土用の丑に日の行事食として定番となっている鰻ですが、夏真っ盛りのイメージが強いかと思われます。実は鰻の旬は夏ではなく、秋から冬にかけてなのです。
土用の丑の日に鰻を食べるという文化が出来たきっかけは江戸時代のことです。
鰻の旬は秋から冬にかけてということから、夏場の鰻は他の時期にとれたものに比べて鮮度や質が落ち、江戸時代当時は鰻の売れ行きが良くなかったと言われます。
これは商人にとっての悩みでした。商人が平賀源内に相談に赴いたところ「本日丑の日」と書いたものを店頭に貼る事を勧められ、これが鰻の繁盛に繋がったという説があります。
土用の丑の日の説には「う」が付く食べ物であるうどんや瓜、梅干し、牛肉等を食べると夏バテ防止に良いことから、これらの食品を食する習慣もあったそうです。
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鰻の栄養と健康効果
鰻は蛋白質や良質な脂質、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、カルシウム、鉄分、銅が豊富であり、その含有量は日本のスーパーフードと言ってもいい位沢山含まれています。
鰻の脂質は100gあたり24g含まれ、その脂質とはEPAとDHAといった優れた油です。
鰻には以下のような健康効果に期待があります。
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エネルギーの70%を占める脂質はオメガ3脂肪酸
鰻が疲労回復や精力滋養に良いと言われるのは良質な脂質が豊富なことから高カロリーである上に、蛋白質も含まれ、エネルギー代謝に関わるビタミンB群が含まれるからということが考えられます。
鰻のカロリーは100gあたり250~300kcalであり、1食あたり約300kcalとなります。但し、うな重として摂る場合、このカロリーに加えて御飯のカロリーが上乗せとなります。
そして鰻の脂質は24gです。これを脂質エネルギー比に換算すると、鰻の脂質エネルギー比はやく70%となります。
鰻に含まれる脂質はEPAやDHAといったオメガ3脂肪酸であり、脂質の中でも特に積極的に摂りたい脂肪酸です。
このオメガ3脂肪酸は身体の至るところを健康に保つ優れた脂肪酸なのです。
オメガ3脂肪酸の効能の一つとして脂肪燃焼効果があります。
鰻にはビタミンB群が豊富に含まれ、B1、B2は1日に必要量をほぼ摂取出来る程です。
ビタミンB6やビオチンやナイアシンも含まれている為、糖質や脂質をエネルギーとして利用させることによって運動時において脂肪燃焼を促し、疲労抑制効果もある為、有酸素運動を無理なく行えると言えます。
鰻には蛋白質と蛋白質の代謝に関わるビタミンB6が含まれ、筋肉の合成に関わることから、脂肪燃焼しやすい身体を作る効能が鰻にあると言えます。
鰻に含まれる脂質であるEPAやDHAは血中のLDLコレステロールや中性脂肪を減らし、HDLコレステロールを増やす働きがあります。
この為、鰻に含まれる脂質は生活習慣病予防に良いことが言えます。
抗酸化作用
鰻にはビタミンAとビタミンEが含まれており、抗酸化作用がある為、血液中の脂質が参加することを防止する働きがあると言われます。
その為、酸化した脂質によって血管壁が傷つくことを防ぐ為、血栓予防、動脈硬化や心筋梗塞、脳血管疾患等の循環器系疾患予防に良いとされています。
目のトラブル予防
鰻にはビタミンAが多く含まれます。
ビタミンAの中のレチノールとレチナールは網膜細胞の保護作用や視細胞の光刺激反応に重要な役割があります。
また表皮の細胞を生まれ変わらせること働きがあります。
鰻に含まれるビタミンB2には粘膜保護作用や細胞の再生作用があり、眼精疲労や白内障、涙目や目の乾燥等の眼病予防効果に期待があり、オメガ3脂肪酸には加齢性黄斑変性症予防効果があることから、鰻は目に優しい食品であることが言えます。
鰻にはビタミンB2により粘膜保護作用や口内炎及び舌炎の予防効果があると言われます。
ビタミンAには表皮の細胞を生まれ変わらせる作用があることから、皮膚を若返らせる作用を発現すると言われます。
鰻にはビタミンAとビタミンEが含まれていることから抗酸化作用があると言えます。
抗酸化作用によって紫外線から肌を守る為、シミやしわ、たるみを予防し、皮膚の老化を防ぐことに期待があります。
鰻には蛋白質も豊富であり、コラーゲンも含まれており、ビタミンCを含む食品と一緒に摂ると美肌効果が得ることが出来ると言っても良いでしょう。
癌予防
ビタミンAとビタミンEによる抗酸化作用は癌予防に良いと言われます。
オメガ3脂肪酸には抗炎症作用やインスリン抵抗性改善作用がある為、糖尿病予防や脂肪肝の予防効果があると言われます。
また、肝臓に何等かの疾患が発生すると最終的に肝臓癌に至ってしまいますが、脂肪肝や肝機能障害の予防効果によって肝臓癌の予防効果に期待があることが言えます。
骨を丈夫にする
鰻には骨を強くする食品であると言えます。
鰻には骨の栄養となるカルシウムが含まれます。
そしてカルシウムの吸収を促すビタミンDも含まれています。
鰻にはコラーゲンも含まれており、コラーゲンには骨密度を改善する働きがあります。
鰻には当然身体を作るのに欠かせない蛋白質が含まれる為、骨折等の怪我の治りを早める働きがあることが言えます。
鰻に山椒が付くのは何故?
