明日葉はセリ科シシウド属の多年草であり、日本を原産としています。房総半島や伊豆諸島、紀伊半島等の太平洋岸で自生し、冬でも緑色の葉を茂らせます。
明日葉は栄養成分が豊富なことから、青汁の原材料として使用されています。
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明日葉の栄養
明日葉にはβカロテン、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄分、銅、マンガン、クロム、亜鉛、コバルト、クマリン、カルコン、ルテオリン、クロロフィル、メラトニン、ルチン、イソクエルシトリン等が含まれています。
この中でも「カルコン」は明日葉だけにしか含まれていないと言われています。
明日葉には次のような健康効果に期待があります。
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三大栄養素の代謝
明日葉にはビタミンB群が含まれていることから、三大栄養素の代謝に関わります。
エネルギーを消費するには炭水化物が優先的に消費されます。
炭水化物は消化吸収後、ブドウ糖に分解され、解糖系を経てピルビン酸に変化し、有酸素運動下においてクエン酸回路にてエネルギーを産生します。
有酸素運動を持続的に行う時にビタミンB群が活用されると、疲労を抑制しながら脂肪燃焼を図る為、効率的な有酸素運動を行うことが出来ます。
蛋白質を含む食品と一緒に摂ると、蛋白質の代謝にビタミンB6が関わることによって筋蛋白合成を促進します。
アミノ酸の中でも芳香族アミノ酸は筋蛋白合成に関わり、中鎖脂肪酸と一緒に摂ると更に筋蛋白合成が促進されるとともに、筋蛋白分解を抑制すると言われます。
抗酸化成分が豊富
明日葉には抗酸化ビタミンであるビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが含まれ、体内でプロビタミンAに変換されるβカロテンも含まれています。
ビタミンの中でもビタミンEの抗酸化作用はトップクラスであり、ビタミンCはビタミンEの抗酸化作用を引き出す形でサポートします。
更に抗酸化作用のあるクマリン、カルコン、ルテオリン、クロロフィル、ルチン、イソクエルシトリンが含まれています。
銅には活性酸素の除去に関わることが知られ、抗酸化作用を助長することに役立つと言えます。
循環器疾患予防
明日葉は抗酸化作用があることから、活性酸素の産生を抑制することによって、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪を酸化から守ります。
酸化したLDLコレステロールや中性脂肪は血管を傷つけたり、血液をドロドロにしてしまいます。
そして血管が傷つくと血管を修復しようと血管内にアテロームが形成され、血管内が狭窄してしまいます。
抗酸化作用は、このような状態を未然に防ぐ為、動脈硬化や心疾患、脳血管疾患予防に役立つと言われています。
イソクエルシトリンには血管を強化する働きがあると言われ、ルチンには血小板凝固抑制作用があると言われることから、更に循環器疾患予防に役立てるでしょう。
老化防止
明日葉は抗酸化作用によって紫外線による肌のダメージを守り、シミやしわ、たるみなどの肌トラブルを予防すると言われます。
明日葉にはビタミンCも含まれ、コラーゲン生成に関わる上、しみやそばかすを目立たなくする働きがあるとされています。
明日葉には鉄分や亜鉛も含まれ、更に炭水化物や蛋白質と一緒に摂ることによって皮膚の修復作用が促す働きがあると言われます。
明日葉には美肌効果をはじめ、傷の修復を早めたり、皮膚の創傷やスキンテアの治癒を早めることに期待のある食品であることが言えます。
癌予防
明日葉の抗酸化作用は、細胞が傷つくことを防ぐことによって、癌予防に期待があるとされます。
また、ビタミンCにはNK細胞を活性化する働きがあることが知られています。
明日葉に含まれるカルコンには抗腫瘍作用があると言われます。
高血圧予防
明日葉にはカリウムが含まれ、電解質の均衡を図り細胞を正常に保つと言われます。
また、体内の余分なナトリウムの排泄を促すことによって血圧を正常にコントロールするとされています。
明日葉はカリウムによるナトリウムの排泄とともに、イソクエルシトリンの利尿作用によって浮腫みの改善効果に期待があります。
体内の余分な水分の排泄及び、クマリンによる全身の血流促進によって、肩こりや冷え、腰痛の改善にも期待があるでしょう。
骨形成
明日葉には骨や歯の材料となるカルシウムとリン及び、カルシウムを骨に定着させる役目のあるマグネシウムを含みます。
更に、骨芽細胞の生成に必要なビタミンK、身体を作る蛋白質、骨の形成に必要なコラーゲン生成に欠かせないビタミンCも含まれています。
