小さく産んで大きく育てる…妊娠に対する危険な価値観

若い女性の間では極端な痩せ思考が見られ、栄養失調を起しているという事実があります。

そんな彼女達の中には「子供を小さく産んで大きく育てたい」という願望があります。

しかし、低体重で生まれた子供は、体質的に何等かのハンディキャップを持った人生を歩むという宿命を持たされてしまいます。





 

低体重児の悲劇1「肥満」

妊婦が無理なダイエットをしながら生まれた子供は、生まれつきメタボ体質となって生まれてきます。

内臓脂肪を溜め込みやすく、子供のうちから生活習慣病にかかるリスクが高まります。

生まれた子供は糖尿病や脂質異常症、心疾患、高血圧等にかかりやすく、子供のうちに脳梗塞で倒れてしまうことも考えられます。

その子を生んだ母は栄養失調状態で妊娠、出産しているのも同然であり、妊娠中の体型も適切ではありません。

 

低体重児の悲劇2「低IQ」

低体重で生まれた子供はIQが低いという傾向が見られます。

特に早産で生まれると、子供の発達に影響を及ぼします。

フィンランドのデータでは、低体重児ほどADHDが見られるとの報告がなされています。

体重が低ければ低いほど、ADHD傾向があるとのことです。

PubMedCLOUD (carenet.com)

浜松医科大学では8歳から9歳の子供を対象に、出産時の体重が2000g未満、2000g~2499g未満、2500g以上のグループに分けて調べてみたところ、次の結果が出ました。

出産時の体重が2000g~2499g未満では、ADHDとの関連性は認められなかったとのことですが、2000g未満群では、不注意及び多動性との優位な関連が認められたと報告しています。

 著者らは「2,000g未満の低出生体重は、ADHDの遺伝的リスクとともに、8~9歳の日本人小児のADHD特性レベルを上昇させる因子であることが示唆された。この低出生体重とADHDとの関連は、ADHDに対する遺伝的感受性を有する小児に限定されており、病因における遺伝的環境の相互作用との関連が認められた」としている。

いずれにしろ、低体重はADHDの子供が生まれるリスクが高まることを示唆しています。

このような低体重で生まれた子供の中には精神発達遅延や視覚障害、聴覚障害を起こす場合もあります。

このような障害を持ってしまった子供は特別なケアが必要となり、特別支援学校にて教育を施していく場合があります。




 

低体重児の悲劇3「免疫力低下」

栄養失調を起している親から生まれた子供は、親から十分な免疫力を与えられません。

その為、子供は常に病気と隣り合わせの状態です。

体温調整機構も正常に働かなくなります。

特に体温が低下すると免疫力が大幅に低下します。

その体温は34℃代にも下がることがあり、外部から侵入したウィルスや細菌と戦える力が非常に弱っています。

平熱を保つことによって通常守られている感染症から守れず、重大な疾患を引き起こしやすくなります。

体温が低ければ、癌細胞に抵抗する力も弱まります。

また、臓器が全体的に弱いため、呼吸器や循環器、中枢神経にも悪影響を及ぼします。

 

まとめ

無理なダイエットは母体だけではなく、不健康な子供を生むことにも繋がります。

不摂生な欧米型の食事は、アレルギー体質の原因となりますが、「小さく産みたい」という誤った願望は子供に苦痛を与え、親は更に子育て苦戦します。

腹八分目の量が適切ですが、食事は質が大切です。

一汁三菜を基本としたバランスの良いメニュー構成、質の良い糖質と油、肉より魚、豆類、、種実類、野菜類、海藻類、きのこ類を積極的に摂り入れて、母子ともに健全な身体を作りましょう。

 
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