ケールは青汁の材料でよく知られています。
ケールは苦味があり、人によっては苦手な場合もあります。
しかし、その栄養価の高さからスーパーフードとして位置づけられています。
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ケールの歴史
ケールは約2000年前から、ギリシャやローマで栽培がはじまりました。
アブラナ科の野菜でキャベツの一種です。
キャベツは結球しますが、ケールは不結球性であり、一年中栽培できる非常に生命力の強い緑黄色野菜です。
日本には18世紀ごろにもたらされ、新種の野菜のように思えますが、キャベツやブロッコリーの先祖にあたるのです。
ケールの栄養
青汁の原料として使われているケールですが、ケールは非常に栄養価が高く、特にビタミンAは人参の2倍、カルシウムは牛乳の2倍以上含まれています。
その他にビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、パントテン酸、葉酸、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄分、クロロフィル、GABA、不溶性食物繊維、葉酸、蛋白質、ルテイン、ケルセチン、メラトニン、リブロース-1.5-ビスリン酸カルボキシナーゼ/オキシゲナーゼ等が含まれています。
ケールには次のような健康効果に期待があります。
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老廃物排泄
ケールには食物繊維が多く含まれ、主に不溶性食物繊維が含まれます。
不溶性食物繊維は善玉菌の餌となって腸管内を善玉菌優位にさせる働きがあります。
不溶性食物繊維は腸の蠕動を促すことによって排便を促します。
マグネシウムは水分と一緒に摂ることによって便を適度に軟らかくして、排便を促します。
クロロフィルには強いデトックス作用があり、重金属や有害物質を排泄するほどの強いデトックス作用があると言われます。
ケルセチンは、有害物質の排出を促し、体内に有害物質が蓄積することを防ぎます。
ケールのこれらの成分が老廃物排泄に役立つのです。
循環器疾患予防
ケールにはビタミンA、C、Eなどの抗酸化ビタミンや抗酸化作用の強いルテイン、ケルセチンが含まれます。
ケールにはカリウムが含まれ、カリウムは血液中の余分なナトリウムを排泄することによって高血圧を予防する働きがあると言われています。
ビタミンEには末梢血管を広げて血流を促す効果があります。
ケールにはリラクゼーション効果のある成分が複数含まれ、リラクゼーション効果によって血圧調整効果に繋がると言えます。
GABAのナトリウム排泄効果を高める働きによって、高血圧にも良いとされています。
活性酸素は過酸化脂質によって、血管壁がもろく傷つきやすくなるため、傷が出来たことにより傷を塞ぎ、血管内が狭くなります。
血管そのものも硬くなり、動脈硬化を引き起こし、この症状が起こる場所によって心筋梗塞や脳血管疾患を起こしてしまいます。
抗酸化作用は活性酸素のこのような作用を抑制します。
ケルセチンには血流改善、LDLの低下、動脈硬化を予防する働きがあります。
ケールには高血圧症や動脈硬化、血栓症、心疾患、脳血管疾患等の予防に役立つ食品であることが言えます。
老化予防、美肌効果
抗酸化作用は皮膚を紫外線から守る働きもあります。
紫外線のダメージが大きいと、シミやしわやたるみといった老化を促進させてしまいます。ビタミンA、C、Eは抗酸化作用もある上に活性酸素によって傷ついた肌を修復させ、皮膚の粘膜を強くする働きもあります。
ケールに含まれるβカロテンは体内でビタミンAに変換されます。
ビタミンB2には粘膜や皮膚を正常に保つ働きがあり、爪をもろくなるのも防ぐ効果もあり、皮膚を乾燥から守ります。
ビタミンCはコラーゲンの生成に必要であり、細胞同士の結合を強くすることによって、皮膚や血管を丈夫に保ちます。
血流が促されることによって細胞の新陳代謝がよくなり、肌細胞の生まれ変わりが促進されます。
この為、老化防止や美肌効果に役立っています。
癌予防
抗酸化作用は細胞を損傷から守ります。
ビタミンCにはNK細胞を活発にさせる働きがあると言われます。
その為、ケールは癌予防に役立つ食品の一つであることが言えます。
骨や歯の形成に関わる
ケールには骨や歯の栄養に必要な成分が含まれています。
カルシウムの主な働きは骨や歯を丈夫にすることであり、骨や血液中のカルシウム濃度を維持するにもケールは栄養源となります。
マグネシウムはカルシウムを骨や歯にカルシウムを定着させる働きがあります。
ビタミンKはオステオカルシンを活性化し、骨形成を促す働きがあります。
ビタミンKは骨にコラーゲンを沈着させる働きがあり、コラーゲンの生成にはビタミンCと鉄分が関与しています。
目の健康維持
