アディポサイトカインとは脂肪細胞から分泌される生理活性物質を言います。
アディポサイトカインには大きく善玉、悪玉と分かれています。
善玉…レプチン、アディポネクチン 悪玉…レジスチン、TNF-α、PAI-1、HB-EGF |
この中でもアディポネクチンと悪玉アディポサイトカインの関係は肥満や糖尿病等の生活習慣病との関連性があります。
Table of Contents
善玉
レプチン
レプチンとは脂肪細胞から分泌されるペプチドホルモンです。食事を食べてしばらくすると満腹感を感じるのはレプチンの働きが関与しています。
レプチンは全身の脂肪細胞でインスリンの刺激によって産生されます。産生されたレプチンは飽食シグナルによって視床下部にある満腹中枢に作用し、食欲を抑制します。
レプチンには交感神経を活性化させることから、エネルギー代謝を促進し、肥満予防に役立てると言えます。
この他にもレプチンには免疫調整機能があることが知られています。
但し、交感神経を活性化することから、レプチンが過剰に分泌されると血管収縮作用によって血圧上昇を起こしてしまいます。
アディポネクチン
アディポネクチンは動脈硬化や糖尿病等の生活習慣病予防やメタボ予防に寄与していることで注目されています。
動脈硬化は活性酸素による酸化したLDLコレステロールや中性脂肪が血管内に沈着することによって発症します。
動脈硬化は粥状動脈硬化、中膜硬化、細動脈硬化に分けられ、この中でも酸化した中性脂肪やLDLコレステロールによるものは、粥上動脈硬化の進行を進めてしまいます。
酸化したLDLコレステロールや中性脂肪は一度血管内に沈着すると、マクロファージによって次々と血管内に取り込まれ、しまいには血管内が狭窄してしまいます。
アディポネクチンにはマクロファージの貪食抑制作用が知られ、酸化したLDLコレステロールや中性脂肪が沈着することを防ぐと言われます。
また、アディポネクチンにはインスリン感受性を高めると言われます。
インスリン感受性が高いと、インスリンの大量分泌をしなくても食後血糖値の急上昇を抑え、血糖コントロール機能を維持することから糖尿病や肥満の予防に役立てると言われています。
アディポネクチンと悪玉のアディポサイトカインは相反的であり、内臓脂肪が蓄積していると悪玉アディポサイトカインの分泌が亢進し、インスリン抵抗性を高めてしまいます。
インスリン抵抗性が高まると、血糖値を下げようとインスリンが大量に分泌されます。
インスリンの過剰分泌は肥満へと繋がり、インスリン抵抗性が高まっていることによって血糖コントロールが困難な状態を招いてしまい、肥満や糖尿病、脂質異常症を起こしやすくなってしまいます。
悪玉
レジスチン
レジスチンは脂肪細胞から分泌され、肥満を起こす要因とされ、更にインスリン抵抗性を高めると言われています。
内臓脂肪が蓄積すれば分泌が亢進され、更に体脂肪の蓄積を促す上に、インスリン抵抗性が高まってしまう為、肥満や糖尿病のリスクが高まります。
TNF-α
TNF-αとは腫瘍壊死因子の一つです。腫瘍壊死因子はTNF-α、β、LT-βの3種類があります。
これらはマクロファージから分泌される炎症性サイトカインです。腫瘍性壊死因子はTNF-αを指すことが多いですが、いずれも生理作用が類似しているとのことです。
TNF-αは大型脂肪細胞から分泌され、筋肉や脂肪、肝臓での糖の働きを抑制し、インスリン抵抗性を引き起こすことから、悪玉アディポサイトカインとして生活習慣病発症の因子と言われます。
PAI-1
PAI-1もTNF-α同様に大型脂肪細胞から分泌されます。PAI-1は血液凝固因子に関わり、主に血管内皮細胞、肝臓、血小板、脂肪細胞等に存在します。
血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が酸化すると、血管壁を傷付け、これによってPAI-1が放出されます。
また、血小板が崩壊することによってPAI-1が放出されます。
これによって血液が凝固し、血栓が形成され、血管内の狭窄を招いてしまいます。その結果、動脈硬化や心疾患、脳血管疾患を起こすリスクを高めてしまいます。
HB-EGF
HB-EGFは脂肪細胞から分泌され、動脈硬化の因子と言われます。
まとめ
生活習慣病を予防するためには、エネルギー過多、栄養の偏った食習慣を改善し、適度な運動を心掛けることによって肥満予防に努めることが必要になります。
そして、動脈硬化の予防として、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEといった抗酸化ビタミン、CoQ10及びファイトケミカルを積極的に摂取し、過酸化脂質の生成を抑制するとともに、良質な脂質を摂る事を心掛けましょう。