オメガ3、ビタミンB12、タウリン…他の海藻類には含まれていない栄養成分を持つ「海苔」

海苔の歴史は非常に古く、縄文時代から食用とされていたのではないかという説があります。

当時、海藻を「ぬらぬらしたもの」と呼び、この「ぬらぬらしたもの」を海草類と指していたとのことです。

「ぬら」に由来して海苔と呼ぶようになったそうです。

海藻類はミネラルの補給源ですが、海苔には他の海藻類には含まれない栄養成分が幾つかあり、その健康効果に期待が大きいものです。





 

海苔の栄養

海苔はビタミン類もミネラル類も豊富で、色素成分あるクロロフィルが含まれ、ビタミン類は特にビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEが豊富であり、ビタミンKも含まれています。

ミネラルは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、ヨウ素、マンガン等が含まれています。

海苔には他の海藻には含まれていないタウリンやビタミンU、EPA、ポルフィランが含まれているのも特徴です。

そして菜食主義に不足しやすいビタミンB12も含まれています。

海苔には以下のような健康効果に期待があります。

  • 癌予防
  • 癌予防
  • 腸内環境改善
  • デトックス作用
  • 消臭効果
  • 生活習慣病予防
  • 目の機能維持
  • ダイエット
  • 筋蛋白合成
  • 傷口の修復を早める
  • 美肌効果
  • 胎児の正常な成長
  • 循環器疾患予防
  • 骨や歯を丈夫にする
  • 貧血予防や改善
  • 肝機能向上
  • リラクゼーション
  • 薄毛予防

 

食物繊維の働き

海苔にはフコイダンやアルギン酸等の食物繊維を含みます。

海苔に含まれるポルフィランは水溶性食物繊維としての働きがあります。

癌治療効果に期待

フコイダンは癌治療効果がある成分として注目されています。

フコイダンにはアポトーシス機能があり、フコイダンが癌細胞に直接接触することによって癌細胞のDNAを破壊して癌細胞を自滅させます。

このアポトーシス機能にはもう一つの経路があり、癌細胞の表面に穴を開けて直接攻撃するものもあります。

ただ、フコイダンの癌治療の有効性は癌の進行度合いや患者様の身体状況や服薬状況によってそれぞれの為、一律に効果があるという保証はありません。

初期のうちなら可能性は完全にないとは言い切れませんが、もっと大切なのは癌や生活習慣病の原因となるような食生活を送らないことと、ストレスケアを行って予防に努めることです。

また、海苔には抗酸化作用のあるビタミンA、C、Eが含まれ、抗酸化作用によって細胞を損傷から守ることから癌予防に期待があります。

また、ビタミンCにはNK細胞を活性化させる働きがあると言われます。

ポルフィランにも癌予防効果に期待があると言われ、強い抗炎症作用があることから、フコイダンと違ったアプローチによって癌から守ると言えるでしょう。

腸内環境改善

アルギン酸は、腸の蠕動運動を促すとともに、善玉菌の餌となって善玉菌を増殖させるというプレバイオティクスとしての効能があります。

水溶性食物繊維は、大腸内において短鎖脂肪酸を発生させ、短鎖脂肪酸によって大腸内のphを弱酸性に傾けます。

大腸内が弱産生になると善玉菌優位となります。

水溶性食物繊維やマグネシウムには、便に適度に水分を促すことによって腸管内に溜まった老廃物の排泄を促す働きがあります。

海苔にはクロロフィルが含まれ、クロロフィルには腸管内に溜まった有害物質や重金属を排出することから、強いデトックス作用に期待があり、更に消臭効果をもたらします。

腸管内がデトックスされると体質も改善され、肌荒れの改善、免疫力強化、ダイエットしにくい体質の改善、脳機能向上等、身体に様々なメリットをもたらします。

循環器疾患予防

食物繊維は腸管からの糖の吸収を抑え、血液中の余分なLDLコレステロールや中性脂肪を排出する働きがあります。

その為、糖尿病をはじめ、脂質異常症、高血圧症、動脈硬化、心疾患、脳血管疾患等の生活習慣病予防効果があることが言えます。

 