貧血予防
明日葉に含まれるクロロフィルは「緑の血液」と呼ばれることがあります。
人間の血液は赤血球の材料として鉄分が利用され、血液の殆どが鉄分で占められていますが、クロロフィルはマグネシウムを中心として結合された構造をしています。
クロロフィルは体内に入ると血液中の鉄と結合してヘモグロビンの色素となります。この作用によって造血作用、血球増加作用があり、貧血を改善すると言われます。
明日葉には鉄分が含まれ、赤血球の材料として利用されます。
明日葉は植物性食品では珍しくビタミンB12を含んでおり、葉酸も含まれ、ビタミンB12と葉酸は赤血球合成に関わります。
そしてヘモグロビンの合成には銅による支えがあります。明日葉に含まれるビタミンCは非ヘム鉄をヘム鉄に還元する働きがある為、鉄分の吸収を促進します。
この為、明日葉には鉄欠乏性貧血や悪性貧血の予防や改善に期待があると言われます。
不妊症対策
明日葉には葉酸が含まれ、胎児の正常な成長や核酸の合成に関わります。
明日葉には亜鉛も含まれ精子の生成に関わることから、男性由来の不妊症改善にも役立てます。
一方、明日葉に含まれるクマリンにはエストロゲン作用があることから、女性の不妊対策にも良いと言われています。
このようなことから、出産を控えている方に明日葉は良いとされています。
抗炎症作用
明日葉に含まれるイソクエルシトリンには抗炎症作用及び消炎作用、免疫賦活作用があると言われ、ルテオリンにはアトピー性皮膚炎や花粉症等のアレルギー症状を軽減すると言われています。
抗菌作用
クマリンの香り成分には菌を死滅させることが知られています。
そしてカルコンには抗菌作用があると言われます。
肥満予防
明日葉にはアディポネクチン産生促進作用があると言われています。
アディポネクチンは善玉アディポサイトカインの一つであり、アディポサイトカインにはマクロファージの貪食抑制作用が知られ、酸化したLDLコレステロールや中性脂肪が沈着することを防ぐと言われます。
アディポサイトカインはインスリン感受性を高めることから、血糖コントロールを正常に行うことが可能となります。
その為、明日葉には糖尿病や肥満、生活習慣病予防に役立てることが言えます。
脳機能維持
明日葉に含まれるイソクエルシトリンには神経成長因子(BDNF、NGF、GDNF)の産生に関与するとされています。
クマリンにはNGFという神経成長因子の成分を助けると言われます。NGFが脳に多いと、神経伝達のやり取りが促され、電気信号のやりとりが円滑になります。
明日葉には認知症予防や脳機能向上に役立てる食品であることが言えます。
エストロゲン様作用
明日葉に含まれているクマリンにはエストロゲン様作用があると言われ、不妊対策やバストアップ、更年期症状の軽減や女性ホルモンの調整に役立っています。
目の健康維持
明日葉にはビタミンA、βカロテン、ビタミンB2、ビタミンC、ルテイン、ゼアキサンチンが含まれていることから眼のトラブル予防に良いと言われます。
βカロテンは体内においてビタミンAに変換し、網膜細胞の保護や光刺激反応に関わります。
ビタミンB1やビタミンCは目の粘膜を強化する働きがあることからドライアイや涙目、充血、目の痒み、白内障から守ると言われます。
ルテインとゼアキサンチンには紫外線等の有害な光から目を守る働きがあります。
ルテイン、ゼアキサンチンは抗酸化作用によって活性酸素を無害化し、黄斑部を守り視力低下や加齢性黄斑変性症、白内障等の目のトラブルを防止することに役立つと言われます。
注意点
栄養豊富な明日葉ですが、摂取の際に気を付けることもあります。
ワーファリン服用
明日葉にはビタミンKが豊富に含まれています。
ワーファリン等の血液凝固抑制剤を服用している場合、ビタミンKによって薬の作用を弱めてしまう場合があります。
血液凝固抑制剤を服用している場合は、医師や薬剤師に相談してみることをお勧めします。
腎機能低下
明日葉にはカリウムが豊富に含まれ、更に高い利尿効果に期待のある食品ですが、腎機能低下が進行して、腎不全の末期に至っている場合は、カリウムの摂取に注意が必要です。
機能が低下している場合、排泄機能が正常に行われなく、摂取したカリウムが次々と蓄積されてしまいます。
カリウムが過剰に蓄積されると不整脈を起こしてしまい、最悪の場合、死に至ってしまうことが考えられます。
まとめ
明日葉についてまとめます。
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青汁の材料の一つとして用いられる明日葉は、ケールや大麦若葉とは違った健康効果に期待があります。
健康効果に優れていますが、ビタミンKが多いことからワーファリンを服用されている場合は注意が必要です。