カルシウムは体内においてその殆どが骨や歯に存在することから、主に骨の成分とされています。
カルシウムは骨を丈夫にする以外に成長期のお子様にとっても重要な役割を担っています。
最近CBPという言葉を耳にすることがあるかと思います。
CBPとは濃縮乳清活性蛋白のことを言い、母乳や牛乳に含まれる天然の蛋白質で、カルシウムが骨に定着するのを助ける働きがあります。
カルシウムのみの摂取と比べると、吸収速度が1.5倍になると言われています。
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身長を伸ばすには骨端線がカギを握っている
子供は成長期を迎えると身長が一段と伸びます。
身長が伸びるには骨全体が大きくなるのではなく、骨の端にある骨端線という軟骨が関係しているのです。
骨端線は子供の骨にあるもので、成長期に成長ホルモンの影響を受けることによって伸びていきます。
骨端線は成長期の終わりを迎えると白く固まり、骨に変化し、成長が止まります。
しかし、骨端線の量は生まれつきのものなので、骨端線を使い果たし全て伸び切ってしまった場合や、成長期が終わってしまうとそれ以上伸びなくなってしまいます。
十分な成長を促すためにも、骨端線を効率的に伸ばすことが身長を伸ばすポイントとなります。
その為には、日ごろから骨の成長に必要な栄養を摂ることが大切になります。
骨の成長にはカルシウムが必須
骨単線が十分に成長しない理由の一つとしてカルシウム不足があります。
カルシウムは血中において一定の濃度を維持している為、骨形成により骨からカルシウムを血中に放出します。そのため、骨に栄養が行き渡らなくなる上に、骨密度の低下を招いてしまいます。
マグネシウムも必要
骨を成長させるには、カルシウム摂取の他に吸収を促進するCBPと併せて摂取することにより、カルシウムの骨への定着率が上がります。
骨にカルシウムを定着させる栄養素にはマグネシウムもあります。
マグネシウムも骨の形成に関わっており、カルシウムを十分に摂取した上でマグネシウムを摂ると、カルシウムがマグネシウムによって骨に定着する為、骨の栄養に欠かせません。
リンも骨や歯の形成に関わりますが、動物性食品を摂っていれば不足なく補うことが出来ます。
但し、リンの過剰摂取は、骨に蓄えられたカルシウムを血液中に放出してしまいます。
リンを多く含む食品には清涼飲料水、インスタント食品やスナック菓子、その他加工食品に多く含まれ、成長を阻害するとともに、その後の体質悪化にも繋がってしまいます。
カルシウムを摂るには、カルシウムの含有量が多い牛乳を飲むのがカルシウムの補給にベストかと思われます。
ところが牛乳は、乳糖不耐症やアレルギー等の理由で摂取できない人もいます。
カルシウムを多く含む食品牛乳以外に、小魚、桜エビ、アミエビ、大豆製品、海藻類、青梗菜やモロヘイヤなどの青菜類、ナッツ類等が挙げられます。
マグネシウムを主に含む食品群には、魚貝類、大豆製品、海藻類、ナッツ類があります。
骨の成長には更に複数の栄養成分か関わっている
骨の形成に関わる栄養素はカルシウムとビタミンDと言われますが、実は複数の成分が骨形成に関わっています。
カルシウム、ビタミンD、マグネシウム、リン、 ビタミンC、ビタミンK、蛋白質、アミノ酸、コラーゲンβクリプトキサンチン等 |
骨芽細胞の形成に関わるビタミン類
ビタミンDとビタミンKは骨芽細胞の形成に関わります。
骨芽細胞とは骨を形成する細胞を言います。
その一方でビタミンAとビタミンEは、摂りすぎてしまうと破骨細胞を活性化させ、骨芽細胞の働きを阻害してしまいます。
ビタミンAもビタミンEも大事な栄養素ですが、サプリメントで摂りすぎないように気を付けてましょう。
ビタミンDは椎茸、舞茸、鮭、鰯等から補給出来ますが、日光浴によってもビタミンDが補給できます。
ビタミンKは納豆や海藻類、緑色の野菜類に含まれています。