目の機能を維持

海苔にはビタミンAが豊富に含まれています。

ビタミンAは主に網膜細胞の保護作用や視細胞における光刺激反応に重要な役目を担っています。

ビタミンB2には粘膜保持する働きがあることから、目の痒みやドライアイ、涙目、疲れ目、白内障の予防に良いと言われます。

ビタミンCも粘膜生成に関与し、加齢性黄斑変性症予防に良いと言われ、コラーゲン生成に関わることから目を老化から守ることが言えます。

そして海苔に含まれるタウリンは体内ではあらゆるところに存在し、網膜にも比較的多く含まれています。

その為、眼精疲労も良いとのことです。

グルタチオンは水晶体や角膜に存在し、白内障や角膜疾患の進行を防ぐと言われます。

 

三大栄養素の代謝

海苔にはビタミンB群、マグネシウムが含まれ、三大栄養素の代謝に関わります。

体内で糖分がピルビン酸に変換される時にビタミンB1とマグネシウムが補酵素として利用され、ピルビン酸がアセチルCoAに変換される時にビタミンB1が必要となります。

この行程経た上で、有酸素運動時において糖分や体脂肪をエネルギーに変換されることに関わる為、疲労を抑制しながらエネルギー代謝を促進します。

 

アミノ酸スコアが高い

海苔は蛋白質が豊富であり、重量の4割の量の蛋白質が含まれています。植物性食品の中ではアミノ酸スコアは88と高めになっています。

但し、リジンの含有量が少ない為、他の蛋白質を含む食品と組み合わせて不足分を補うと良いでしょう。

蕎麦もアミノ酸スコアが高い食品ですが、蕎麦は特にリジンが多く含まれています。

蕎麦の上に海苔がかかっているのはアミノ酸バランスをとるのに理に適っていることが言えます。

体組織を作る

海苔にはビタミンB6が含まれ、蛋白質の代謝をサポートします。

蛋白質の代謝がサポートされることによって筋肉や骨、皮膚、臓器、血管等、身体のあらゆる組織の形成に関わります。

筋肉量が維持出来ることはダイエットに繋がること以外にも、子供の成長や高齢者のサルコペニアフレイル予防にも役立てるのです。

蛋白質は三大栄養素の一つとして重要な役割を担っており、蛋白質を摂取することによって免疫力を高めたり、代謝を調節することによって健康を維持してくれているのです。

潰瘍の修復を早める

海苔にはビタミンUが含まれ、過剰な胃酸の分泌を抑える働きがあると言われます。

胃酸分泌抑制効果により胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防効果があると言われ、ビタミンUは医薬品にも使用されています。

ビタミンUは蛋白質と一緒に摂ると、筋肉や内臓、皮膚や爪など身体のあらゆる場所の修復を促します。

例えば、潰瘍が出来てしまった場合、海苔と一緒に蛋白質を含むものを摂取すると、潰瘍の修復を早めることが可能であることが言えます。

皮膚形成

海苔は蛋白質や蛋白質の代謝に関わるビタミンB6が含まれ、亜鉛や鉄分、ビタミンCも含まれています。

また、細胞分裂に必要な亜鉛やビタミンB12、マグネシウムも含まれます。

これらの栄養成分が皮膚の形成に関わり、皮膚を若返らせたり、傷口の治癒を早めることに寄与しています。

ビタミンAの中のレチノイン酸は核酸受容体に結合し、表皮の細胞を生まれ変わらせる働きによって皮膚を若返らせることから、老化防止に期待があります。

海苔には抗酸化ビタミンが含まれ、ビタミンCには一度出来てしまったしみやそばかすを目立たなくする働きがある点においても、美肌効果美白効果に期待があります。

ポルフィランには美肌効果があることが知られており、その効能はヒアルロン酸に匹敵するそうです。

海藻類にはムコ多糖類が含まれており、ムコ多糖類は細胞の水分を保つ働きがあることから、肌の保湿や関節痛の緩和作用があると言われます。

そして、海苔には食物繊維が含まれることにより、腸内環境改善によって肌の質の向上にも期待があるでしょう。

胎児の成長

海苔には細胞分裂に関わる成分が含まれることから、妊娠中の栄養管理に必要な食品であると言えます。

海苔には葉酸が含まれており、細胞分裂に必要な蛋白質は亜鉛、マグネシウムも含まれます。

細胞分裂が正常に行われれば、胎児の成長も正常に行われます。

海苔は骨や血液の材料となる栄養成分も含まれている為、妊娠中の栄養不足に大変役立つでしょう。

出産の問題は女性だけではなく、男性に原因がある場合もあります。

海苔には亜鉛が含まれ、制刺激ホルモンを活性化させる働きがあり、精子や精液の材料にもなる為、男性由来の不妊症対策に良いと言えます。

 

