パントテン酸はビタミンB群の一つであり、細胞中では補酵素A(コエンザイムA、CoA)、アシルCoA、アシルキャリア蛋白質(ACP)、4-ホスホパンテテインとして存在しています。
これらは消化管でパントテン酸にまで消化された後、体内に取り込まれます。
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ビタミンB5とも呼ばれる
パントテン酸はビタミンB群の中では5番目に発見されたことから、ビタミンB5と呼ばれていました。
パントテン酸は、ギリシャ語で「どこにでもある酸」という意味で、広く食品に存在するため、人間における欠乏症は滅多にありません。
また、腸内細菌の働きによって体内でも合成することが出来ます。
パントテン酸は黄色く粘りのある液状の物質で、パントイン酸とβアラニンという物質が結合して出来ています。
水に溶けやすく、熱、酸、アルカリに弱い為、調理や加工によって損失されやすいです。
パントテン酸を含む食材を茹でると約半分のパントテン酸が喪失されると言われています。
体内ではカフェインやアルコールの摂取により、パントテン酸を消費することが知られています。
パントテン酸はホスホパンテテインのように、酵素蛋白質と結合した状態で存在している形もあります。
食品を調理・加工する過程及び胃酸環境下では殆どのCoA及びホスホパンテテイン誘導体は酵素蛋白質と遊離します。
遊離したCoA及びパンテテイン誘導体の殆どが腸内の酵素によって消化され、パントテン酸となった後に吸収されます。
消化過程は食品ごとに異なり、一緒に食べる他の食品によっても影響を受けます。
パントテン酸の働き
パントテン酸には以下のような働きがあります。
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糖質と脂質の代謝に関与
パントテン酸はエネルギー代謝を助ける働きがあります。
パントテン酸は多くの代謝に関わる補酵素であり、体内のエネルギー産生やストレスへの抵抗力をつけるために不可欠であり、抗ストレス効果や動脈硬化を予防する働きによって、全身の細胞、組織の健康維持に関わっている為、大切な栄養素なのです。
パントテン酸の生理作用は、コエンザイムA(CoA)やACPの補欠分子族である4-ホスホパンテテインの構成成分として、糖及び脂肪酸代謝に関わっています。
パントテン酸はビタミンB1とともに糖の代謝の中心的な役割を担ったり、ビタミンB2とともに脂質代謝に関わります。
神経細胞の合成
体内でCoAとなり、エネルギー代謝の過程で働く100種類以上の酵素の働きを助けています。
細胞中のパントテン酸の大半は、補酵素型のCoAの誘導体であるアセチルCoAやアシルCoAとして存在しています。
パントテン酸は脂肪酸に結合することで炭水化物、脂質、蛋白質からエネルギーをつくり出す反応に関わるアセチルCoAや、脂肪酸の合成と分解に関わるアシルCoAを生成します。
アセチルCoAは代謝の過程で作られ、神経伝達物質、細胞膜の材料となるコリンを神経伝達物質であるアセチルコリンに変えることで、神経細胞の合成を促します。
欠乏症状及び過剰摂取障害
パントテン酸不足は細胞内CoA濃度が低下することにより、成長停止、副腎障害、手や足のしびれと灼熱感、頭痛、疲労、不眠、胃不快感を伴う食欲不振の症状等を呈します。
パントテン酸の含有量が100gあたり5㎎を超える食材は肝臓以外存在しません。
通常通り食品を摂取していれば、過剰摂取による健康障害は殆どないと言えるでしょう。