納豆はカルシウムとマグネシウムの両方を摂取することが出来、海藻からもカルシウム、マグネシウムを摂ることが出来ます。
緑色の野菜はカルシウムが豊富に含まれ、同時にビタミンCも摂れます。
あの美容成分も骨形成に関わっている
骨の形成にビタミンCが何故必要なのかと言うと、骨の栄養にコラーゲンが必要だからです。
肌に潤いをもたらすコラーゲンは、体内に存在するうち2割が骨に存在しています。
骨は、コラーゲンに骨形成に必要なミネラルが沈着することによって作られます。
コラーゲンを沈着させるのにビタミンKが関わり、そのコラーゲンの生成に関わることからビタミンCも必要です。
蛋白質は必須
身体の組織を作るためには、蛋白質が必要不可欠です。
そのためには一汁三菜に基づいたメニュー構成を守り、蛋白質を中心とした主菜を一品、野菜やきのこ、海藻を中心とした副菜のおかずを二品付けるといったメニュー構成が、成長を促すのに一番理想的です。
子供の成長には成長ホルモンを分泌させることも重要です。
アミノ酸の中には成長ホルモン分泌促進作用があるものもあり、アルギニンやオルニチン、グルタミン等があります。
みかんも骨を丈夫にする?
βクリプトキサンチンというファイトケミカルも、骨の栄養に関わり、カルシウムを骨に定着させて血液内にカルシウムが流出することを防ぎます。
βクリプトキサンチンは主にみかんに含まれています。
しかし、みかんというと冬しか出回らないですが、ある程度体内保存が出来る成分です。
旬ではない時は、ミカンジュースや、ほかの柑橘類で補うことも出来ます。
寝る子は育つ
骨の成長には成長ホルモンが関わっていることを先述しました。
成長ホルモンは脳の一部である脳下垂体で、夜間眠っている時の方が多く分泌されています。
つまり「寝る子は育つ」と言う言葉はここから来ているのではないでしょうか。
この成長ホルモンは直接骨に働きかけず、肝臓で「ソマトメジンC」というホルモンがつくられるのを助けるのです。
ソマトメジンCはアミノ酸の一種で「IGF-1」とも呼ばれています。脳下垂体で分泌された成長ホルモンが血液によって肝臓に運ばれ、肝臓に運ばれることによってソマトメジンCが生成されるのです。
このソマトメジンCの生成には、アミノ酸、亜鉛、カルシウム、炭水化物、カリウム、ビタミンB2、B6が関わっています。
これらの栄養素によって生成されたソマトメジンCは、血液によって全身の骨の骨端線まで運ばれ、骨の成長促進に働きかけるのです。
刺激を与える
骨の成長を促すには骨に刺激を与えることです。
その為には適度に身体を動かし、新陳代謝を促進させます。
筋力トレーニングを行うと成長が止まってしまうのではないかとの心配の声もありますが、相当無理な筋トレを行わない限り、成長が止まる心配はそれほどありません。
一番ポイントとなるのは、骨端線をいかに伸ばすかということです。
骨の成長に牛乳はベストなのか?
身長を伸ばすのに牛乳が一番ベストかというと、決してそうではありません。
牛乳はカルシウムを手っ取り早く摂ることが出来ます。
しかし、牛乳にはマグネシウムが含まれていません。
そしてリンが含まれています。
寧ろ、リンの過剰摂取によってカルシウムの吸収が阻害されてしまいます。
カルシウムの補給源は牛乳だけとは限りません。
まとめ
身長を伸ばすにはカルシウム不足になってはなりません。
骨の成長に必要な栄養成分は複数あり、これらが相互して骨端線を成長させます。
その為には次のことを心がけます。
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骨の栄養は子供ばかりではなく、閉経期の女性や高齢者にも必要です。
但し、高齢者の中には抗血栓薬を服用しているケースもあります。
ビタミンKは抗血栓薬の作用を弱めてしまうことから、大量摂取をしないように気を付けましょう。