低カロリーでBCAAを含む種実類「カシューナッツ」

カシューナッツはナッツ類の中では低カロリーです。

カシューナッツがカロリーが低いのは、他のナッツ類より脂肪分が少なめだからです。

その為、他のナッツ類と栄養組成が少し異なります。





 

カシューナッツの起源

カシューナッツはウルシ科の常緑高木であるカシューの種子です。

原産は南アメリカ大陸北部ないし北東部地域、西インド諸島全域であり、学名のアナカルディウムはラテ後の上向きと心臓が由来となり、「上向きの心臓」に見えることから命名されています。

カシューは十分な耐寒性はなく、多雨加湿を嫌う為、適度な降雨量のある熱帯地域や亜熱帯地域を好みます。樹幹下部からよく分枝し、成木は受講8~15m程伸びます。

1580年代以降、原産地の一部である南アメリカ大陸北東部地域にポルトガル人が進出した際、現地の先住民族が話すトゥピ語系言語の当品種の呼称「ゥカジュー」をポルトガル人が聞き取って、ポルトガル語に外来語「カジュー」として導入したのが語源とされます。

その後、更に転出して英語で「カシュー」と呼ばれるようになりました。

ポルトガル人らが、原生していたカシューを実用手として認識し、各地に普及しました。

当初から、樹幹下部から良く分枝して枝を張る当種の特徴を利用して、沿岸部における防風林として植樹されたほか、その果実、特に種子が食用として重宝されました。

1650年代にインドのゴアに大規模な種子の食用加工工場が造営されて製品が各地に輸出されたことから、世界的に有名になりました。

 

カシューナッツの栄養

カシューナッツは100gあたり567㎉とエネルギーが他のナッツ類より少なく、栄養組成も他のナッツ類と異なります。

カシューナッツはカリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、セレン、モリブデン等のミネラルが豊富に含まれています。

アミノ酸が豊富であり、BCAAが含まれているのも特徴です。

ナッツの中では炭水化物が多めで脂質が少なめです。

ビタミン類は主にビタミンB群が含まれ、ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸が含まれ、ビタミンKも含まれています。

脂質は主にオレイン酸を含み、αリノレン酸含有量が少ないのも特徴です。

また、GI値が34とナッツ類の中では高めです。

カシューナッツには以下のような健康効果に期待があります。

  • 便秘解消
  • デトックス
  • 美肌効果
  • 疲労抑制
  • 肥満予防
  • 脳や神経機能の維持
  • 循環器疾患予防
  • 貧血予防
  • 筋肉の合成
  • 出産のトラブル予防…等



 

デトックス

カシューナッツには不溶性食物繊維が多く含まれています。

不溶性食物繊維は善玉菌の餌となり、腸内環境を善玉菌優位にさせる働きがあります。

水分と一緒に摂取すると便のかさを増し、腸の蠕動運動を促すことによって排便を促します。

カシューナッツにはマグネシウムが含まれ、マグネシウムは水分と摂ることによって便に水分を含ませることによって便を排泄しやすくします。

カシューナッツにはオレイン酸も含まれているので、オレイン酸によって便の通じが円滑になります。

その為、老廃物排泄によって腸内環境が改善され、腸内環境改善による体質改善にも期待があるでしょう。

 

皮膚の形成

皮膚の形成にはアミノ酸、亜鉛、鉄が関わり、皮膚の栄養になる事によって美肌効果を得られ、創傷治癒にも関わりがあります。

蛋白質は体組織を作る働きがあり、ビタミンB6が蛋白質を代謝することによって蛋白質の作用を引き出します。

ビタミンB2は皮膚や粘膜、髪や爪の形成に関与します。

老廃物の排泄によって腸内環境改善されると、美肌効果にも期待があります。

セレンには強い抗酸化作用があり、抗酸化作用によって紫外線から皮膚を守り、しみやしわ、たるみなどを予防すると言われます。

 

エネルギー代謝

 

カシューナッツにはビタミンB1、B2、ナイアシン、パントテン酸、マグネシウムが含まれており、エネルギー代謝に関わっています。

糖質は解糖系にて建機的条件下においてピルビン酸に変換されます。

この時ビタミンB1、マグネシウムが補酵素として利用されます。

ピルビン酸は好気的条件下においてクエン酸回路にてエネルギーが利用されますが、この時、ビタミンB1によってアセチルCoAに変換される必要があります。

クエン酸回路では三大栄養素の代謝が行われ、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸が補酵素として利用されます。

ビタミンB群の摂取によってエネルギーが利用され、運動時における疲労を抑制したり、脂肪燃焼を効率的に行います。

 

