タウリンは生体内で遊離した状態で存在する含硫アミノ酸化合物の一つです。
アミノ酸はアミノ酸同士が結合すると蛋白質になりますが、タウリンは他の蛋白質と結合せず、概内で遊離した状態で存在しています。
その為あらゆる臓器に存在し、特に脳、心臓、肝臓、骨格筋、網膜に多く含まれます。
タウリンはホメオスタシスという身体の恒常性維持に大切な作用がある為、大変重要な働きを持っているアミノ酸です。
Table of Contents
タウリンの働き
タウリンには以下の効能があるとのことです。
|
神経伝達
タウリンには脳疲労回復や認知機能改善効果があると言われています。
タウリンはGABAなどの神経伝達物質のレベルを向上し、ソマトスタチン陽性ニューロンの数を増加することにより、学習と記憶力を向上させるそうです。
また、記憶力の維持にも効果的と言われます。
睡眠の質の向上
タウリンが持つ、GABAやグリシン受容体を活性化させる作用は、抑制性神経伝達物質として機能する為、脳をリラックスする効果もあると言われています。
このため、不安解消、ストレス解消、精神疲労回復に役立っています。
タウリンは興奮を抑制するグリシン受容体を活性化することで、不安を抑える働きをします。
タウリンはGABA受容体を活性化することにより、ストレスや不安を軽減します。
更にタウリンは心を落ち着かせる神経伝達物質作用により、精神疲労を緩和させると言われます。
また、GABAやグリシン受容体の活性化は不眠症を改善し、睡眠の質を良くする働きもあります。
肝機能維持
タウリンは肝機能改善にも役立っています。
肝機能強化
タウリンは肝細胞の機能再生を促進するだけではなく、肝機能を強化し、炎症を抑え、毒性障害を改善すると言われます。
胆汁酸分泌促進
タウリンは肝機能改善によって胆汁酸の分泌を促します。
胆汁酸の分泌が促進すると、タウリンがコレステロールを利用して胆汁酸の生成を促します。
その結果、血液中のコレステロールを下げることに繋がります。
アルコール代謝促進
アルコールを摂取した時は、タウリンが酵素の働きを助けるので、アルコールの分解を早めて肝臓への負担を軽減します。
脂肪肝予防
タウリンには肝臓に溜まった中性脂肪を排出する働きがあるので、脂肪肝の予防や改善効果に期待があります。
血糖値をコントロール
タウリンにはインスリンの分泌を促進させる働きがあると言われます。
インスリンの分泌が正常になされることで、高血糖になることを予防します。
肝臓は三大栄養素の代謝に携わり、当然、糖質の代謝に関わっています。
タウリンは肝機能を高めることに期待がある成分ですが、不摂生な食生活を送ったところで、肝機能向上は期待できません。
極端に糖や脂質が多い食品、食品添加物や農薬等の有害物質を体内に取り込むと、肝臓への負担がかかります。
甘いお菓子やジャンクフードばかり食べていては、肥満に繋がります。
このような食生活はインスリン抵抗性を高め、インスリンが分泌されても、血糖値の上昇を抑制することが出来ません。
食生活を整え、インスリンの分泌が正常に行えるようになると、血糖値がコントロールされ、糖尿病の予防に繋がります。
糖尿病を予防すれば、合併症による腎障害も予防できるため、浮腫みの予防にもなります。
また、血糖がコントロールされることで、脂質異常症の予防になるため、循環器疾患の予防にも繋がり、動悸や息切れといった辛い症状を未然に防ぐことに繋がります。
肝臓で栄養素が正しく代謝されれば、疲労を抑制することに繋がります。
ビタミンB群、マグネシウムを摂取した上で、スタミナアップを図ることに期待があります。
疲労抑制
疲労抑制は、タウリンの健康効果で注目されているところです。
肝機能向上、血糖コントロールという観点からも、タウリンは疲労抑制効果に期待があります。
タウリンは、身体のあらゆる部分に分布され、当然筋肉中にも存在します。
これは、タウリンの摂取による乳酸値の上昇抑制との関連性があるからです。
筋トレをはじめとする無酸素運動にて、解糖系にて行われるエネルギー代謝が行われる時、負荷が大きいとそれに伴い乳酸の産生も増加します。
また、糖の代謝に必要なビタミンB1が不足しても、疲労しやすくなります。
筋トレや無酸素運動時におけるエネルギー代謝にビタミンB1、マグネシウムが乳酸の生成を抑制しますが、タウリンも一緒に摂ることで、更に疲労抑制に期待があります。
タウリンが疲労抑制に関与する理由は、インターロイキン6やTNF-αの発現量を抑えると言われています。
このインターロイキン6やTNF-αは、筋肉の損傷や炎症の指標となるものです。
タウリンには筋肉中に溜まった疲労物質を除去する効果があると言われることが、タウリンが疲労抑制に良い栄養成分であることと言えるのです。。
毒素排泄
タウリンは腎臓のろ過機能を促進させる作用があり、有害ミネラルや毒素を排出する機能を上げます。
有害なものを排出することにより、ダイエット効果も期待出来ます。
循環器疾患予防
タウリンはマグネシウムと摂取することによって、酸化ストレスを抑制し、血管内皮前駆細胞機能の向上をもたらすことから、血管内皮修復機能が高まります。
人の身体は、脳血流自動調整能を持っており、この機能によって頭蓋内の容積と圧が一定に保たれます。
タウリンはカテコールアミンの分泌を抑制すると言われています。
血圧をコントロールする働きが、血圧を正常に保つと同時に、脳血流自動調整機能を正常に稼働させます。
タウリンは、カルシウムパラドックスから身を守る働きがあることが、静岡県立大学の研究で明らかになっています。
カルシウムパラドックスの進行を抑えることで、血管内にカルシウムが沈着することを防ぎます。
この為、心血管疾患や循環器疾患の進行が抑制され、心筋梗塞から身を守る事が出来ることに期待があります。
目のトラブル予防
タウリンは網膜にも比較的多く含まれています。
タウリンが網膜に存在することにより、視力の衰えを防ぎ、新生児の脳や網膜の発育を助けます。
タウリンを含む食品
タウリンは主に魚介類に多く含まれます。エビ、カニ、イカ、タコをはじめ、サザエ、牡蠣、シジミ等の貝類、ブリやカツオの血合い、鯵、サバに特に多く含まれています。
タウリンは水に溶ける為、煮汁と一緒に摂ると効率的に摂取出来ます。
海藻類では、海苔にタウリンが含まれています。
タウリンと母乳
母乳にはタウリンが含まれています。
タウリンは体内で生成することが出来る物質ですが、胎児、新生児、乳児にはその力が備わっていません。
タウリンには脳の成長を促進させる働きがあると言われます。
胎児や新生児、乳児がタウリンを体内生成できない為、母乳にて栄養補給をすることでタウリンを摂取し、子供の発育に繋げます。
まとめ
タウリンの効能についてまとめます。
|
タウリンを含む食品は主に魚介類です。
普段から蛋白質を摂取することを心がけ、積極的に魚介類を摂ることです。
蛋白源として肉より魚が好ましいのは、脂肪酸の絡みもありますが、恒常性維持を図るためのタウリン摂取の観点からも、肉より魚の方がメリットとなるのです。