ひじきと言えばおふくろの味と言われる料理の一つ「ひじきの煮物」が定番ですよね。
ひじきは江戸時代から現在のように煮物として食されていたそうです。
日本の伝統食材であるひじきは、大変歴史の古いものです。
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ひじきの歴史
ひじきはホンダワラ科に属する褐藻類です。北海道南部から九州にかけての広い範囲で収穫され、煮物料理として活用されています。
小枝の部分のみを収穫したものが「芽ひじき」、長い部分が混ざっているものが「長ひじき」です。
ひじきは日本の伝統食材の一つであり、その歴史は縄文時代や弥生時代という古くからあるそうです。
これには縄文時代、弥生時代の発掘物にひじきのようなものが付着していることから、その時代から食べられてきたことが想定されています。
当時は農作物からカルシウムを摂ることが困難だった為、カルシウムを補う為に海藻を利用してきました。
そしてひじきもその海藻の一つでした。
ひじきの栄養
ひじきにはビタミンやミネラル、食物繊維、アミノ酸等が豊富に含まれ、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビオチン、パントテン酸、ビタミンK、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ヨウ素が含まれています。
また、海藻類に含まれるアルギン酸やフコイダンも含まれています。
ひじきには以下の健康効果に期待があります。
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骨形成
ひじきにはカルシウムとマグネシウムの両方が豊富に含まれています。
カルシウムは骨や歯の成分となり、マグネシウムにはカルシウムを骨に定着させる働きがあります。
ひじきにはビタミンKも含まれます。
ビタミンKには骨芽細胞を形成する働きがある為、カルシウムはマグネシウムとともに骨を丈夫にする働きがあります。
その為、骨粗鬆症予防効果や骨折による怪我の治りを早める効果に期待があります。
高血圧予防
ひじきにはカリウムが豊富に含まれます。カリウムは細胞を正常に働かせる働き、電解質均衡を図る働きがあり、体内に溜まった余分なナトリウムを排泄する為、血圧を正常値に調整する働きがあります。
ナトリウムを排泄することから、浮腫みを改善する効果があり、血流促進効果にも期待があります。
目のトラブル予防
ひじきにはビタミンAが豊富に含まれています。
ビタミンAは主に網膜細胞の保護作用や視細胞における光刺激反応に重要な役目を担っています。
ビタミンB2は粘膜生成に関わり、ドライアイ、目の痒み、疲れ目、白内障、涙目等の症状の改善や予防に良いと言われています。
腸内環境改善
ひじきには主に水溶性食物繊維が含まれます。
水溶性食物繊維は短鎖脂肪酸を増やし、短鎖脂肪酸は腸管内のphを弱酸性にする働きがあります。
大腸内が弱酸性になると善玉菌が増えやすい環境となり、日和見菌が善玉菌に協力することによって腸管内が善玉菌優位となります。
水溶性書物繊維とマグネシウムは、便を軟らかくすることによって便の排泄を促します。
腸内環境が改善されると免疫力アップや太りにくい体質の改善、美肌効果等、数々のメリットを得られることに期待があります。
身体の組織の形成
ひじきにはアミノ酸が含まれ、蛋白質やアミノ酸の代謝に関わるビタミンB6が含まれます。
ビタミンB2は皮膚や粘膜、髪、爪を生成することに関わります。
ビタミンAの中のレチノイン酸は核酸受容体に結合し、表皮の細胞を生まれ変わらせる働きがある為、皮膚を若返らせる働きがあるとのことです。
海藻類にはムコ多糖類が含まれ、ムコ多糖類には細胞の周りに水分を蓄える働きがあります。
ムコ多糖類の保湿効果によって肌の潤いを保ったり、関節痛を緩和することに期待があるでしょう。
その為ひじきは老化防止に期待があるでしょう。
生活習慣病予防
ひじきに含まれる食物繊維は主に水溶性のものが含まれます。
水溶性食物繊維には腸管からの糖質の吸収を抑え、血液中の余分なLDLコレステロールや中性脂肪を排泄する働きがある為、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化、胆石症等を予防すると言われ、ひじきに含まれるフコイダンやアルギン酸にも同様の効用があるそうです。
甲状腺機能維持
