不老長寿の実と呼ばれる、漢方、薬剤の食材である「ゴジベリー」の栄養

ゴジベリーは日本では「クコの実」と呼ばれています。

ゴジベリーにはベタイン、ゼアキサンチン、フィサリエンやβシソステロール、アミノ酸、ビタミン類が含まれ、抗酸化作用、降圧作用、肝臓保護作用、抗脂肪肝作用、視力改善作用などが注目されています。





 

ゴジベリーの歴史

ゴジベリーは日本から朝鮮、中国、台湾、マレー半島に分布する茄子科の落葉小低木から取れるクコの果実です。

クコの果実は2㎝程度の長楕円形をしており、成熟した果実は赤く光沢があります。

ゴジベリーは中国では5000年前から食べられてきたと言われ、かつては皇族や貴族しか食べられない貴重な食べ物でした。

その後、漢方、薬膳の食材として広まりました。漢方では「仙人の杖」と呼ばれ、不老長寿の実とされています。

中国では「旅に出る夫にクコの実を食べされるな」という諺があります。妻が夫の浮気を心配するほど、クコの実は栄養豊富で、精力を高める効果があると言われていたそうです。

中国ではクコの実が栽培されている地域は他の地域に比べて100歳以上の人が多く、歳を活力的です。

 

ゴジベリーの栄養

ゴジベリーにはアミノ酸、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンC、カルシウム、鉄分、ベタイン、ゼアキサンチン、ルチン、タンニン、ケルセチン、フィサリエンやβシソステロール、食物繊維が含まれます。

フィサリエンはゼアキサンチン同様に色素系の物質ですが、主に色素として含まれているものです。

ゴジベリーに含まれる栄養には、以下の働きがあるとされています。

  • 肝臓保護作用
  • デトックス
  • 生活習慣病予防
  • 目の機能維持
  • 癌予防
  • 筋肉の生成
  • 月経前症候群や更年期症状の軽減
  • 薄毛対策
  • 造血作用に関与
  • 骨形成をサポート
  • エネルギー代謝時の補酵素
  • 脳や神経機能の維持



 

肝臓保護作用

ゴジベリーに含まれるベタインは、植物や水産物などに含まれる天然物質でアミノ酸の一種です。

ベタインには肝機能を高める効果があります。糖分や脂肪、アルコールを摂りすぎると、肝臓に送られる脂肪酸の量が増えてしまい、中性脂肪が肝臓に溜まり脂肪肝になります。

特にアルコールが原因の脂肪肝の場合、肝硬変に進行してしまうことがあります。

肝硬変が更に進行すると肝臓癌に至る恐れがあります。

ベタインには脂肪肝の肝臓に対し、解毒作用のあるグルタチオンの産生を維持することによって酸化ストレスを除去するため、肝臓保護作用、抗脂肪肝作用の効果が注目されるようになり、更に肝硬変や肝炎、肝臓癌に進行するのを抑制する効果が期待されるのです。

ゴジベリーに含まれるビタミンB1、ビタミンCはアルコール代謝に関わり、アセドアルデヒド分解を促進する働きがあることから、肝機能低下を抑制すると言われます。


 

老廃物の排泄

ゴジベリーには食物繊維が含まれ、水溶性、不溶性の両方を含みます。

水溶性食物繊維は短鎖脂肪酸を増やすことによって腸管内のPHを弱酸性にすることによって善玉菌優位にし、不溶性食物繊維は善玉菌の餌となって腸管内を善玉菌優位にします。

水溶性食物繊維は便に適度な水分を含ませることによって排泄を促し、不溶性食物繊維は便のかさを増やして腸の蠕動運動を促進することによって、老廃物の排泄を促します。

老廃物の排泄によって腸内環境改善を図り、腸内環境が改善されると、免疫力強化や太りにくい体質の改善等のメリットが得られるでしょう。

 

生活習慣病予防

ゴジベリーは食物繊維によって腸管から余分な糖の吸収を抑える上に、血液中の余分な糖分やLDLコレステロール、中性脂肪の排出を促す働きがあると言われます。

βシソステロールは、LDLコレステロールを低下させる働きがあるとのことです。

ベタインには動脈硬化や糖尿病を予防する働きもあります。

動脈硬化の原因の一つのホモシステインは、肝臓でのアミノ酸代謝の際に中間体をして作られる物質で、通常は代謝酵素の働きによってシステインやメチオニンと代謝されます。

システインはメチオニンに代謝されるにはベタインが必要となります。

また、ベタインには糖が小腸から吸収するのを抑制する働きがあるので、血糖値やコレステロールの上昇を抑える役目もあります。

ゴジベリーには抗酸化作用のある栄養成分が幾つか含まれ、ビタミンA、ビタミンC、タンニン、ゼアキサンチン、ケルセチン等が該当します。

抗酸化作用は血液中の中性脂肪やLDLコレステロールを酸化を抑制する働きがあり、血管壁の効果やアテローム形成を未然に防ぐと言われます。

ケルセチンには血流改善、LDLコレステロールの低下、動脈硬化を予防する働きがあります。

カリウムも含まれる為、カリウムによってナトリウム量を調整することによって血圧を正常に保つように調整されます。

ゴジベリーは、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、脂肪肝、動脈硬化、血栓症、脳血管疾患、心疾患、胆石症等の生活習慣病予防に期待があります。