鰻のお供には山椒が付きます。山椒には胃腸の働きを整える効果があると言われています。
土用の丑の日の時期は非常に気温が暑くて、夏バテしやすい上に胃腸の働きも弱くなりやすくなります。
また、鰻には脂質が多く含まれることから胸やけを起こしやすい食材であることが言えます。
鰻と一緒に摂る事によって胸やけを抑え、胃腸の働きを整える為、鰻と山椒の組み合わせは理に適っていると言えるでしょう。
注意点
このように鰻は栄養面で非常に優れた食品ですが、低GIで良質な脂質が含まれるからダイエットに良いと思って食べ過ぎてしまうのは逆効果です。
食べ過ぎは太る
鰻は高カロリーなので食べ過ぎは太ってしまいます。
レチノイン酸濃度急上昇
鰻にはビタミンAが豊富ですが、動物性食品からのビタミンAは過剰摂取障害を起こしてしまいます。
ビタミンAの過剰摂取により血中のレチノイン濃度が急上昇してしまい、頭痛をはじめ、脳脊髄液圧の上昇や頭蓋内圧亢進等の症状を呈します。
レチノイン酸は過剰摂取により骨芽細胞を阻害し、破骨細胞を活性化して骨折のリスクを高めます。
このような症状はビタミンAのサプリメントやレバーの過剰摂取によって引き起こされますが、鰻も食べ過ぎてしまえば、このような症状起こすリスクがあります。
いくら身体に良いからといっても、食べ過ぎは逆効果となってしまいます。
腎機能低下
鰻には蛋白質が豊富で、1回に食べる量が多い為、蛋白質の摂取量が増えます。
蛋白質は身体の至るところの組織を作るのに大事な栄養素ですが、大量摂取も良くありません。
鰻を毎日食べる人は殆どいないとは思いますが、たまに蛋白質を多く摂る分には問題なく、せいぜい1週間程度までならそれほど身体に支障をきたさないでしょう。
ただ、鰻に限らず、蛋白質の過剰摂取を日常的に行うと、血液中の尿素窒素やクレアチニン値が上昇します。
これによって血中アンモニア濃度が上がり、肝臓での解毒が間に合わなくなり、腎臓に負担をかけてしまいます。
また、クレアチニンが増えることも腎臓に負担をかけ、腎盂におけるろ過機能を弱めてしまい、腎機能悪化と繋がってしまいます。
動物性蛋白質にはリンも多く含まれる為、リンによって腎機能の悪化を進行させてしまいます。
腎不全が慢性的となると病気の改善は不可逆的となる為、蛋白質や塩分、リンの制限、場合によってはカリウム制限を行うことによって対処的に腎機能悪化防止をしなければならない状況に陥ります。
腎臓からの排泄機能が働かなくなると透析をするようになってしまいかねません。
肝硬変非代償期
肝臓を正常に働かせるには蛋白質の摂取は必要不可欠ですが、肝硬変非代償期における蛋白質の摂取は血中アンモニア濃度の上昇を加速させてしまいます。
血中アンモニア濃度が高くなると、昏睡や低栄養、浮腫等の症状を引き起こす上に予後も良くありません。
脂肪制限
膵炎等の膵臓疾患、胆石症を起こしている時に医師から脂肪制限の指示を受けている場合は、摂取を控えます。
胃腸の調子が悪い時
鰻は脂肪分が多いことから、胃腸が弱っている場合は不向きです。
腸管トラブルを起こしている場合、脂肪分が多いことから更にお腹を壊してしまうことがあり得るので、下痢や腸閉塞等の症状が見られる場合も控えておきましょう。
まとめ
鰻についてまとめます。
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鰻はオメガ3脂肪酸の摂取源であるとともに、不足しやすいビタミンB群を充足することが出来る優れた食品です。
高価なことから滅多に食べられないものですが、栄養価が高いからといって摂りすぎてしまうとビタミンAの過剰摂取になります。