循環器疾患予防

海苔にはナトリウム、カリウムが含まれ、電解質の均衡を図り細胞を正常な状態に守っています。この為、筋無力感や不整脈を予防するとされています。

カリウムは体内に余分となったナトリウムの排泄を促して、血圧を正常値に調整します。

ポルフィランにはカリウムと似たような働きがあり、カリウム同様に余分なナトリウムの排泄を促します。

タウリンには血流を促進させる働きがあると言われます。

海苔には他の海藻類には含まれていないEPAが含まれています。

EPAは通常青魚に含まれています。

EPAは多価不飽和脂肪酸であることから、血液中のLDLコレステロールを減らしHDLコレステロールを増やす働きによって脂質異常症予防に期待があります。

カリウムやタウリン、EPAによって血流促進や血液をサラサラにすることによって、全身の血液の流れが良くなり、冷えや浮腫み、肩こりや腰痛等の症状改善に期待があります。

海苔には抗酸化ビタミンやグルタチオンが含まれることから、血液中の中性脂肪やコレステロールを活性酸素による酸化から守ります。

その為、血栓を予防したり、血管壁が硬くなることを未然に防ぎます。

海苔にはビタミンB6、葉酸、ビタミンB12が含まれ、これらの栄養成分は心疾患や脳卒中の危険因子とされるホモシステインを減少させることに関わります。

海苔に含まれるこれらの栄養成分の働きによって、高血圧症や動脈硬化、心疾患、脳血管疾患等の循環器疾患予防に役立つことが言えます。




 

骨や歯を丈夫にする

海苔には骨を作る栄養として、カルシウム、マグネシウム、リンが含まれています。

カルシウム、リンは骨や歯の材料となり、マグネシウムはカルシウムを骨に定着される働きがあります。

海苔には、ビタミンKも含まれます。ビタミンKには骨芽細胞を形成する働きがある為、カルシウムはマグネシウムとともに骨を丈夫にする働きがあります。

ビタミンKはコラーゲンを骨に沈着させる働きがあり、コラーゲン生成にはビタミンCっや鉄分が関与します。

その為、骨粗鬆症予防効果や骨折による怪我の治りを早める効果に期待があります。

ヨウ素には成長促進作用があることから、骨の成長をサポートします。

 

貧血予防及び改善

海苔には鉄分が含まれ、赤血球の材料として利用されます。

同時に海苔にはビタミンCも含まれ、非ヘム鉄をヘム鉄に変換することによって鉄の吸収を促す働きがある為、貧血予防にも良いと言われます。

海苔には葉酸やビタミンB12が含まれます。

葉酸には赤血球の合成に必要となり、葉酸の核酸の合成にはビタミンB12が必要となります。

更に、ビタミンB12が摂れることから赤血球の巨大化を防ぐことが可能と言えます。

海苔は鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血の予防や改善に期待のある食品であると言えます。

 

肝機能向上

海苔には肝機能を維持するための成分が幾つか含まれています。

ビタミンB1、ビタミンC、タウリン、グルタチオンにはアルコールの分解を促進する働きがあります。

亜鉛はアルコール摂取によって産生されたアセドアルデヒドを酢酸に代謝する働きがあります。

タウリンには炎症抑制、毒性障害の改善、胆汁酸の分泌促進、肝臓に溜まった中性脂肪の排泄を促進する等の働きがあります。

つまり、海苔はアルコールや中性脂肪による肝機能低下から守る働きがあると言えます。

 

