酸味とビタミンで疲労抑制効果に期待あり、栄養満点なマメ科の植物「タマリンド」

タマリンドは熱帯アフリカを原産とするマメ科の常緑高木であり、タマリンドの果実をいいます。

東南アジア等の亜熱帯及び熱帯地方各地で栽培されており、樹高は約20m、長さ7~15㎝、幅2㎝程のさやの中の軟らかい「タマリンド果実」と呼ばれる果実が食用となります。

タマリンドは甘酸っぱく、生食やドライフルーツ、料理の調味料、ピクルス、チャツネ、菓子、清涼飲料水等に利用されています。





 

タマリンドの栄養

果肉には酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機酸、ペクチン、ビタミンB群等が含まれています。

銅、カリウム、カルシウム、鉄、セレン、マグネシウム等のミネラルを含み、特に鉄分が豊富に含まれています。

ビタミンB群以外のビタミン類も含まれ、ビタミンA、葉酸、ナイアシン、ビタミンC等も豊富に含まれています。

この他に、タンニン、ヒドロキシクエン酸が含まれています。

タマリンドには、以下のような健康効果に期待があります。

  • 疲労抑制
  • 筋肉の発達のサポート
  • 神経機能の維持
  • アンチエイジング
  • 腸内環境改善
  • 癌予防
  • 糖尿病、肥満予防
  • 循環器疾患予防
  • 貧血の予防及び改善
  • 消化機能の活性化
  • 抗ストレス…等



 

三大栄養素の代謝

タマリンドに含まれるビタミンB群は、特にB1、B2、B6が多く含まれています。

マグネシウム、ナイアシンも含まれ、三大栄養素の代謝に関与します。

糖分が体内でピルビン酸に変換するには、マグネシウムとビタミンB1が必要になります。

ピルビン酸に変換された糖質がクエン酸回路によってエネルギーとして利用されるには、アセチルCoAに変換する必要があります。

ピルビン酸がアセチルCoAに変換するには、ビタミンB1が補酵素として働きます。

ビタミンB2やナイアシンはクエン酸回路にて補酵素として働き、体脂肪がエネルギーとして利用されることをサポートします。

ビタミンB群の摂取は有酸素運動における疲労を抑制するため、無理なく運動を続けることに繋がります。

ビタミンB6は蛋白質を摂取した時に必要なビタミンBであり、筋肉を付けたり、皮膚の形成に関わる他、免疫力の強化や輸送等、蛋白質の働きをサポートしたり、肝機能を強化します。

タマリンドに含まれるチアミンが、筋肉の発達をサポートし、更に神経機能の改善、強化に役立っています。

 

皮膚を若く保つ

また、ビタミンB群は皮膚の粘膜の健康維持に役立っています。

ビタミンB1は肌の新陳代謝を促進させ、B2とB6は粘膜の健康維持に役立ち、タンニンによる抗酸化作用や抗炎症作用によって、美肌効果もあると言われます。

ビタミンCも含まれている為、更に抗酸化作用が期待されます。

 

癌予防

抗酸化作用にはアンチエイジング効果の他、生活習慣病や癌の予防に役立っています。

タマリンドに含まれるビタミンCは、NK細胞を活性化させると言われます。

ヒドロキシクエン酸はαリポ酸と併用すると、ヒドロキシクエン酸はATPクエン酸リアーゼの活性を阻害し、αリポ酸はピルビン酸脱水素酵素の活性を高めることから、癌細胞の増殖を抑制することが推測されています。

 

腸内環境改善

タマリンドには100gあたり5.1gの食物繊維を含みます。

また、ペクチンも含まれている為、水溶性と不溶性の両方の食物繊維を含んでいることとなります。

不溶性の食物繊維は水分と一緒に摂ると便のかさを増やして排便を促し、排泄を促します。

また、善玉菌の餌となるため、プレバイオティクスとして腸内環境改善にも役立ちます。

水溶性食物繊維は大腸内のphを弱酸性にすることによって善玉菌優位にします。

水溶性食物繊維とマグネシウムは、便に適度に水分を与えることによって排便を促します。

腸内環境が整うと、排便コントロールが改善される他、免疫力向上や太りにくい体質作り、精神疾患の予防等の効果もあると言われます。

 

糖尿病、肥満の予防

不溶性食物繊維は糖の吸収を抑え、水溶性食物繊維は中性脂肪やコレステロールの排泄に関わるります。

タマリンドにはヒドロキシクエン酸という成分が含まれています。

ヒドロキシクエン酸には肝臓や筋肉において、ブドウ糖のグリコーゲン合成を促進する為、血中へのブドウ糖放出を抑制し、血糖値の上昇を抑えます。

また、血糖値の変動を抑える効果もあり、貯蔵されているグリコーゲンを必要に応じて糖に分解し、血糖値を正常に保ちます。

ヒドロキシクエン酸には脂肪を蓄積するのを防ぐ働きがあります。

タマリンドにはセロトニン神経伝達物質を増加させる働きがあり、満腹中枢を刺激することによって、食欲を抑制する効果があると言われます。

タマリンドには糖尿病や肥満を予防することに期待があります。

 

