甜菜が由来となった肝機能を高める成分「ベタイン」

ベタインはアミノ酸の一種であり、アミノ酸の中のアミノ基に3つのメチル基が付いた化合物を総称したものです。

ベタインは体内ではコリンの代謝産物として存在し、ホモシステインからメチオニンへの変換に関わっています。

ベタインには保湿性が高いという特徴があり、化粧品にも活用されています。





 

ベタインの働き

甜菜から発見されたベタインには次の効能に期待があります。

  • 肝疾患予防
  • 動脈硬化、糖尿病、脂質異常症予防
  • 筋肉の生成
  • 胃を酸性に調整する

 

肝疾患予防

ベタインには、肝臓へ脂肪が沈着するのを防ぐとともに、脂肪の排出を促進する作用があるとのことです。

その為、糖分や脂質、アルコールの過剰摂取による脂肪肝から肝臓を守る働きがあります。

ベタインには脂肪肝に罹ってしまった時でも、解毒作用のあるグルタチオンの産生を維持し、酸化ストレスを除去する働きがあることから、肝硬変、肝炎、肝臓癌への進行を抑制する働きがあるそうです。



 

動脈硬化、糖尿病、脂質異常症予防

ベタインはホモシステインがメチオニンへと代謝される際に必要な物質であります。

ホモシステインは肝臓でのアミノ酸代謝の際に中間体としてつくられる物質で、通常代謝酵素の働きによってシステインやメチオニンへと代謝されます。

葉酸はビタミンB12やビタミンB6と共にメチオニン代謝に関わっていますが、葉酸が不足した場合もベタイン不足同様に、メチオニン代謝に異常をきたします。

メチオニンやシステインが代謝抑制されると、ホモシステインは過剰に作られます。

体質若しくは動物性脂肪の過剰摂取によって過剰になったLDLコレステロールとホモシステインが結合すると、活性酸素により酸化されやすくなり、動脈硬化や心疾患、脳血管疾患のリスクを高めてしまいます。

ベタインは血液中のホモシステイン濃度を抑え、動脈硬化を予防する働きがあると言えます。

ベタインには糖が小腸から吸収されるのを防ぎ、血糖値の急激な上昇やコレステロール値の上昇を抑える働きがある為、糖尿病予防や脂質異常症予防に効果的と言えます。

このように、ベタインには生活習慣病予防効果が期待出来ます。

 

筋肉の生成

ベタインを摂取すると、クレアチニンの前駆物質であるグリシンが補給されることから、筋力アップ効果があると言われています。

クレアチニンはグリシン、アルギニン、メチオニンの3種類のアミノ酸が反応して作り出され、筋肉が瞬発的な動きをするときにエネルギーとして使われます。

この時、アルギニンとクレアチニンを組み合わせて摂取すると、アルギニンの血管拡張作用によって酸素や栄養が円滑に運搬され、クレアチニンの生成を促進してくれます。

ベタインは成長ホルモン分泌促進効果やインスリン様成長因子の増加により筋肉量を増やすとともに、筋肉を分解するコルチゾールが減少させると言われます。

筋肉を作るには栄養と運動又はリハビリテーションを併せて行うことがポイントです。

運動と筋力アップの為の栄養補給により、トレーニングによる筋力アップ効果や体脂肪低下、筋肉を付けることによる太りやすい体質の改善効果、サルコペニア対策による介護予防等、年齢層問わず効果が期待出来ます。




 

胃を酸性に調整

ベタインには胃酸不足となった胃袋の酸度を調節する働きがあります。

但し、胃酸過多の状態でベタインを摂取してしまうと逆効果になってしまい、逆流性食道炎を起こしてしまうことがあります。

 

ベタインを含む食品

ベタインはタコ、イカ、甲殻類、貝類、ほうれん草、甜菜、キノコ類に多く含まれています。

ベタインは旨味成分や甘味成分としても活用され、酸味や塩味をまろやかな味に仕上げてくれます。


 

1日あたりの目安摂取量及び注意点

ベタインの1日あたりの目安摂取量は2.5gです。一度に過剰摂取した場合、腹痛などの症状が現れる為、サプリメントで摂取する場合は適正量を守ると良いでしょう。

 

食品以外の役割

ベタインは食品以外に化粧品等に用いられます。

ベタインは陽イオンと陰イオンを持つ天然の両性界面活性剤です。

吸湿性と保湿性が高く、浸透性に優れており、刺激も少ないので敏感肌にも適しています。また、帯電を防止する効果もある為、ヘアケア商品にも活用されています。

 

まとめ

ベタインの働きについて最後にまとめます。

  • 肝疾患予防
  • 動脈硬化、糖尿病、脂質異常症予防
  • 筋肉の生成
  • 胃を酸性に調整する

ベタインは甜菜が由来となって名づけられていますが、甜菜糖の他にも複数含まれている為、普段の食事の中に魚介類、野菜類、きのこ類を取り入れていくようにしましょう。

 
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