癌や生活習慣病予防等の健康効果が世界的に注目される「大麦」

大麦はβグルカンが含まれていることで、その健康効果は世界的に注目されるほどです。

βグルカンの他にもミネラルが含まれる為、ミネラルの補給源にもなり、癌予防や生活習慣病に期待の大きい食品であると言えます。





 

大麦の歴史

大麦はイネ科オオムギ属に分類され、小麦や米、とうもろこしに次いで穀物の中では生産量が多いと言われています。

大麦は世界で最も古くから栽培されており、その歴史は約1万年前のメソポタミア文明の時代にすでに栽培されていたと言われています。

大麦は穂の形状で「六条大麦」と「二条大麦」に分類されます。「六条大麦」は押し麦等の雑穀米として利用されたり、麦味噌や麦焼酎として用いられています。

一方「二条大麦」は主にビールの原料として使用されています。

大麦は戦後の食糧が豊富な時代になってから食卓から隠れてしまいましたが、ここ最近、腸内環境改善効果が知られて以来、その健康効果に注目されています。

大麦には「うるち」「もち」に分類されますが、現在注目を集めているのはもち麦の方であり、もち麦の持つ食物繊維の効果に期待されています。

 

大麦の栄養

大麦は穀類であることから炭水化物と食物繊維が豊富に含まれ、その食物繊維がβグルカンという水溶性食物繊維です。

大麦にはビタミンB1、カルシウム、カリウム、鉄分、亜鉛、銅等が含まれています。

これらの栄養成分によって大麦には以下の健康効果に期待があります。

  • 生活習慣病予防
  • 癌予防
  • 糖質の代謝
  • 脳や神経機能の向上
  • 貧血予防
  • 骨や歯を丈夫にする
  • 高血圧予防
  • 血流改善
  • 冷えの解消
  • 皮膚形成
  • 薄毛対策…等




 

生活習慣病予防

βグルカンには水分を吸着して体内の不要なものを絡めて体外に排出する働きがあると言われます。その為、体内の余分なコレステロールや中性脂肪を排出します。

コレステロールの正常化
βグルカンを抗含有する大麦を用いて、血清総コレステロール濃度が高い日本人被験者を対象に介入試験を行った。50%大麦を配合したパック麦ご飯を主食として、1日2パック、12週間毎日摂取する試験を行った(βグルカン3.5g/パック)。その結果血清総LDLコレステロールが有意に低下した。これらの研究から、日本人の食生活においても大麦の摂取が血中コレステロール濃度低下に有効であることが確認された。

食後の血糖上昇抑制
大麦の摂取は、食後の血糖上昇を抑制して、インスリンの過剰分泌を抑える効果が多く報告されている。本効果は可食部(胚芽部)に存在するβグルカンが大麦中およびその他のデンプンの吸収を穏やかにする効果によるものと考えられる。

満腹感の維持作用
大麦を配合した食品は、胃内停滞時間が長くなるため、満腹感が持続する。さらにβグルカンは消化管ホルモンの分泌に影響を与え、満腹感の持続に作用し、食事のエネルギー摂取量を低減させると言われている。

引用元…大麦βグルカンの機能性について

βグルカンは粘り気のある物質であり、ゆっくりと消化される為、食後の血糖上昇を緩やかにします。

大麦には糖尿病、肥満、脂質異常症、高血圧症、動脈硬化、脂肪肝、心疾患、脳血管疾患、胆石症等、これらの疾患の予防効果に期待出来ます。


 

癌予防

大麦に含まれるβグルカンには免疫力を高める働きがあると言われ、癌抑制効果に期待があります。

βグルカンには癌細胞を攻撃するNK細胞やマクロファージなどの免疫細胞を活性化させる働きがあり、腫瘍抑制効果が認められています。

βグルカンは腸内において免疫を活性化させる細胞に働きかけ、ウィルスを撃退すると言われます。




 

糖質の代謝

大麦にはビタミンB1が含まれ、主に糖質がエネルギーとして代謝する時に利用されます。

糖質がピルビン酸に変換するのに、ビタミンB1とマグネシウムが補酵素として利用されます。

ビタミンB1はピルビン酸がアセチルCoAに変換するときの酵素として必要であり、この変換がないとクエン酸回路でのエネルギー代謝に移行出来なくなります。

クエン酸回路は有酸素運動時のエネルギー代謝経路であり、エネルギー代謝に必要な酵素の成分となる栄養を摂ることによって運動時の疲労を抑制しながら脂肪燃焼を促します。

体脂肪が燃焼する代謝経路に切り替わる為には、ビタミンB1が必要となります。

 

脳や神経機能を正常に保つ

炭水化物は脳の唯一の栄養源とであり、ビタミンB1によって脳を活性化させる働きも持ち合わせています。

ビタミンB1によってブドウ糖が代謝されると、怒りや鬱の感情を抑制すると共に、学習力や記憶力を高めると言われます。

カルシウムやマグネシウムには興奮抑制作用があると言われます。

マグネシウムにはGABAの働きを持続させたり、筋肉の緊張を緩和する働きがあると言われます。

 

ミネラルによる様々な健康効果

大麦は、鉄分やカルシウム、カリウム、亜鉛等が白米より多く含まれています。

鉄分はヘモグロビンの材料となり、銅や鉄を代謝することによって鉄の吸収を促します。

カルシウムは骨や葉の栄養となり、マグネシウムはカルシウムを骨や歯に定着させることによって、これらのミネラルによって骨や歯を丈夫にします。

カリウムは体内の余分なナトリウムを排出して血圧を正常値に保ち、この効能によって浮腫み解消血流促進の効能も得られ、冷え性改善にも良いと言われます。

亜鉛は鉄分とともに皮膚の形成に関わります。

また、亜鉛は男性に嬉しい栄養分であり、薄毛対策男性ホルモン分泌不足に役立つミネラルです。

 

注意点

大麦アレルギーを持っている場合は大麦の大量摂取によってアレルギー反応を起こす場合があります。大麦が体質的に合わない場合は摂取を控えておくと良いでしょう。

 

まとめ

大麦についてまとめます。

  • 生活習慣病予防
  • 癌予防
  • 糖質の代謝
  • 脳や神経機能の向上
  • 貧血予防
  • 骨や歯を丈夫にする
  • 高血圧予防
  • 血流改善
  • 冷えの解消
  • 皮膚形成
  • 薄毛対策…等

亜鉛の健康効果は優れていますが、更にミネラルの効能を得られるようにするには副食から得られる栄養素も必要となります。

食物繊維に注目される大麦ですが、主食だけで食事を済ませてしまっては栄養が偏り、大麦に含まれていないミネラル類やビタミン類の不足を引き起こしてしまいます。

基本的には一汁三菜のメニュー構成を守った上で大麦(もち麦)を取り入れると、もち麦から得られる効能とビタミンやミネラルから得られる効能の両方を享受出来、理想的と言えるでしょう。



 
栄養相談、サポート詳細
 

関連記事

最近の記事

  1. 大豆の大量摂取が甲状腺に影響を及ぼす…ゴイトロゲンとは?

  2. 強い抗酸化作用が秘められる「チコリ酸」

  3. いくら食べても太らない…隠れ肥満とサルコペニアのリスクの低減を図るには?