含まれていることです。
韃靼そばの苦味の原因も、ルチンが分解して出来るケルセチンによるものと考えられています。
注意点
低GIで栄養価の高い蕎麦ですが、注意点もあります。
腸管トラブル
食物繊維は腸の蠕動運動を促し、排便コントロールをする働きがあるので便通改善に良いとされます。
しかし、腸閉塞を起こしている場合、神経障害や腸管の狭窄によって腸管を詰まらせ、腹部膨満や嘔吐の症状を引き起こす場合があります。
そのほかにも、腸管における炎症疾患や下痢を起こしている場合、大量摂取すると腸に負担をかけてしまいます。
C型肝炎、NASH
C型肝炎や非アルコール性脂肪肝においては、鉄のコントロール機構に障害が出ている為、肝臓へ鉄が蓄積され、更に鉄が酸化することによって病状を悪化する恐れがありますので注意が必要です。
蕎麦アレルギー
蕎麦アレルギーは、年齢かかわらず持っている場合があります。
蕎麦アレルギーは、アナフィラキシーショックを起こすことがあり、重症なアレルギー症状を起こす危険性があります。
蕎麦を食べてみて、喉の痒みを感じたり、呼吸困難が見られた時は、医療機関に受診して原因を調べてもらいましょう。
まとめ
最後に蕎麦のメリットについてまとめます。
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低GI、アミノ酸が豊富、栄養価が高い蕎麦は、麺類の中でも一番栄養価に優れています。
栄養価が高い分、摂取を控えなければならないケースもあります。
炭水化物は太るからといって現代人に嫌遠されますが、全粒穀物はそれだけ栄養価が優れているものなのです。
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