サラダ油はオメガ6脂肪酸の過剰摂取に繋がるし、トランス脂肪酸の弊害が懸念されることが知られるようになってきています。
不飽和脂肪酸は熱に弱いことから、トランス化しやすく、出来るだけ加熱したものは避けたいでしょう。
高温処理された油には、それ以上の危険性が秘めているのです。
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リノール酸が原因によって生成される物質
ヒドロキシノネナールは、リノール酸を高温加熱することによって生成される物質です。
リノール酸は、摂り方を誤らなければ身体にメリットをもたらしてくれる油です。
リノール酸は、体内のLDLコレステロールを減らす働きがあるのです。
これは、飽和脂肪酸であるリノール酸に、コレステロールの排出を促す働きがあるからです。
そして、高血圧を予防したり、血糖値を下げる働きもあるのです。
リノール酸は、体内でアラキドン酸を生成します。
アラキドン酸は、脳内物質の一つであり、記憶力や言語力を高める働きがあります。
リノール酸、アラキドン酸は、食品から摂り入れる必要があることから、αリノレン酸同様に必須脂肪酸として位置づけられています。
しかし、リノール酸、アラキドン酸は、過剰になると却って体に弊害をもたらしてしまいます。
リノール酸を過剰摂取してしまうと、HDLコレステロールを減らしてしまいます。
また、アレルギーを引き起こしたり、炎症体質になると言われます。
このリノール酸を加熱すると、油が変質してしまい、トランス化してしまいます。
しかし、加熱によって産生されるヒドロキシノネナールは、身体に深刻な状況を及ぼしてしまいます。
ヒドロキシノネナールは、200度ぐらいに加熱した時に産生する物質です。
200度以上で5分間、185度以上で30分間加熱すると発生します。
リノール酸は、油脂の他に、穀類や豆類、卵にも含まれていますが、いずれも200度近くの高温調理をしない限り、ヒドロキシノネナールが発生する心配は殆どないでしょう。
脳を攻撃する
ヒドロキシノネナールの注意すべきところは、細胞を死に追いやるところです。
ヒドロキシノネナールは脳をはじめ、体のあらゆる器官を酸化させ、最終的には細胞を殺してしまいます。
これは、次のような段階によって細胞を損傷させます。
ヒドロキシノネナールは、細胞膜のリン脂質やアミロイドβ、LDLコレステロールに付着して、体内に侵入します。
水酸基とアルデヒド基が残存しているヒドロキシノネナールは、アミノカルボニル反応によって、蛋白質と酸化した脂質が結合します。
この時、ヒドロキシノネナールは、損傷を与えます。
蛋白質が損傷されると、リソソーム膜の安定が崩れ、カテプシンが漏出され、細胞死が起こります。
この酸化反応は、一度細胞が酸化されると、連鎖的に細胞を次々と酸化させます。
これが最終的に脳の記憶を司る海馬を委縮させてしまいます。
しかも、神経細胞は殆ど再生することがありません。
これが、アルツハイマー型認知症や鬱病を引き起こしてしまうのです。
この他にも、代謝疾患、神経疾患、癌のリスク、Ⅱ型糖尿病、非アルコール性肝炎などの生活習慣病の発症も危惧されます。
それでは、揚げ物料理を食べる時に、衣を残せば良いのかというと、そうでもないのです。
ヒドロキシノネナールは、具材の中にまで侵入するため、具材そのものもヒドロキシノネナールに紛れてしまうのです。
参照元…食用油に由来するヒドロキシノネナールが生活習慣病を惹起する機序
更に、ヒドロキシノネナールは、自然治癒力を担うヒートショックプロテインをも壊してしまうという恐ろしい一面も持っているのです。
ヒドロキシノネナールによる脳細胞の損傷を軽減するには?
