ブラックシードは見た目はごまのような食品ですが、ナッツ類というよりは香辛料として扱う方が向いています。
ブラックシードにはビタミンやミネラルも豊富ですが、ブラックシード独自の成分も含まれています。
栄養成分の種類は100種類もあり、全てを言うとキリがありません。
「死以外のあらゆる病気を癒す薬」と呼ばれるだけあって、その健康効果の期待は大きいでしょう。
Table of Contents
ブラックシードの歴史
ブラックシードは、ニゲラと言うきれいな青い花を咲かせるハーブの一種です。地中海沿岸から西アジアに分布する一年草で16種類のものがあります。
ブラックシードはブラッククミンシードとも呼ばれ、インドではカレーのスパイスとして使われてきました。
ブラックシードの最も古い記録は、古代エジプトまでに遡ります。
ブラックシードのオイルはエジプトのツタンカーメン王の埋葬室でも発見されており、これは約3300年前の古さを誇っています。
アラビア文化圏でブラックシードは「祝福の種」として位置づけていました。
古代エジプトの3大美女と言われているうちの一人であるネフェルティティ王妃は、ブラックシードオイルを髪や爪のケアに使用していたと言われています。
また、クレオパトラはブラックシードを美容として使っていたそうです。
「医学の父」と呼ばれるヒポクラテスは、消化器系の問題解決に使用していたことで知られています。モハメッドは、この種について「死以外のあらゆる病を癒す薬」であると話をされていたそうです。
ブラックシードの栄養
ブラックシードには100種類以上に渡る栄養成分が含まれています。
蛋白質、αリノレン酸、リノール酸、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、コリン、パントテン酸、ビタミンB6、ビオチン、葉酸、ビタミンE、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛、銅、食物繊維等が含まれています。
天然化合物が1600種類含まれ、その中でもチモキノン、チモヒドロキノン、チモールの能力が万病に対して効力を発揮しているそうです。
ブラックシードには以下の健康効果に期待があります。
|
脳機能向上
チモキノンには認知症予防に期待されていると言われています。
アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβ蛋白質と呼ばれる異常な蛋白質が蓄積することにより、脳の神経細胞がダメージを受けることが原因で起きます。
ブラックシードに含まれるチモキノンが、β蛋白質から脳の神経細胞を保護する働きがあることが明らかにされています。
ブラックシードには蛋白質とビタミンB6が含まれ、ビタミンB6を摂ることによって蛋白質の働きを引き出します。
蛋白質には神経伝達物質としての働きも担っています。
ブラックシードにはαリノレン酸が含まれ、αリノレン酸は体内でDHA、EPAに変換されます。
EPAは血液の流れを円滑にすることによって脳への栄養素の運搬を支え、DHAは脳や神経機能の維持や成長に関与します。
ブラックシードにはビタミンB1も含まれ、脳の栄養源であるブドウ糖を代謝するとによって脳や神経機能の維持や向上を図ったり、鬱や怒りの感情をコントロールすると言われます。
ブラックシードにはマグネシウムはカルシウムといった抗ストレス成分も含まれています。
その為、認知症や精神疾患の予防、感情の抑制、興奮の抑制という働きに期待があります。
チモヒドロキノンは地球上で最も強力な天然のアセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤として知られています。
アセチルコリンエステラーゼはアセチルコリンを特異的に加水分解して失活させるため、神経伝達物質の働きを阻害してしまいます。
脳内のアセチルコリンの濃度が低くなると、アルツハイマー病、自閉症、緑内障、統合失調症、パーキンソン病などの病気に繋がる場合があります。
ブラックシードに含まれるチモヒドロキノンはこれらの病状を阻害する働きがあるそうです。
生活習慣病予防
チモキノンには食欲を抑え、空腹時血糖を低下させ、膵臓のβ細胞を活性させる働きがあります。
チノキモンにはコレステロールや血圧を正常に保つ作用もあると言われます。
ブラックシードにはカリウムが含まれる為、血液中のナトリウム濃度が高い場合は余分なナトリウムの排泄を促進して血圧を正常に保ちます。
ブラックシードにはビタミンEが含まれることから、抗酸化作用があり、血液中の中性脂肪やLDLコレステロールの酸化を防ぐことによって血管壁を守ります。
ブラックシードには食物繊維が含まれ、腸管から余分な糖の吸収を抑制します。
その為、ブラックシードは糖尿病、高血圧症、動脈硬化、血栓症、心疾患、脳血管疾患の予防に期待があります。
癌予防
チモキノンは、乳癌細胞や脳の腫瘍細胞の細胞死を引き起こすことが示され、膵臓癌などの炎症性の癌を起こす「NF-κB」と呼ばれる転移因子を阻害することが明らかとなっています。
チモキノンのNF-κB阻害は、多くの病気の治療に効果があると期待されており、研究が盛んに行われています。
ブラックシードにはビタミンEが含まれることから強い抗酸化作用があり、細胞を損傷を守るという点においても癌予防に期待があります。
抗ウィルス作用
チモールには抗菌、抗ウィルス作用がある成分です。
ブラックシードにはビタミンB2が含まれ、ビタミンB2には皮膚や粘膜を形成することに関わります。
ブラックシードはこのほかに喉の炎症やアレルギー、肌荒れや免疫力への効果もあると言われています。
その為、喉の炎症やアレルギー、肌荒れ予防や免疫力強化に期待があるとのことです。
三大栄養素の代謝
ブラックシードにはマグネシウム、ビタミンB群が含まれ、解糖系及びクエン酸回路におけるエネルギー代謝時に必要な補酵素の摂取源となります。
糖分はミトコンドリアに到達するまでアセチルCoAに変換されないと、有酸素を行ったところでエネルギーが上手く利用されず、乳酸を発生させる一方です。
その為にはアセチルCoAに変換させることが必要です。
糖分がアセチルCoAに変換するには、補酵素としてのビタミンB1の働きが必要になります。
糖分はマグネシウム、ビタミンB1が補酵素となって働くことによってピルビン酸に変換します。
ピルビン酸がミトコンドリア内に入るにはアセチルCoAに変換する必要があり、その役割をビタミンB1が担っています。
アセチルCoAはクエン酸回路にて好気的条件下において代謝が行われます。
クエン酸回路でエネルギー代謝が必要な栄養成分はビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸であり、これらが補酵素となって働くことによって運動時の疲労を抑制しながらエネルギーを効率良く利用します。
ビタミンB6は脂質代謝や蛋白質の代謝に関わりますが、特に蛋白質の代謝に必要とします。
ブラックシードの摂り方
ブラックシードの摂りかたのポイントはスパイシーな刺激と独特な風味があるので料理に幅広く使えます。
熱にも強く加熱料理が可能ですが、一度乾煎りしてから使うと風味が増します。
炒め物に混ぜ合わせて味にアクセントを付ける方法もありますが、すり潰すと栄養の吸収率が上がり余す。
注意点及び1日あたりの摂取量
ブラックシードを保存する場合は直射日光を避けて常温で保存します。
オイルタイプのものはαリノレン酸が熱に弱いので加熱せずに使います。
1日の摂取目安量は大匙1杯程度です。
それ以上摂取すると胃の違和感や嘔吐、便秘などの症状が現れることがあります。
まとめ
ブラックシードについてまとめます。
|
ブラックシードは食品というよりは香辛料として料理のアクセントに活用します。
使用量は少量なので、ビタミンB群やミネラルを補う為に役立てましょう。