ケールに含まれるルテインは目の健康に働きかけます。ルテインは目の網膜の中央にある黄斑部に存在しており、目の中で光が集まる部分であり、紫外線のダメージを受けやすい場所でもあります。
ルテインを摂取することにより紫外線による黄斑部の炎症を抑えることによって、紫外線から目を守る働きがあるのです。
目の網膜にはロドプシンと呼ばれる光を感じるための蛋白質が存在しています。
ビタミンAが豊富で尚且つ体内でビタミンAに変化するβカロテンも含むケールにはロドプシンを生成する働きがあり、夜盲症や眼精疲労の予防効果にも役立ちます。
粘膜生成に関わるビタミンB2やビタミンCが含まれ、ビタミンB2は疲れ目、ドライアイ、目の痒み、涙目、白内障の予防に良いと言われています。
ビタミンCには加齢性黄斑変性症の進行を抑制すると言われます。
睡眠の質の向上
ケールにはビタミンB1が含まれており、脳の栄養であるブドウ糖の代謝に関与します。
ビタミンB1がブドウ糖の代謝時に利用されることによって、鬱や怒りの感情を抑制し、記憶力や学習の能力の維持や向上を図ります。
ケールにはGABAも含まれているので、ビタミンC、カルシウム、マグネシウムと併せ、交感神経を抑制し、リラックス効果によって精神を安定させます。
マグネシウムには筋肉の緊張を和らげたり、GABAの働きを持続させると言われています。
ケールにはメラトニンが含まれています。メラトニンは快適な睡眠を導く働きがあり、不眠症の改善にも期待されています。
免疫力強化
ケールにはリブロース-1.5-ビスリン酸カルボキシナーゼ/オキシゲナーゼという成分が含まれています。
この成分は免疫成分の生成を促進し、免疫力を高める効果があるとの報告がなされています。
ケールには、体内でビタミンAに変わるβカロテンやビタミンA及びビタミンCが皮膚や粘膜を丈夫にし、呼吸器の粘膜を強化することによって感染症を予防します。
また、ビタミンCには免疫力を高める働きがあり、ビタミンCによって白血球の動きを強くすることによって、細菌やウィルスと戦うことで免疫力が高まる効果が期待出来るのです。
ケールは食物繊維が豊富であり、腸内環境改善によっても免疫量を強化することに期待があります。
三大栄養素の代謝
ケールにはビタミンB群、マグネシウムが含まれ、三大栄養素の代謝に携わります。
糖質の代謝にはビタミンB1とマグネシウムが補酵素として利用宇されます。
運動を継続するときに無酸素運動から有酸素運動に切り替わるときに、ビタミンB1はピルビン酸をアセチルCoAに変換させて、クエン酸回路にてエネルギー代謝が行われます。
クエン酸回路によるエネルギー代謝によって乳酸の生成を抑制するとともに、運動時の疲労を抑えます。
クエン酸回路における代謝にはビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸が補酵素として利用されます。
ビタミンB6は蛋白質の代謝に欠かせない栄養素です。
蛋白質は主に身体の構成に携わりますが、免疫力、神経機能、輸送等の働きを担い、ビタミンB6を摂ることによってこれらの働きが正常に行われます。
胎児の成長
葉酸は核酸の成分であるチミンの合成に関わります。
その為、細胞分裂に重要な役割があります。
細胞分裂が正常に行われることは胎児の正常な成長に繋がります。
造血作用
ケールには「緑の血液」と呼ばれるクロロフィルが含まれています。
ケールには鉄分も豊富に含まれています。
クロロフィルは体内に入ると鉄と結合してヘモグロビンを生成します。
鉄分は赤血球の材料となり、赤血球の核酸の合成に葉酸が携わります。
注意点
ケールを食べる時は以下の点に気を付けます。
腸管トラブル
ケールは不溶性食物繊維が豊富でデトックス作用に期待がある食品ですが、腸管トラブルを起している時は気を付けましょう。
腸閉塞を起している場合は、腸の神経障害や腸管の狭窄によって腸管が詰まりやすくなります。
不溶性食物繊維は腸管を詰まらせる原因となり、腸管が詰まることによって腹部膨満や嘔吐の症状を呈する場合があります。
腎不全末期
ケールはカリウムが豊富な食品です。
しかし、腎不全が進行すると排泄機能が正常に働かなく、血中カリウム濃度を高めてしまいます。
体内にカリウムが蓄積すると不整脈を起こしやすくなり、腎性心不全に至ることがあります。
腎機能が低下している場合は、一度茹でてから召し上がりましょう。
抗血栓薬の処方
ケールはビタミンKが豊富に含まれています。
ワーファリン等の抗血栓薬を服用する場合、ビタミンKによって薬の効きが鈍くなることがあります。
抗血栓薬を処方されている場合は、一度に大量摂取をすることを避けましょう。
まとめ
ケールについてまとめます。
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ケールは青汁のイメージが強いですが、パスタやスープ、サラダ、付け合わせや炒め物と幅広い料理に活用出来ます。
また、果物と一緒にスムージーにして召し上がってみても良いでしょう。