日本において栗の歴史は縄文時代の遺跡から出土していることから、相当古い歴史があるそうです。
栗は約9000年前から食料品として重宝されていたと言われます。
しかし、当時の栗は現在流通しているものより小粒であり、収穫量が限られており、貴重な栄養源だったそうです。
栗はでんぷん質が多いことから穀類と思われがちですが、食品群では種実類に分類されます。
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栗の栄養と効能
栗に含まれる栄養素はデンプンをはじめ、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンC、カリウム、マンガン、γトコフェノール、不溶性食物繊維、タンニン、プロアントシアニジンと豊富な数の栄養素が含まれます。
栗には、次のような効能に期待があります。
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疲労抑制
栗の糖質はデンプンの為、易消化性多糖類に分類されます。その為、少糖類や単糖類に比べると糖質の中でも比較的血糖値の上昇が緩やかと言えます。
栗には不溶性食物繊維もあり、不溶性食物繊維の働きとして腸管からの糖質の吸収を抑え、糖尿病や脂質異常症のリスクを軽減するとされています。
栗に含まれるビタミンB1やナイアシン、パントテン酸はエネルギー代謝に関わり、特にビタミンB1は糖質の代謝に関与します。糖質がエネルギーとして利用される上、疲労抑制効果にも期待があります。
脳機能向上
このビタミンB1は糖質の代謝に関わることから、脳の栄養源であるブドウ糖の代謝にも関わり、脳機能を維持することに役立ちます。
脳機能を正常にすることによって、精神面や運動機能の安定を図ることが出来、集中力や記憶力の低下を防ぐことに繋がるのです。
毒素排泄
栗に含まれる不溶性食物繊維は、善玉菌の餌となり腸内環境を改善させると言われます。不溶性食物繊維には腸の運動を促す働きがある為、腸管に溜まった老廃物の排泄を促し、便秘解消にも良いとされています。
抗酸化作用
栗にはビタミンEの一種であるγトコフェノール、ポリフェノールのプロアントシアニジンとタンニン、ビタミンA、ビタミンCが含まれ、抗酸化作用があります。
生活習慣病予防
抗酸化作用には血液中のコレステロールの酸化抑制によって血液中のLDLコレステロールや中性脂肪の酸化を防ぐ働きがあります。
酸化したLDLコレステロールや中性脂肪の生成を抑制することによって血管壁が傷つき、アテロームが形成されて動脈硬化や心疾患、脳血管疾患等の生活習慣病を予防することに寄与すると言われます。
癌予防
抗酸化作用に加え、γトコフェノールの抗癌作用、ビタミンAの免疫賦活作用、ビタミンCのNK細胞活性化作用によって、栗は癌予防に効果的な食材であることが言えます。
美容効果
抗酸化作用には紫外線から肌を守ることによってシミやしわ、たるみの予防に良いとされています。
ビタミンCにはしみやそばかすを目立たなくする働きがある上、コラーゲン生成にも関わり、美肌効果があると言われます。
ビタミンCは熱や光に弱く壊れやすいですが、栗に含まれているビタミンCはでんぷん質によって守られている為、熱によって壊れにくく、ビタミンCの美容効果を得られやすいと考えられます。
冷え、肩こり、浮腫みの解消
栗にはカリウムが含まれ、ナトリウムとともに電解質の均衡を図り、細胞を正常に保つ働きがあります。
栗に含まれるビタミンEの一つであるγトコフェノールは血流を促す働きがあります。
カリウムは、γトコフェノールとともに体内にナトリウムが余分に蓄積すると、排泄を促し、血圧を正常値に調整します。
余分なナトリウムの排泄によって血流が促進され、浮腫みや冷え、肩こり等の症状改善に期待があります。
血流が促進されれば、身体が温まりやすくなり、栄養素の運搬も円滑になります。
体が温まると、婦人科系のトラブルの緩和にも繋がります。
この働きはαトコフェノールにはありませんが、γトコフェノールならではの働きです。
胎児の成長
栗には葉酸が含まれ、葉酸は核酸の合成に関わることから細胞分裂を正常にさせる働きがあります。
その為、胎児の正常な成長に寄与することから、妊娠中の方にも役立つことが言えます。
糖の吸収抑制
栗の渋皮部分にはプロアントシアニジンが含まれています。この成分はマロンポリフェノールとも呼ばれています。
プロアントシアニジンにはαグルコシダーゼの作用を抑える働きがあると言われ、小腸において糖の分解や吸収を抑制する働きがあると言われます。
睡眠の質の向上
ナイアシンはセロトニンと共にトリプトファンの生成に関わります。
栗にはナイアシンが含まれ、ビタミンCや炭水化物も含まれ、これらがセロトニン生成に携わります。
このような栄養療法に加えて日光浴や適度な運動を行い、セロトニン生成を促すことによって、質の良い睡眠を得られる効果に期待があります。
摂取上の注意点
栗を摂取する場合は以下の点に注意します。
腎機能低下
栗にはカリウムが豊富に含まれていますが、腎機能が低下している場合はカリウムの摂取がデメリットになるケースがあります。
腎機能が低下し、尿からの排泄が困難となると、通常尿中に排泄される筈のカリウムが排泄量低下により体内に蓄積されやすくなります。血中カリウム濃度が上がり過ぎてしまうと、不整脈を起こし、最悪の場合は心不全を起こして死に至る危険性があります。
タンニンの摂りすぎ
タンニンも摂り過ぎに注意しなければならない成分であり、タンニンは摂り過ぎると鉄と結合してしまい、鉄分の吸収を阻害してしまいます。
鉄分の吸収が阻害されると、貧血予防に良いビタミンやミネラルを摂取しても鉄分の効能を得られない為、貧血を起こしやすくなってしまいます。
タンニンには便を硬くする働きがあり、更に栗を食べる時に水分摂取量が少ないと、寧ろ便秘になりやすくなります。
腸閉塞
腸閉塞を起こしている人も注意が必要です。
腸閉塞は、腸管のつまりや、閉塞、神経障害などの症状が見られます。
このような症状を起こしている場合、食物繊維の多い食品を摂ると、更に腸管を詰まらせ、腹部膨満、嘔吐などの症状を起こしてしまいます。
腸閉塞を起こしている場合は、摂取を控えるとよいでしょう。
まとめ
栗の効能についてまとめます。
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澱粉質の多い食品なので、太るというイメージも多いのですが、糖の吸収も抑えられる上に熱に壊れないビタミンCが含まれているとなると、ヘルシーなおやつとして活用できるでしょう。