おかずは漬物で十分というほど栄養成分に優れた「玄米」は本当に危険?

玄米とは白米を精米する前の米で、一番外側の殻だけを取り除き、糠層(果皮と種皮とデンプン層)と胚芽が残った米を言います。

更に精米し、糠層を取り除いていくと胚芽米になります。

胚芽を取ると胚乳だけの精白米になります。精白米には糠や胚乳に含まれているビタミンB群、ビタミンE、蛋白質、脂肪、ミネラルが取り除かれています。

玄米は万能な食品と言われる一方、危険な食品とも言われており、玄米が身体に良いのか悪いのか迷われるかと思います。

ただ、玄米は人によって合わない場合がありますので、必ずしも万人向けの食品でもないのです。





 

江戸患いの原因は精白された米が原因

江戸時代、地方の侍や商人が江戸で暮らすようになると「江戸わずらい」にかかると言われていました。

江戸わずらいとは気が滅入る、足や膝がだるい、顔が浮腫む、食欲不振という症状が現れる病気です。

これは糖質しか含まれていない白米を食べることによってビタミンB1不足が生じたことによる病気だと言われています。

かつて、玄米は貴重な栄養源であったことが伺えます。精米過程で出る、果皮、種皮、胚芽等の部分を米ぬかと呼んでいます。

このうち胚芽の部分だけ取り出して加工したものが米胚芽加工食品です。現在、米糠は主に食用油の原料や、糠漬け、飼料、茸の培養基に利用されています。

 

玄米の栄養

米糠には、γオリザノール、フィチン(イノシトール)、フェルラ酸、アラビノキシラン等が含まれています。

玄米と白米の栄養価の違いをまとめます。(食品成分表2020より)

玄米 白米
エネルギー(kcal) 353 358
蛋白質(g) 6.8 6.1
脂質(g) 2.7 0.9
ナトリウム(mg) 1 1
カリウム(mg) 230 89
マグネシウム(mg) 110 23
リン(mg) 290 95
鉄分(mg) 2.1 0.8
亜鉛(mg) 1.8 0.4
銅(mg) 0.27 0.22
マンガン(mg) 2.06 0.81
ヨウ素(μg) Tr 0
セレン(μg) 3 2
クロム(μg) 0 0
モリブデン(μg) 0.5 0.9
ビタミンB1(mg) 0.41 0.08
ビタミンB2(mg) 0.04 0.02
ナイアシン(mg) 8.0 2.6
ビタミンB6(mg) 0.45 0.12
葉酸(μg) 27 12
パントテン酸(μg) 1.37 0.66
ビオチン(μg) 6.0 1.4
ビタミンE(μg) 1.2 0.1

玄米と白米の栄養を比べると、精白によって特にビタミンB群、ビタミンE、マグネシウムの含有量が失われてしまいます。

これらのビタミン、ミネラルは現代人に不足が見られるものです。

その一方で玄米は危険であるという見方をされています。

それはフィチン酸やアブシジン酸による毒性、残留農薬について懸念があることから、玄米は癌の要因である危険な食品である情報も流れています。

 

γオリザノールとは?

γオリザノールはこめ油の中に含まれるフェルラ酸のエステル体で、抗酸化作用、成長促進、性腺刺激、血流促進、脂質代謝改善、美白に効果があることが報告されています。

また、自律神経失調症や更年期障害、卵巣機能障害、むち打ち症の緩和、高脂血症の予防にも効果が認められていると言われます。

米糠は、医薬品や化粧品にも利用されています。

 

フィチン酸は本当に身体に悪影響を及ぼすのか?

玄米にはフィチン酸という成分で、イノシトール6リン酸とも呼ばれる成分が含まれていると言われています。

フィチン酸は、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等との結合力が強く、ミネラルの吸収阻害する成分の為、有害物質として見られてきました。

ところが、最近では、腹中枢に影響を与えて食欲を抑制する働きや、更に強力な抗酸化作用、抗癌作用、解毒効果、生活習慣病予防、尿路結石予防などの効果に注目されるようになりました。

 

玄米の米糠層に含まれるのはフィチン酸ではなく…

玄米の米糠層に含まれるのはフィチン酸と金属イオンが結び付いたフィチンであり、玄米に含まれるフィチンは常識的な量を食べている限り、ミネラルの吸収に影響を与えません。

フィチンは糖アルコールの一種で、イノシットとも呼ばれています。

フィチンは細胞膜を構成するリン脂質の成分で、人体では特に神経細胞に多く存在し、睾丸や肝臓にも多く分布しています。

フィチンは体内に入ると「フィチン酸」と「ミネラル」に分解されます。

フィチン酸の有用ミネラル排出は、生の玄米を食べた時に起こると言われます。

玄米を正しく炊き、適量を摂取していれば、フィチン酸のよるミネラル排出については、それほど心配ないと考えられます。

その為、体内においてもフィチン酸の持つ健康効果が享受出来ることが考えられます。

 

癌予防効果に期待のあるフェルラ酸

フェルラ酸は植物の細胞壁を形成するリグニンの前駆体で、ポリフェノールの一種でもあります。

玄米にはビタミン類の中でも抗酸化作用が強いビタミンEが含まれています。

抗酸化作用がある為、紫外線による肌のダメージ防止によるアンチエイジング効果や生活習慣病、癌の予防に効果があると言われています。

 