ひじきは海草類であることからヨウ素が含まれています。
ヨウ素には甲状腺機能を維持することによって代謝機能を維持する働きがあると言われます。
海藻類を食べる習慣のある日本人の場合は不足することは殆どありませんが、摂り過ぎてしまうと甲状腺機能が正常に働かなくなってしまいます。
癌治療効果
ひじきに含まれるフコイダンは癌治療に有効的と言われています。
フコイダンにはアポトーシス機能があり、フコイダンが癌細胞に直接接触することによって癌細胞のDNAを破壊して癌細胞を自滅させます。
このアポトーシス機能にはもう一つの経路があり、癌細胞の表面に穴を開けて直接攻撃するものもあります。
ただ、フコイダンの癌治療の有効性は癌の進行度合いや患者様の身体状況や服薬状況によってそれぞれの為、一律に効果があるという保証はありません。
初期のうちなら可能性は完全にないとは言い切れませんが、もっと大切なのは癌や生活習慣病の原因となるような食生活を送らないことと、ストレスケアを行って予防に努めることです。
エネルギー代謝
ひじきにはエネルギー代謝に必要なビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、マグネシウムが含まれています。
糖質がピルビン酸に変換する過程においてビタミンB1、マグネシウムは補酵素として利用されます。
ピルビン酸がアセチルCoAに変換すると、クエン酸回路による有酸素運動によるエネルギー代謝へ移行しますが、ピルビン酸がアセチルCoAに変換するにはビタミンB1を必要とします。
クエン酸回路ではビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸が利用されます。
つまり、ひじきは糖質や脂質の利用をサポートする食品であることが言えます。
ストレス緩和
ひじきはカルシウムが豊富であり、カルシウムは興奮を抑制したり、怒りを鎮静する働きがあると言われます。
マグネシウムには興奮抑制作用、筋肉の緊張の緩和、GABAの働きを維持すると言われます。
ひじきはこのようなことから、ストレスケアをサポートする食品であることが言えます。
ひじきは本当に危険なのか?
ひじきは栄養成分や食物繊維など栄養効能に優れていますが、「無機ヒ素」が含まれています。
この「無機ヒ素」は水で戻したり、茹でこぼしたりすることによって抜くことが出来ますが、一番お勧めなのが、沸騰しているお湯に5分間かけて茹でこぼすことです。
これによってひじきに含まれている無機ヒ素の9割を除くことが出来ます。
ひじきは成人が摂取する場合、1日5gが適度な量の為、下処理さえきちんと行っていればそれほど無機ヒ素の心配はないかと思われます。
注意点
ひじきはミネラルや食物繊維の摂取源ですが、次の点には注意しましょう。
過剰摂取による甲状腺機能障害
ひじきの過剰摂取に注意して欲しいのは、ヨウ素のところで先述しました通り、甲状腺機能が正常に働かなくなるという過剰摂取障害を起こしてしまいます。
腎不全末期
カリウムが多く含まれていることから、腎不全を起こしてしまい尿からの排泄機能が衰えてしまっている場合は、カリウムが体内に蓄積されやすくなります。
カリウムが体内に蓄積すると不整脈を起こしてしまい、下手をすると心不全によって死に至る危険性があります。
鉄分の摂取
鉄分においても気を付けるべきところがあり、ひじきは使う鍋におって鉄分の含有量が変わります。
特に鉄鍋と使うと鉄の含有量が多い状態で調理されます。
鉄分は造血作用をはじめ、大事な働きのあるミネラルですが、C型肝炎や非アルコール性脂肪肝に罹患している場合は鉄分が害になることがあります。
C型肝炎や非アルコール性脂肪肝においては鉄のコントロール機構に障害が見られ、肝臓に鉄が蓄積されてしまいます。
この蓄積された鉄が酸化すると病状を更に悪化させてしまう為、これらの疾患にかかると却って害になるのです。
薬との相互作用
ひじきにはビタミンKが含まれていることからワーファリン等の抗血栓薬を服用している場合は薬の効力を弱めてしまう場合があります。
一度に大量摂取することは避け、摂取する場合はほんの少量に留めておきましょう。
まとめ
ひじきについてまとめます。
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ひじきを含む海藻類は、現代人に不足が見られるミネラルの供給源となります。
基本は栄養バランスの取れた食事ですが、海藻類も日常の食生活の中に積極的に取り入れていきましょう。