抗炎症作用に食欲抑制…独自の成分ピノレン酸の効果に期待の「松の実」

松の実を使った料理は身近なところで見かけます。

松の実は「ピノレン酸」が含まれ、ピノレン酸は松の実独自の成分です。

種実類であることから、低GIでミネラルの補給源としても活用出来る食品の一つです。





 

松の実の歴史

松の実はマツ科マツ属の松の種子の胚乳部分を指し、世界には20種類以上食用として採取出来る松の品種があります。

松の実は古くから食用として利用され、その歴史は2000年に遡るそうです。

当時中国で書かれた書物では仙人になれる食べ物と言われ、身体を温める働きがあることから、薬膳や漢方に使われてきたと言われます。

現在では、アジア島北部、ヨーロッパ、中東、北米など世界各地に広がりを持っています。

日本で見かける松には食用向きのものはありませんが、韓国料理やイタリア料理で比較的身近に使われます。

 

松の実の栄養

松の実は蛋白質が豊富で100gあたり約15g含まれています。

オレイン酸、リノール酸、鉄分、亜鉛、マンガン、ビタミンB群、ビタミンE、食物繊維が含まれる他、五葉松の実にはピノレン酸という松の実独自の脂肪酸が含まれています。

松の実には以下の健康効果に期待があります。

  • 生活習慣病予防
  • 老廃物排泄
  • 三大栄養素の代謝
  • 筋蛋白合成
  • 解熱作用
  • 抗炎症作用
  • 血流促進
  • 食欲抑制
  • 皮膚形成…等



 

生活習慣病予防

松の実の脂肪酸比率はリノール酸が約50%、オレイン酸が約23%、ピノレン酸が約17%で配合されています。

オレイン酸、リノレン酸には血液中のLDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす働きがあると言われます。

リノール酸にはLDLコレステロールを減らす働きがある他に、血圧や血糖値を下げる働きもあります。

松の実には抗酸化作用のあるビタミンEが含まれ、抗酸化作用によって血液中の中性脂肪やLDLコレステロールの酸化を防ぎます。

酸化した中性脂肪やコレステロールによって血管が傷つくことを防いだり、動脈硬化を防ぐことによって、心疾患や脳血管疾患を未然に防ぐことに期待があります。

松の実は生活習慣病予防効果がある食品であることが言えます。

 

老廃物排泄

オレイン酸には腸を刺激する働きがある上、腸管内での滑りを良くする為、便通を促す効果があると言われます。

松の実には食物繊維が含まれ、腸の蠕動運動を刺激して排便を促すと言われます。

その為、便秘解消及び腸内に溜まった毒素の排泄を促す効果があると言えます。

 

三大栄養素の代謝

松の実にはビタミンB群が含まれ、エネルギー代謝に関わることによって、疲労回復効果や、有酸素運動における疲労抑制効果があると言われます。

また、蛋白質が豊富なことから筋蛋白合成を促し、脂肪燃焼しやすい体質作りに役立つことが言えます。

 

解熱作用、抗炎症作用

松の実には独自に含まれるピノリレン酸という脂肪酸が含まれています。

ピノレン酸はリノレン酸の一種でpリノレン酸とも呼びます。

ピノレン酸には解熱作用、抗炎症作用、鎮痛作用及び血流促進作用があると言われます。

また、咳や喘息を止める働きがあると言われ、食欲を抑える作用もあるそうです。




 

皮膚形成他

松の実は蛋白質が豊富なことから、体組織の生成に大きく関与します。

亜鉛や鉄分は皮膚の形成に関わり、傷口の治りを早めることをサポートします。

松の実にはビタミンEが含まれることから、抗酸化作用によって皮膚や細胞を老化から守り、癌予防老化防止に期待があります。

松の実に含まれるミネラルの働きには、鉄分による造血作用、亜鉛やビタミンB1によるアルコール代謝促進作用があり、亜鉛の働きはこの他にも味覚障害の予防、男性の薄毛予防等様々です。

 

注意点

松の実の脂肪酸組成はリノール酸の割合が多いことから過剰摂取に気を付ける必要があります。

リノール酸の摂りすぎによる生活習慣病

リノール酸は脂質異常症や動脈硬化、糖尿病等の生活習慣病予防効果の油であると言われていますが、摂り過ぎは逆効果となってしまいます。

体質劣化

リノール酸の摂取量が多いと、αリノレン酸との摂取比率が崩れ、体質劣化を招いた挙句、アレルギー体質となることが危惧されます。

アレルギー

松の実にはアレルギー反応が見られる事があり、松そのものにアレルギーがある場合や、松花粉によるアレルギーがある場合は摂取を控えた方が安全です。

腸管トラブル

松の実は種実類であることから食物繊維が豊富で脂質含有量の多い食品です。

その為、腸疾患を起こしている場合には不向きです。

腸閉塞を起こしている場合、神経障害や腸の狭窄によって、不溶性食物繊維を腸管に詰まらせる危険性があります。

腸管が詰まると腹部膨満や嘔吐の症状を呈することがあります。

腸が炎症を起こしている場合、腸管を傷つけることによって炎症を悪化させあり、お腹を下す場合があります。

脂肪制限の指示

松の実は脂質含有量が多いことから、膵炎や胆石症に罹っている場合は摂取を控えた方が安全です。

医師から脂肪制限の指示を受けている場合は、大量摂取しないようにしましょう。

 

まとめ

松の実についてまとめます。

  • 生活習慣病予防
  • 老廃物排泄
  • 三大栄養素の代謝
  • 筋蛋白合成
  • 解熱作用
  • 抗炎症作用
  • 血流促進
  • 食欲抑制
  • 皮膚形成…等

松の実には上記の健康効果が期待され、特にピノレンサンによる健康効果は数多くあります。

過剰摂取による症状予防の観点から、1日あたりの摂取量は10gまでに留めておくと良いでしょう。


 
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