リラクゼーション

海苔にはトリプトファン、ナイアシン、ビタミンB6、マグネシウム、鉄分が含まれており、これらの栄養成分はセロトニン生成に関わります。

海苔にはビタミンB1が含まれ、ビタミンB1は脳の栄養源であるブドウ糖の代謝に関わることから、鬱状態や興奮状態を抑制し、学習力や記憶力を高めると言われます。

カルシウムやマグネシウムには興奮抑制作用があるとのことです。

マグネシウムにはGABAの働きを持続させると言われます。

タウリンにはGABA等の神経伝達物質のレベルを増加させる働きがあります。

これによって認知機能改善脳疲労予防、記憶力の向上などの効能に期待があります。

また、GABAによってリラックス効果を得られる為、睡眠の質の向上疲労回復に役立っています。

 

薄毛対策

海草類に含まれているフコイダンには「FGF-7」という髪の成長を助ける働きがある成分があり、毛母細胞に働きかけることによって髪の生成や成長を促す効能があると言われます。

海苔には亜鉛が含まれ、亜鉛は薄毛や円形脱毛症の予防や改善効果に期待のある成分です。

 

注意点

ビタミンやミネラル、その他栄養成分が含まれる海苔ですが、摂取の際には以下の点に注意しましょう。

腎機能低下

海苔にはカリウムが多く含まれています。

腎機能が低下し、尿からの排泄が困難となると、通常尿中に排泄される筈のカリウムが排泄量低下により体内に蓄積されやすくなります。

血中カリウム濃度が上がり過ぎてしまうと、不整脈を起こし、最悪の場合は心不全を起こして死に至る危険性があります。

その為、腎機能があまり良くない場合は、摂取量を控えると良いでしょう。

ヨウ素の過剰摂取

海苔を含む海草類は、過剰摂取するとヨウ素の摂取量をオーバーしてしまうことがあります。

ヨウ素の過剰摂取は甲状腺機能を正常に働かせなくなくなり、バセドウ病の原因となってしまいます。

薬剤との相互作用

ワーファリン等の抗血栓薬を服用している場合は薬の効力を弱めてしまう場合があります。

一度に大量摂取することは避け、摂取する場合はほんの少量に留めておきましょう。

 

海苔を消化吸収できるのは日本人だけ?

海苔は沢山の栄養が含まれていますが、海苔を消化できる人種は日本人だけなのです。

日本には古くから海苔を食べる文化がありました。

当時、日本では生の海苔を食べることが習慣となっていました。

日本人の腸にはポルフィナーゼという酵素があり、ポルフィナーゼにはポルフィランを分解することが出来ることが知られるようになりました。

ポルフィナーゼにはバクテロイデス・プレビウスを作ることが出来るのですが、これは日本人が持っている菌株のみが作ることが出来るということが確認されています。

参照…ヒト腸内微生物叢の細菌は、外因性微生物からの炭水化物活性酵素の更新で赤海藻グリカンを代謝する

 

まとめ

海苔についてまとめます。

  • 癌予防
  • 腸内環境改善
  • デトックス作用
  • 消臭効果
  • 生活習慣病予防
  • 目の機能維持
  • ダイエット
  • 筋蛋白合成
  • 傷口の修復を早める
  • 美肌効果
  • 胎児の正常な成長
  • 循環器疾患予防
  • 骨や歯を丈夫にする
  • 貧血予防や改善
  • 肝機能向上
  • リラクゼーション
  • 薄毛予防

海苔は日本の伝統食品の一つですが、海苔の栄養成分や期待出来る効能を見ていくと、日本の伝統食の素晴らしさを感じずにはいられません。

海苔は低カロリーだから海苔ばかり食べるのは良くありませんが、普段から栄養バランスの取れた食事を心がけ、海苔等の海藻類を毎日取り入れることが大切です。

 
栄養相談、サポート詳細
 

関連記事

最近の記事

  1. 塩は人体の体液の約0.9%を占めており、海水と同じ割合でミネラルが含まれる

  2. 鉱物に含まれる「ゲルマニウム」は一部の食品に含まれる

  3. ベリーをはじめとする赤い果実に含まれるポリフェノール「エラグ酸」は美容効果の他にも生活習慣病予防に期待