ヒドロキシノネナールを分解する物質には、酢酸菌があります。
この酢酸菌は、アセドアルデヒドも分解します。
これは、金沢大学大学院の研究で明らかになったことです。
ヒドロキシノネナールのナールとは、アルデヒドの別名です。
アルデヒドと言えば、アセドアルデヒドがあります。
酒の主成分はエチルアルコールですが、エチルアルコールを分解するためには、アルコール脱水素酵素(ADH)とアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の2つの酵素が関与しています。
ADHはエチルアルコールをアセドアルデヒドに変換し、ALDH2はアセドアルデヒドを酢酸に変換します。
ALDH2の活性が弱いと、アセドアルデヒドが残ってしまい、二日酔いの症状を起こします。
これは、ALDH2を持っているかどうかで、ヒドロキシノネナールによる影響が左右されるのです。
つまり、アルコールに弱い人は、ヒドロキシノネナールによる影響を受けやすく、その結果、認知症を発症しやすくなるのです。
この、ヒドロキシノネナールの毒性を抑えるのが酢酸です。
酢酸はアルコールを醸造することによって製造されます。
実は、体内でアルコールを分解するのも、同じ分子メカニズムで行われるのです。
これは、酢酸を摂ることによって、アセドアルデヒドの分解を促進するだけでなく、ヒドロキシノネナールを分解することによって、サラダ油からの猛毒を分解する働きがあることが解明し、酢酸菌サプリの開発に至ったのです。
酢酸菌の摂取源と言えば、お酢があります。
また、酢酸菌は発酵食品からも摂ることが出来ます。
そうなると、昔から日本で親しまれた食品や料理が、その摂取源となります。
味噌や醤油、漬物、酢の物などが該当します。
酢酸は、短鎖脂肪酸の一つです。
腸内のphを弱酸性に傾けて、善玉菌優位の環境を作り出す働きがあります。
腸内環境が改善されると、便通改善、免疫力アップ、肥満予防、抗アレルギー、癌予防、脳機能向上など、様々なメリットをもたらします。
また、アルコール代謝に関わる栄養成分として、ビタミンB1、ビタミンC、亜鉛、グルタチオン、タウリン、オルニチン等が挙げられます。
サラダ油の危険性はこれだけではない
サラダ油は、原材料から脂を抽出するために、ノルマルヘキサンという有機溶媒を使用します。
このノルマルヘキサン自体が神経毒性を持っています。
ノルマルヘキサンを使用し、抽出された油を高温処理し、ヘキサンを蒸発させることによって油を取り出します。
この油の不純物を除去するために、リン酸を使います。
更に、油の中に存在する遊離脂肪酸を除去するのに劇物である苛性ソーダを用います。
その後、脱色のために活性白土を用い、最後に酸化防止剤を添加します。
ここで使用される活性白土は、酸性白土を硫酸や塩酸で熱処理して作られているものです。
油の熱処理を行えば、原材料となる食品の栄養素は壊れてしまいます。
元々オメガ6脂肪酸であることから、熱で油そのものが酸敗し、トランス化しています。
このサラダ油が製造される肯定において、既に食品添加物が使われているのです。
しかも、原材料には遺伝子組み換えの大豆やとうもろこし、菜種が用いられていることが懸念されます。
油の製造方法は必ず確認
油を選ぶ時には、製造方法をチェックすることを忘れてはなりません。
リノール酸が多い油と言えば大豆油、コーン油、グレープシードオイルがあります。
ごま油や菜種油、紅花油にもリノール酸が多く含まれます。
ごま油や菜種油、紅花油にはオレイン酸も含まれますし、ごま油にはゴマリグナンが含まれ、これら抗酸化作用の強い成分によって酸化から守られます。
これらの油は、低温圧搾法にて製造されたものを選ぶようにしましょう。
一方、溶媒抽出法で製造された油は、製造工程において200度以上の高温処理の過程の中で抽出される方法で製造されるので、ヒドロキシノネナールが産生された状態となっています。
かと言って、オリーブオイルなら安全かというと、国内製造品の中には、エキストラバージンを謳っていながら、調合油と対して変わらない製品もあるので、商品を慎重に選ぶ必要があります。
まとめ
ヒドロキシノネナールには、細胞を損傷する挙句、脳細胞をも攻撃するという危険性が秘めています。
とは言うものの、高温処理された油を絶つことは、完全に出来るものではありません。
その為には普段から、揚げ物を中心とするお惣菜、ファーストフードの日常的な摂取を出来るだけ避け、外食中心の食生活をしないようにしましょう。