ライスという名の低GIなスーパーフード「ワイルドライス」

ワイルドライスは「ライス」と名前に付きますが、実はお米ではないのです。

米ではありませんが、栄養価が高くGI値が低いことからお米の代わりとしても利用できます。

しかし、調理する際には注意点があります。





 

ワイルドライスとは?

ワイルドライスは、イネ科の一年草のアメリカ真菰の草の実です。

アメリカの先住民であるインディアンが、主食として数千年も前から食べてきました。

ワイルドライスは聖なる穀物と崇められ、大切な儀式に使われてきた歴史があり、先住民の間では聖なる種を意味する「マノーミン」と呼ばれています。

現在は、インディアンライス、カナディアンライスとも呼ばれ、お米に代わる主食の食材として人気を集めています。

 

ワイルドライスの栄養

ワイルドライスには20種類のアミノ酸が含まれています。

ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、パントテン酸、葉酸、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類、マグネシウム、亜鉛、ビタミン、鉄分、カルシウム、マンガン、セレン等のミネラル類、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維が含まれています。

この中ではビタミンB群、ビタミンE、葉酸が豊富に含まれています。

ワイルドライスは玄米と比べるとカロリーや脂質が低く、100gあたり約100キロカロリーと低カロリーである為、食事量を減らさずにダイエット食として活用することも出来ます。

主食の他にもサラダやスープとして、幅広い料理に使う事が出来ます。

ワイルドライスには体内では以下のような働きがあると言われます。

  • 三大栄養素の代謝
  • 腸内環境改善
  • 生活習慣病予防
  • 抗ストレス
  • 胎児の成長…等



 

三大栄養素の代謝

ワイルドライスにはビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、パントテン酸、マグネシウムが含まれ、三大栄養素の代謝に関わっています。

糖質の代謝にはビタミンB1が必要であり、無酸素運動下において糖質を代謝するにはビタミンB1とマグネシウムが必要とされます。

有酸素運動による継続的な運動となると、体脂肪の燃焼に移行されますが、その為には糖質から変換されたピルビン酸がアセチルCoAに変換する必要があります。

この変換においてもビタミンB1が必要となります。

アセチルCoAはミトコンドリア内においてクエン酸回路というエネルギー代謝経路に入り、体脂肪がエネルギーとして利用されるのにビタミンB2やナイアシン、パントテン酸が補酵素として活用されます。

このように、糖質や脂質がエネルギーと代謝されるにはビタミンB群が必要であり、ビタミンB群不足は乳酸の蓄積にも繋がります。

ビタミンB6は脂質や蛋白質の代謝に関与し、特に蛋白質の働きをサポートします。

ワイルドライスは蛋白質が含まれていますが、100gあたり4gなので決して豊富とは言えません。

蛋白質を含む食品と一緒に摂ることによって、体組織の形成や免疫力の強化、栄養素の運搬や神経伝達物質としての働き等を発揮します。

 

腸内環境改善

ワイルドライスには水溶性と不溶性の食物繊維が含まれています。

水溶性食物繊維は短鎖脂肪酸を増やす働きがあり、短鎖脂肪酸には大腸内を弱酸性に傾ける働きがあります。

大腸が弱酸性になると善玉菌が増殖しやすい環境を作り出し、日和見菌が善玉菌をサポートすることによって腸内が善玉菌優位となります。

不溶性食物繊維は善玉菌の餌となり、腸管内を善玉菌優位にします。

水溶性食物繊維やマグネシウムには、硬くなった便に水分を含ませることによって便の排泄を促します。

不溶性食物繊維は、腸の蠕動運動を促して排泄を促します。

マグネシウムには有害物質や重金属を排出させる働きがあることから強いデトックス作用があると言われます。

腸内環境改善によって得られるメリットは数多く、美肌効果やダイエットしやすい身体作り、脳機能向上等の効果に期待があるでしょう。

 

