セレンは必須ミネラルの一つで、体内において抗酸化反応を司る酵素や蛋白質を構成し、抗酸化作用に重要な役割を担っています。
セレンは主に肉類、魚介類、卵黄に多く含まれると言われます。
商品中のセレン含有量は土壌や飼育飼料によってセレン濃度が反映されるそうです。
セレンは自然界の中では海水や土壌に含まれており、水銀やカドミウムの毒性を軽減することが確認されています。
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セレンは毒性の強い元素として見られていた
セレンは古くから毒性の強い元素として知られていましたが、1957年に研究によってセレンは人間にとって必用なミネラルであることが明らかになりました。
セレンは含セレン蛋白質の形態で生理機能を発現し、抗酸化システムは甲状腺ホルモン代謝において重要です。
ゲノム分析の結果、人間には25種類の含セレン蛋白質の存在が明らかにされていると言われています。
代表的な含セレン蛋白質はグルタチオンペルオキシダーゼ、ヨードチロニン脱ヨウ素酵素、チオレドキシンレダクター等です。
食品中のセレンの多くは、セレノメチオニン、セレノシスチンなどの含セレンアミノ酸の形態で存在します。
遊離の含セレンアミノ酸は90%以上が吸収され、食事中のセレンも同程度に吸収されると考えられます。
尿中セレン濃度がセレン摂取量と強く相関することから、セレンの恒常性は尿中排泄によって維持されているそうです。
体内の含セレン蛋白質生成量は、セレン摂取量と強く相関しますが、摂取量が一定を超えると平衡状態となります。
セレンの主な働き
セレンは甲状腺疾患、癌、生活習慣病、老化、心血管疾患、認知症に関わりがあります。
甲状腺機能維持
甲状腺では他の臓器よりもセレン濃度が高く、ヨウ素同様に甲状腺ホルモンの合成や代謝に重要な働きをしています。
癌予防
セレンは、DNA修復、アポトーシス、内分泌系、免疫系、抗酸化作用などに影響するため、癌の予防に役立つ可能性があります。
疫学研究では、セレン量と大腸癌、前立腺癌、肺癌、防湖岸、皮膚がん、食道癌、胃癌のリスクとの間で逆相関が示唆されています。
抗酸化作用
セレンは抗酸化酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼの合成に必要です。
抗酸化酵素によって体内のLDLコレステロールの酸化を防ぐことにより、動脈硬化の予防や脳血管疾患等の生活習慣病予防、シミやしわの予防等の美容効果及びアンチエイジングに役立ちます。
この働きはビタミンEと一緒に摂ることよって大きな効果が期待出来るのです。
グルタチオンペルオキシダーゼはビタミンCの再生や甲状腺ホルモンの代謝に関わる酵素の構成成分でもあります。
心疾患による死亡リスク低下
含セレン蛋白質は脂質の酸化防止に役立ち、炎症を低下させ、血小板が凝集するのを防ぐと言われています。
セレンが心血管疾患による罹患や死亡リスクを低下させている可能性が示唆されているそうです。
精子の発育、形成
セレンは亜鉛や銅等と同様に、精巣の発育、精子の形成や運動性等に関わっているそうです。
精液には亜鉛が多く含まれていることがよく知られていますが、セレンも含まれていることが知られています。
セレンは年齢とともに低下
血清セレン濃度は加齢に伴い低下します。
セレン濃度が低下することは加齢による脳機能の低下に関連する可能性があります。
セレンは抗酸化作用にも関与するため、セレン濃度が低下することによって抗酸化活性も低下すると考えられます。
欠乏症及び過剰摂取障害
セレン欠乏症の症状は、心筋症外を起こす克山病、カシン・ベック病等が関係しています。
また、完全に静脈栄養にて栄養管理が行われている場合、血清セレン濃度の著しい低下が見られ、下肢筋肉痛、皮膚の乾燥、簿片状などを生じたり、心筋梗塞による死亡の報告がされたと言われています。
セレンの過剰摂取は通常の食品からの摂取においては特に起こす可能性はないそうです。
サプリメントの不適切な摂取によって過剰摂取が生じる可能性があります。
過剰摂取による症状は、爪の変形や脱毛、胃腸障害、嘔吐、腹痛、下痢、疲労感、末梢神経障害、皮膚症状を呈すると言われます。
更に多く摂取すると(g単位)、重症の胃腸障害、神経障害、心筋梗塞、急性呼吸不全、腎不全等を引き起こします。妊娠中の場合は奇形児や流産の危険性があると言われています。
セレンを含む食品、耐用上限量
セレンを多く含む肉や魚、卵、黒にんにくやカシューナッツ、チアシード等を必要以上食べたり、サプリメントの不適切な摂取をすると、このような症状が現れるかもしれません。
また、食品の中でも特にブラジルナッツにはセレンが突出して多く含まれます。
その含有量は一粒あたり70から90マイクログラム程とのことです。
ブラジルナッツを摂取する際は1日3~4粒程度に留めておきましょう。
1日あたりの耐用上限量は300㎍とされています。
まとめ
セレンは、意識して沢山摂ろうとしなくても、通常の食事をしていれば、過不足なく摂取できる栄養素です。
普段から栄養バランスを整った食生活を送り、身体に良いものを継続的に食べ続けることが、長期的な健康へと繋がるのです。