免疫機能調整

アラビノキシランは細胞壁を形成する食物繊維のハミセルロースであり、アラビノキシランはアラビノースとキシロースから構成された多糖類です。

近年、アラギノキシランがNK細胞やマクロファージを活性化して免疫機能を調整し、癌の増殖を抑制する作用が注目されていると言われていますが、評価は定まっていないそうです。




 

プレバイオティクス

玄米には食物繊維が豊富に含まれ、プレバイオティクスとしての働きがあり、腸内環境改善に関与しています。

また、水分と一緒に摂ることによって便のかさを増やして、便通改善を図る効果があるとされています。

食物繊維が腸管からの糖の吸収を抑える為、食後血糖値の上昇を緩やかにし、糖尿病の予防、血糖コントロールの安定、肥満予防に役立てます。

 

エネルギー代謝

玄米にはビタミンB1が豊富に含まれています。

ビタミンB1は、糖質がエネルギーとして利用する為に必要な栄養素であり、更に糖尿病や肥満予防の効果に期待があります。

マグネシウム、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸の含有量も白米より優れており、解糖系やクエン酸回路において補酵素として利用されます。

また、蛋白質の代謝に必要とするビタミンB6も含まれ、体組織の生成や免疫力向上や神経伝達、輸送等、蛋白質の持つ働きを引き出します。

 

脳機能向上

玄米に含まれるビタミンB1は脳の唯一の栄養源であるブドウ糖の代謝に重要な役割を担っています。

ビタミンB1が補酵素として利用されることにより、ブドウ糖は脳の栄養として記憶力や学習力を高める効果を発揮します。

また、脳や神経機能の向上を図ることによって鬱や怒りの感情を抑制すると言われます。

マグネシウムには神経興奮抑制作用や、筋肉の緊張の緩和、GABAの作用を持続させる等の働きがあります。

玄米は精白された穀物を摂るより、心機能を健やかに保つと言えるのです。

 

アブシジン酸による発癌性

玄米に含まれるアブシジン酸は、ミトコンドリアを傷つける、発癌性がある等の理由で危険な物質であると言われています。

アブシジン酸とは植物ホルモンの一種であり、次のような働きがあります。

気孔を閉塞させる 気孔を閉塞させることによって水分の蒸散を抑え、水分を保つことによって栄養成分を蓄積させ、植物の乾燥耐性を養う
発芽抑制 種子の成熟に必要
種子や胚の休眠 種子の成熟に必要

このようなことから種子を育てる為にアブシジン酸が存在しています。

アブシジン酸は食品安全委員会にて安全性が認められています。

参考資料…食品安全関係情報詳細

そして、アプシジン酸を含む食品は玄米に限らず種実類にも含まれます。

アブシジン酸による毒性の影響は生の状態で召し上がった時に発芽抑制因子による影響を受けてしまうものであり、これらの食品は「炊く」「炒る」等して加熱工程の後に召し上がることから、アプシジン酸による毒性の心配はそれほどないと言えます。

アプシジン酸には糖尿病や動脈硬化の予防や改善、抗炎症作用があることが示唆されています。

 

注意点

玄米は優れた健康食品ですが、人によっては合わない場合があります。

胃腸が弱い場合

玄米には食物繊維が多い為、胃腸の弱い人には消化不良を起こすことがあります。

乳児や高齢者においてもそうですが、玄米が身体に合わない場合は分搗き米にして、不足分の栄養成分を雑穀から補ったり、発芽米や胚芽米から摂る方法があります。

残留農薬による発癌性

残留農薬の問題や味や匂いが気になることによって、玄米は敬遠されがちです。

玄米の農薬は脂質が含まれる胚芽や糠に溜まりやすいと言われます。

このような観点からも玄米の危険性が懸念されています。

もし、玄米を購入されるのであれば、コストが嵩みますが、無農薬のものを選んで出来るだけ農薬を体内に摂り入れないように努めてみましょう。


 

発芽玄米

今では白米と同じように軟らかく食べられる発芽玄米が商品化されています。

発芽玄米とは、玄米に水分を与えて2~3日後、0.5~1㎜に発芽した玄米です。発芽玄米にはGABAが含まれ、鎮静作用や降圧作用、脂質代謝改善作用があるとも言われます。

 

酵素玄米

酵素玄米とは、玄米又は米糠に酵素を加えた発酵食品です。

麹菌は数々の酵素を産生しながら、玄米の糖質、脂質、蛋白質を分解しやすくするため、玄米の栄養素が吸収しやすくなります。

また、ビタミンB群やビタミンEが増加することも報告されています。



 

まとめ

玄米についてまとめます。

  • 抗酸化作用
  • 成長促進
  • 性腺刺激
  • 血流促進
  • 脂質代謝改善
  • 美白効果
  • 自律神経失調症
  • 更年期障害
  • 卵巣機能障害
  • むち打ち症の緩和
  • 抗癌作用
  • 解毒効果
  • 尿路結石予防
  • 肝機能向上
  • 免疫機能の調整
  • 腸内環境改善
  • 脳機能向上…等

玄米に期待する健康効果はこれだけ沢山あり、優れた健康商品であることが言えます。

玄米の健康効果を享受するには次のポイントを知っておきましょう。

  • 生のまま喫食しない
  • 普段から栄養バランスの良い食事を摂る

体質や症状によって合う合わないがある玄米ですが、特に胃腸の調子が悪くないのであれば、上記のことを実践すれば、玄米からのミネラルも確実に摂れることに期待があるでしょう。

ただ、農薬による毒性の懸念は完全にないとは言えない為、無農薬やオーガニックであることら明らかであるものを選んだ方が無難です。

 



 
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