生活習慣病予防

ワイルドライスは低GI食品であり、カロリーも100gあたり約100kcalであり、米やパンより低カロリーです。

ワイルドライスは食物繊維によって余分な糖の吸収を抑えます。

水溶性食物繊維には、血液中の余分な糖分や中性脂肪、LDLコレステロールを排出する働きがあります。

ワイルドライスにはカリウムが豊富に含まれ、カリウムは余分なナトリウムを排出することから高血圧予防に良いと言われています。

ワイルドライスには抗酸化力の強いビタミンEも含まれ、中性脂肪やLDLコレステロールを酸化から守ることによって、動脈硬化や心疾患、脳血管の予防に良いとされています。

ワイルドライスには、糖尿病、肥満、脂質異常症、脂肪肝、胆石症、動脈硬化、血栓症、心疾患、脳血管疾患等の生活習慣病予防効果に期待があると言えます。

ワイルドライスにはアミノ酸が全て含まれ、筋蛋白合成に必要なBCAAが含まれることから、体脂肪率低下を図ることによってダイエットをサポートする食品の一つとして活用出来ます。

アミノ酸の中には成長ホルモンの分泌を促進するものもあり、成長ホルモンの分泌は、脂肪燃焼を促すとともに、食欲を抑制する働きがあるとのことです。

ワイルドライスは低カロリーで低GIであることから、辛いダイエットをサポートすることにも役立ち、食事量を減らさずに満足感を得られる食事作りに活用出来るでしょう。




 

ストレスケア

ワイルドライスには鉄分、カルシウム、マグネシウムが含まれ、ストレス軽減及び自律神経の調整に関わります。

ビタミンB1は炭水化物の代謝に関わり、脳のエネルギー源であるブドウ糖を代謝することによって、脳機能や神経機能を正常に保つと言われます。

マグネシウムにはGABAの作用を持続させると言われます。

ワイルドライスにはトリプトファンやビタミンB6、マグネシウム、鉄分が含まれ、これらの栄養素がセロトニン生成に関与しています。

 

胎児の成長

葉酸にはDNAや蛋白質の合成を促す効能があり、胎児の先天的な異常を予防する働きもあると言われます。

妊娠時に不足しやすい栄養素の為、葉酸の補給源として活用出来ます。

ワイルドライスには亜鉛も含まれ、精子や精液の材料となることから、男性由来の不妊症改善にも役立ちます。

 

造血作用他

ワイルドライスはこの他にも鉄分や葉酸による、造血作用によって貧血の予防に寄与します。

ワイルドライスに含まれるビタミンやミネラルは、男性の薄毛対策、味覚障害、皮膚の粘膜形成、免疫力強化、癌予防等、数々の健康効果をサポートするでしょう。

 

ワイルドライスの召し上がり方

ワイルドライスは基本的には加熱してから召し上がります。生のままでは非常に硬いので消化不良を起こしてしまいます。

  1. ワイルドライスを茹でて調理するときは、まずはじめに水洗いをします。
  2. その後、鍋に沢山の水を張って少々の塩を加え、20~30分茹でます。茹で上がったらざるにあけて水を切り、それから料理に使います。
  3. 炊飯器で炊く場合はワイルドライスと水の割合を1:4にします。

この時、御飯と一緒に炊いてしまうとワイルドライスの方が硬いため、芯が残ってしまいます。炊飯器を使う時は御飯と別々に炊きましょう。

 

まとめ

ワイルドライスについてまとめます。

  • 三大栄養素の代謝
  • 腸内環境改善
  • 生活習慣病予防
  • 抗ストレス
  • 胎児の成長…等

ワイルドライスは低GIで低カロリーであることから、食事制限で食事を減らすことが辛いと言う人に活用出来る食品であると言えます。

主食の代わりに使える上に、現代人が不足しやすいビタミンB群の補給源としても適しているでしょう。


 
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