 

目の機能維持

ゴジベリーにはファイトケミカルのゼアキサンチンを含みます。

ゼアキサンチンはカロテノイドの一種で抗酸化作用があります。

ゼアキサンチンは体内では主に網膜に存在し、目の網膜を保護して白内障等の老化に伴う目の病気や疲れ目を防ぐ効果があると言われています。

ビタミンAはロドプシンの合成、網膜細胞の保護や光刺激反応に関わります

ビタミンB2は粘膜生成に関わることから、疲れ目やドライアイ、涙目、白内障、目の痒み等の目のトラブルを予防すると言われます。

ビタミンCには加齢性黄斑変性症の進行を抑制する働きがあるそうです。




 

癌予防

ゴジベリーは、抗酸化作用によって細胞を損傷から守ることによって癌予防にも期待があります。

βシソステロールはファイトケミカルの一つで、前立腺肥大症の予防の効果が期待されています。

βシソステロールは前立腺癌や乳癌の治療にも用いられる為、癌に対して効果的であるという見方もされます。

 

筋肉の生成

ゴジベリーにはアミノ酸が豊富に含まれ、必須アミノ酸全ても含んでいます。

ビタミンB6も含まれ、蛋白質の代謝をサポートします。

BCAAは筋肉の生成に深く関わっており、筋肉を付けたい方、成長期の方、燃焼体質を作りたい方に必要なアミノ酸です。

また、肝硬変の非代償期の肝性脳症抑制や、サルコペニアフレイル対策、COPDの栄養管理にBCAAは重要です。

 

PMSその他

ゴジベリーはこの他にも、βシソステロールの働きによって月経前症候群や更年期障害の症状軽減、男性の薄毛対策に期待されています。

骨形成、造血作用エネルギー代謝に関与したり、ブドウ糖の代謝に関わるビタミンB1による脳や神経機能機能向上もあると言われます。

その他に、ベタインによる胃液の粘度を調整する働きもあり、更に肌や髪の健康を保つ効果があると言われています。

 

注意点

ゴジベリーを食べる時には、次の点に注意しましょう。

月経周期の乱れ

ゴジベリーに含まれるアミノ酸の一種「ベタイン」は月経促進や人工中絶の作用の成分として知られています。

大量摂取をすると、月経の周期が乱れることがあります。

薬との相互作用

血圧降下剤を服用されている場合は低血圧を起こしかねないので、摂取量を控えると良いでしょう。

腎不全末期

ゴジベリーはカリウムが豊富なことから、腎不全が進行している場合は腎臓からの排泄機能が低下していることに伴い、カリウムも殆ど排泄されなくなります。

体内にカリウムが蓄積すると不整脈を起こすことに繋がり、腎性心不全に至ることがあります。

腸管トラブル

ゴジベリーは不溶性食物繊維が含まれ、腸閉塞に罹っている人が大量摂取をすると、腸管を詰まらせる危険性があり、腹部膨満や嘔吐の症状を引き起こす場合があります。

お腹を壊したり腸に炎症がある場合も、不溶性食物繊維は腸管内の炎症を悪化させることになりかねないため、腸管トラブルを起している場合は摂取を控えておきましょう。

タンニンの過剰摂取

ゴジベリーに含まれるタンニンは、大量摂取によって鉄の吸収を抑制したり、便を硬くすることによって便秘を引き起こす場合があります。

 

まとめ

ゴジベリーについてまとめます。

  • 肝臓保護作用
  • デトックス
  • 生活習慣病予防
  • 目の機能維持
  • 癌予防
  • 筋肉の生成
  • 月経前症候群や更年期症状の軽減
  • 薄毛対策
  • 造血作用に関与
  • 骨形成をサポート
  • エネルギー代謝時の補酵素
  • 脳や神経機能の維持

スーパーフードの一つとして位置づけられているゴジベリーは、様々な健康効果に期待されています。

ゴジベリーの1日の摂取目安量は大匙1杯(約7g)です。

摂りすぎによるデメリットを招かないためにも、1日あたりの摂取量守りましょう。


 
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