循環器疾患予防

タマリンドにはカリウムが含まれています。

カリウムは体内に余分に溜まったナトリウムを排出する働きがあり、血圧上昇抑制効果に役立ちます。

クエン酸には血圧上昇ホルモンの働きを9割抑えると言われます。

タマリンドには血行を促すナイアシン、体液循環をサポートするマグネシウムも含まれています。

これらとカリウムのナトリウムを排泄する働きが相乗して、浮腫み対策に良いと言われます。

タマリンドには抗酸化作用があり、活性酸素によって血液中の中性脂肪やLDLコレステロールが酸化されることからまもります。

酸化した中性脂肪やLDLコレステロールによって血管壁の効果やアテローム形成を未然に防ぎます。

タマリンドには高血圧や脂質異常症、動脈硬化、血栓症、脳血管疾患、心疾患の予防効果に期待があります。




 

貧血予防

タマリンドは鉄分が100gあたり2.8㎎と果物の中ではトップクラスです。鉄分はヘモグロビンの原料となり、鉄欠乏性貧血予防に欠かせない栄養素です。

葉酸はヘモグロビンの核酸としての働きがあります。

タマリンドにはビタミンC、銅も含まれるので、鉄分の吸収率をアップし、貧血予防や改善に良いとされます。

 

消化機能を活性化

タマリンドにはクエン酸等の酸味成分が含まれていることから、胸やけや消化不良の症状を抑制することに役立つと言われます。

酸味によって胃腸が活発化し、食物繊維によって噛む回数が増えて唾液の分泌が増し、消化機能を活性化する働きが期待出来るのです。

消化吸収に関わる酵素も含まれ、胆汁分泌を刺激する働きもあるようです。

但し、胃酸が過多気味の場合は胃食道逆流が見られ、消化器系トラブルを起こすリスクがあります。

 

抗ストレス効果他

タマリンドにはビタミンB1が含まれ、脳の栄養源であるブドウ糖を代謝することによって脳機能や神経機能を正常に保ち、鬱や怒りの感情をコントロールしたり、記憶力や学習力を高めると言われます。

マグネシウムやカルシウムには興奮抑制作用があり、ビタミンCには抗ストレス効果があると言われます。

マグネシウムは筋肉の緊張を緩和したり、GABAの働きを持続することが知られています。

この他にもタマリンドは、骨形成、精子や精液の生成、核酸の合成等、様々な働きに期待があります。

 

薬剤として

タマリンドは薬剤として用いられる場合、果肉は緩下作用、殺菌効果があり、慢性の便秘や肝臓病、風邪の治療薬として用いられています。

葉は駆虫剤として用いられ、黄疸にも有効と言われ、樹皮は収斂剤、強壮剤、解熱剤として、種子は収斂剤、駆虫剤として用いられています。

 

注意点

タマリンドを摂取する際は、以下の点に気を付けましょう。

タマリンドとガルニシアは別物

タマリンドと呼ばれる健康食品にはガルニシアを用いることがあります。

原材料を確認したうえで商品を選びましょう。

薬との相互作用

タマリンドを摂取する際には、薬品との相互作用も絡んできます。

医薬品によっては薬の作用を増強させ、出血などを起こす危険性もあります。

また、血糖降下剤を服用されている場合も低血糖を起こす可能性があります。

腸管トラブル

タマリンドは不溶性食物繊維が含まれていることから腸疾患に罹っている場合は注意が櫃ようです。

腸閉塞に罹っている場合、腸管の狭窄や腸の神経障害が見られます。

不溶性食物繊維の摂取は更に腸管を詰まらせ、腹部膨満や嘔吐の症状を呈する場合があります。

腎機能低下

タマリンドはカリウムが多いことから腎不全が進行している場合は大量摂取しないように注意しましょう。

腎不全により腎機能が低下すると、それに伴い排泄機能も低下します。

排泄機能が低下するとカリウムも排泄されないため、血中カリウム濃度が上がることによって不整脈を起こし、腎性心不全を引き起こしてしまう場合があります。

タンニンの過剰摂取

タンニンはポリフェノールであることから抗酸化作用のある成分ですが、摂りすぎは鉄分の吸収を抑制したり、便を固くすることによって便秘を引き起こしてしまう場合があります。

 

まとめ

タマリンドについてまとめます。

  • 疲労抑制
  • 筋肉の発達のサポート
  • 神経機能の維持
  • アンチエイジング
  • 腸内環境改善
  • 癌予防
  • 糖尿病、肥満予防
  • 循環器疾患予防
  • 貧血の予防及び改善
  • 消化機能の活性化
  • 抗ストレス…等

タマリンドはビタミンB群やミネラル補給の役割として間食に用いたり、何となく食欲が出ない場合に活用してみると良いでしょう。

摂りすぎによるデメリットもある為、常識的な範囲で摂るようにしましょう。


 
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