あんパンの上の粒々は…?
ポピーシードは日本では特殊な許可が下りない限り栽培が禁止されているため、国産品は市販されていません。
ポピーシードは白から黒まで多彩な色がありますが、主に食用として用いられているのはクリーム色のものと黒のものが多くを占めています。
あんパンの上に乗っている細かい粒々がポピーシードなのです。実は七味唐辛子の中にもポピーシードは使われているのです。
Table of Contents
ポピーシードの歴史
ポピーはケシ科の一年草です。
ポピーシードは紀元前5000年頃の遺跡からけしの身が発見された記録があり、人類の誕生とともにあった植物といわれています。
シュメール文明に栽培法が確立し、古代エジプトを経由し、古代ギリシャへ伝わり、更に古代ローマを経てヨーロッパに広げられたそうです。
大国会時代には世界各国に広がり、各地でアヘン栽培が行われるようになりました。現在では鎮痛剤として流通されています。
日本には室町時代に持ち込まれたという説があります。そして大規模的に栽培が始まったのは明治時代でした。
但しケシは違法栽培となっているアヘンやヘロインに加工目的で栽培されている地域があります。
日本では「あへん法」という厳しい法律により医療や研究目的のように特殊な許可が下りない限り栽培が出来ないことになっています。
その為、国産品のポピーシードは市販されていません。
ポピーシードの栄養
ポピーシードには蛋白質、不飽和脂肪酸、不溶性食物繊維、ビタミンB群、ビタミンE、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄分、銅、マンガン、セレン、クロム、アルカロイドが含まれています。
ポピーシードには次のような健康効果に期待があります。
|
アミノ酸代謝をサポート
ポピーシードには蛋白質が100g中19.3g含まれています。とは言ってもポピーシードの摂取量は微々たるものの為、通常範囲で摂ると特に高蛋白というわけでもありません。
しかし、ポピーシードには必須アミノ酸の全てが含まれています。
ポピーシードにはビタミンB6も含まれ、ビタミンB6が代謝に関わることによって筋蛋白合成効果が得られると言われます。
筋肉が付いて体脂肪率が減ると運動によってダイエットしやすい身体を作ることが出来ると考えられます。
ポピーシードのアミノ酸は必須アミノ酸中、トリプトファンの含有量が少なめとなっています。
但し、分岐鎖アミノ酸(BCAA)全てを含んでおり、筋力を付けたい方、ダイエット目的で痩せやすい身体作りをしたい方、子供も成長に活用出来る食材であることが言えます。
BCAAは筋力強化だけではなく、COPDや癌等のエネルギー代謝や蛋白質の異化亢進が著しい時に、筋肉量低下を防ぐ為に必要な成分とされています。
BCAAは肝硬変の非代償期において必要な成分です。通常アミノ酸のフィッシャー比(BCAA/AAA)は3~4が基準値とされています。
しかし、肝硬変に罹るとBCAAだけが消費される為、フィッシャー比が下がります。
その為、肝硬変非代償期においてBCAAの補給は重要となり、肝性脳症の予防に努める必要があります。
生活習慣病予防
ポピーシードに含まれる脂肪酸は一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸です。
ポピーシードは脂質が5~7割の割合で含まれており、含有されている脂肪がオレイン酸であり、トランス脂肪酸とは違って体内に蓄積されるだけの油ではありません。
オレイン酸にはLDLコレステロールを減らしてHDLコレステロールを維持する働きがあると言われます。
更に血管内に付着したコレステロールを回収させる為、血流を促す働きもあります。
ポピーシードには抗酸化ビタミンであるビタミンEも含まれます。
抗酸化作用には活性酸素による過酸化脂質の生成を抑え、血管壁がもろくなって傷つくことを防ぐと言われます。
その為、脂質異常症の予防や動脈硬化、心筋梗塞、脳血管疾患等の循環器疾患予防効果があることが言えます。
ポピーシードは種実類であることから、糖質の含有量が少なく低GI食品です。
不溶性食物繊維には腸管から余分な糖の吸収を抑制する為、糖尿病や肥満、脂質異常症等の予防効果に期待があることから、ポピーシードには生活習慣病予防への役割を担っていることが言えます。
便秘解消
ポピーシードには不溶性食物繊維が含まれており、善玉菌の餌となる上に腸の蠕動運動を促す働きがある為、便通コントロールによって腸内環境を改善する働きがあるとされています。
また、オレイン酸にも腸管を刺激する作用があり、便通を良くする為、ポピーシードには腸をキレイにして、免疫力や体質改善、美肌効果等の効能を享受出来ることが言えます。
エネルギー代謝
ポピーシードにはビタミンB群が豊富なことからエネルギー代謝によって疲労を抑え、脂肪燃焼を効率的にする働きがあるとのことです。
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシンはエネルギー代謝に関わり糖や脂質が利用されるのを促します。
その為、継続的な有酸素運動において疲労感を抑えつつ脂肪燃焼効果を発揮します。
骨形成
ポピーシードにはカルシウム、マグネシウム、リン、マンガンが含まれています。カルシウムとリンは骨や歯の栄養となり、マグネシウムはカルシウムを定着される働きがあります。
その為、骨粗鬆症予防や骨折による怪我の修復促進効果に期待があります。
造血作用
ポピーシードには鉄分、銅、葉酸が含まれている為、貧血予防に向いている食品であることが言えます。
鉄分は赤血球の材料となり、葉酸は赤血球の生成に関わります。
銅は鉄分を二価鉄から三価鉄にすることによって鉄分を有効利用させる働きがある為、鉄欠乏性貧血の予防や改善に効果的な食品であることが言えます。
出産時の栄養
ポピーシードに含まれている葉酸には細胞分裂を正常にする働きがあることから、胎児を正常に成長させる働きがあると言われています。
その為、妊娠中の方が葉酸を摂るのに積極的に摂っていただたい食品であることが言えます。
亜鉛、セレンは精子や精液の生成に関わる為、男性由来の不妊症の改善に良いと言われ、男性にとって有用な栄養成分を含む食品であることが言えます。
美肌効果や円形脱毛症予防
ポピーシードには蛋白質、鉄分、亜鉛が含まれていることから、皮膚の形成に関わり、創傷治癒や傷の治りを早くする役目があることが言えます。
ポピーシードに含まれる亜鉛には、薄毛予防や円形脱毛症の改善効果が期待されます。
抗酸化作用には紫外線から肌を守り、シミやシワを防ぐことから、肌の老化を防止する働きがあるとのことです。
抗癌作用
抗酸化作用には免疫力を高める働きがあることから、癌予防にも効果があると言われています。
鎮静作用
ポピーシードに含まれるアルカロイドには鎮静作用があると言われています。
その為、興奮や苛立ちを鎮めるのに効果的であることが言えます。
アルカロイドの鎮痛作用はモルヒネに用いられ、癌の疼痛管理や終末期医療に用いられています。
まとめ
ポピーシードについてまとめます。
|
麻薬の作用が心配されるポピーシードですが、アヘンとしての成分は含まれないので安心して召し上がれます。
ただ、沢山摂取してしまうと、オメガ3脂肪酸があまり含まれていないことから、オメガ3とオメガ6の比率が偏ってしまいます。
1日あたりの目安量は定かではありませんが、多くともスプーン1杯程度に留めておきましょう。