コリンはホスファチジルコリン(PC)、スフィンゴミエリン(SM)、グリセロホスホコリン(GPC)等のリン脂質の一部で、細胞の脂質二重膜の構成成分です。
体内では細胞膜や神経組織を構成するレシチンの材料として存在しています。
このレシチンは胎児や新生児の成長に欠かせない成分であります。
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コリンの役割
人間の身体は60兆個もの細胞から出来ており、一つ一つの細胞に細胞膜と呼ばれるリン脂質の膜に包まれています。
リン脂質の構成成分となっているコリンは脳神経系や血液、骨髄、心臓、肺、肝臓、腎臓、胃腸等の主要な細胞組織の膜に多く含まれています。
これらの細胞膜には細胞同士の仕切りとしての存在以外に、浸透圧の調節、細胞に必要な酸素や栄養成分の吸収、老廃物の排泄、情報伝達の役割もあるのです。
アンチエイジング
コリンは細胞の老化防止にも効果があると言われています。
コリンは人体の全ての細胞に存在していることから、皮膚細胞の再生、活性化にも重要な働きをします。
皮膚の新陳代謝が活発になると、脂質の過酸化物と蛋白質によって産生されるリポフスチンという老廃物の沈着を防ぎます。
この為、ニキビや肌荒れ、しわ、皮膚の角質化等の予防に効果があると考えられています。
コリンが持つこれらの機能によって、若さと健康を維持することが出来るのです。
記憶保持、脳機能向上
コリンは、記憶や学習に強く関係しているアセチルコリンという神経伝達物質のもとになる物質です。
コリンは体内に吸収されると脳まで届き、レシチンの構成成分の一つとして、アセチルコリンをつくる材量になります。
アセチルコリンは主に記憶や情報の伝達に重要な役割を担っています。
その為、アセチルコリン濃度によって記憶保持や脳機能向上左右されます。
アルツハイマー型認知症の原因の一つはアセチルコリンの減少ともいわれています。また、コリン自体が脳の記憶形成を助ける働きを持っているそうです。
脂質代謝
コリンは肝臓での脂質代謝に関わっています。
肝臓にはコレステロールの合成や遊離脂肪酸をリン脂質に再合成して血中に送り出す等の体内の脂質代謝の中心的な役割も果たしています。
脂質代謝異常が起こると肝細胞中にリポ蛋白質と結合しない脂肪が生じてしまい、肝臓に多量に沈着すると脂肪肝になります。コリン不足も脂肪肝の原因の一つになっています。
また脂質代謝に関わることから不要な脂肪の蓄積防止し、肥満予防にも役立ちます。
レシチンの構成
コリンはリン酸、グリセリン、脂肪酸と一緒にレシチンを構成しています。
レシチンには水と油の合わさる性質を持っており、この性質によってコレステロールが血液中の水分を乳化します。
血中コレステロールをレシチンが溶かすことによって余分なコレステロールが血管壁に沈着することを防ぎ、細胞内や血液中のコレステロール値を調整する作用にコリンが関わっているのです。
興奮抑制作用
アセチルコリンには血管を拡張させて血圧を下げる作用があり、コリンはアセチルコリンの材料となるため、この作用に関与しています。
アセチルコリンは、副交感神経の神経伝達物質として一般的に知られており、アセチルコリンがアセチルコリン受容体を結合することで作用を発揮します。
更にアセチルコリン受容体の中でも、平滑筋や脳に存在する受容体M3と結合すると、血管平滑筋が拡張し、血圧が低下することが知られています。
コリンを含む食品及び1日あたりの摂取量
コリンを多く含む食品は卵黄、鶏レバー、大豆、豚肉の赤身、鮭です。
日本において、コリンは厚生労働省の定める日本人の食事摂取基準に推奨量や目安量の基準が設定されていません。
耐容上限量は3500㎎/日とされています。
過剰摂取による症状
コリンの過剰摂取症状として胃のむかつき、魚臭様体臭といった症状を起こします。
魚臭の原因は腸内細菌によってコリンが分解されて生じるトリメチルアミンによるものです。
コリン
コリンの働きについてまとめます。
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レシチンが不足しないためには、主菜となる蛋白源となる食品をメニュー構成に組んだ食生活を送ることです。
蛋白質の摂りすぎはコリンの摂りすぎの観点からもデメリットとなります。