脳や神経機能の維持

副腎皮質ホルモンや神経伝達物質の合成にパントテン酸が役立ち、亜鉛も神経伝達に関わる栄養成分であります。

ビタミンB6、トリプトファンはマグネシウムとともにセロトニンの原料と使われるため、脳機能向上や精神安定効果が得られるそうです。

マグネシウムには興奮抑制作用、筋肉の緊張監査、GABAの働きを持続させると言われます。

カシューナッツにはビタミンB1が豊富に含まれており、ビタミンB1は糖質の代謝に主に関わることから、脳の唯一の栄養源であるブドウ糖を利用させる働きがあります。

ブドウ糖はビタミンB1の代謝によって脳や神経機能を向上させ、怒りや鬱を抑制したり、記憶力や学習力を高めることに期待があります。

 

循環器疾患予防

カシューナッツにはカリウムが含まれています。

カリウムは体内に余分に溜まったナトリウムを排出する働きがあり、血圧上昇抑制効果に役立ちます。

更にカシューナッツには、体液循環をサポートするマグネシウムも含まれ、オレイン酸のコレステロール・中性脂肪の上昇抑制効果による血液サラサラ効果と共に相乗効果が期待出来ます。

これらとカリウムのナトリウムを排泄する働きが相乗し、浮腫み対策に良いと言われます。

カシューナッツには抗酸化作用の強いセレンが含まれ、抗酸化作用によって血液中の中性脂肪やLDLコレステロールの酸化を抑制します。

その為、酸化した中性脂肪やLDLコレステロールによって血管壁が傷ついたり、血栓ができることを未然に防ぎます。

その為、心疾患や脳血管の予防に期待があるのです。




 

造血作用

銅は肝臓や脾臓の鉄が有効活用するのに必要な栄養素であり、体内で鉄が利用されるには銅が必要となります。

カシューナッツには鉄分も銅も含まれており、鉄分含有量は100gあたり4.8㎎と豊富な為、貧血予防や改善に加え、疲労回復、冷えの改善、免疫力向上にも良いとされます。

 

筋肉の合成

カシューナッツにはアミノ酸が含まれ、BCAAがナッツ類の中で比較的多く含まれています。

BCAAはアミノ酸の中でも筋蛋白合成に関わり、ビタミンB6が蛋白質を代謝することによって促進されます。

 

出産の成立

カシューナッツには葉酸が含まれ、葉酸は核酸の合成に必要なことから、胎児の正常な成長をサポートします。

カシューナッツには亜鉛、セレンが含まれています。

亜鉛、セレンは精巣に存在し、刺激ホルモンの分泌との関わりがあります。

そして、精子や精液の材料となり、男性由来の不妊症予防をサポートします。

 

注意点

カシューナッツを食べる際は以下の点に注意しましょう。

アレルギー

カシューナッツはアレルギーを持っている方は注意が必要です。

かゆみや蕁麻疹が見られる時は食べるのをやめましょう。

酷い場合はアナフィラキシーショックを起こすリスクがあります。

セレンの過剰摂取

セレンは癌予防や生活習慣病、アンチエイジング効果に役立ちますが、毒性の強い成分でもあります。

過剰摂取によって重症の胃腸障害、神経障害、心筋梗塞、急性呼吸不全、腎不全等の症状を引き起こすことがあります。

カシューナッツは葉酸が含まれている為、胎児の成長をサポートしますが、摂りすぎてしまうとセレンの過剰摂取に繋がり、奇形児や流産の危険性があると言われます。

腸疾患

カシューナッツは食物繊維が多いことから、腸管トラブルを起こしている場合は摂取を控えましょう。

腸閉塞に罹っている場合は腸管の神経障害や狭窄によって腸管が正常に機能せず、食物繊維によって腸管を詰まらせるリスクがあります。

また、炎症性の腸疾患やお腹を壊していると、炎症を悪化させたり、お腹を壊してしまうことがある為、腸疾患に罹っている場合は控えておきましょう。

腎不全末期

ナッツ類は全般的にカリウムが含まれます。

腎機能が低下していると、排泄機能が働かなくなり、カリウムが蓄積しやすい状態となります。

ナッツ類の過剰摂取はカリウムの大量摂取に繋がり、血中カリウム濃度が上がることによって不整脈を起こす危険性があります。

脂肪制限の指示

カシューナッツはナッツ類の中では比較的脂肪が少なめです。

但し、食べ過ぎればそれなりに脂肪摂取量が負ます。

膵臓疾患や胆石症等で医師から脂肪制限の指示を受けている場合は、食べ過ぎないようにしましょう。

 

まとめ

カシューナッツについてまとめます。

  • 便秘解消
  • デトックス
  • 美肌効果
  • 疲労抑制
  • 肥満予防
  • 脳や神経機能の維持
  • 循環器疾患予防
  • 貧血予防
  • 筋肉の合成
  • 出産のトラブル予防…等

カシューナッツの1日あたりの摂取量は10~15粒が良いと言われます。

ナッツの中では低カロリーですが、栄養成分の過剰摂取障害を起さないためにも、1日当たりの量は守るようにしましょう。


 
栄養相談、サポート詳細
 

関連記事

最近の記事

  1. 4つに分類される「カラメル色素」は出来るだけ避けたい食品添加物

  2. 酵素ドリンクの役割と注意点

  3. 春の七草の一つである「せり」は3~4月が食べ頃