ナッツの中でオメガ3脂肪酸含有量が一番多い「くるみ」

くるみは全体の7割が脂質で占められています。

くるみはナッツ類の中で一番オメガ3脂肪酸の含有量が多く含まれています。

オメガ3脂肪酸の摂取源に活用出来る上、ビタミンB群やミネラルが豊富に含まれ、様々な健康効果に期待があります。





 

くるみの概要

くるみはクルミ科クルミ属の落葉高木の総称であり、その核果の仁を加工したナッツです。

原産地はヨーロッパ南西部からアジア西部であり、北半球の温帯地域に広く分布地しており、樹高は8~20メートルに及びます。

日本に自生しているクルミの大半は長野県で生産されるオニグルミという品種で、非常に殻が硬く仁が取り出しづらいという特徴があります。

くるみは食用として歴史が長く、日本では縄文時代から主日の出土事例があり、オニグルミを中心に食料として利用されていたそうです。

「延期式」に貢納物の一つとして記され、「年料別貢雑物」では甲斐、越前、加賀においてクルミの貢納が規定され、平城宮跡出土の木簡にもクルミの貢進が記されてます。

くるみは5月から6月にかけて開花し、その後、直径3㎝程度の仮果と呼ばれる実を付けます。仮果の中には核果があり、その内側にある仁が食用する部分となります。

 

くるみの栄養

脂質が全体の70%を占め、ビタミンEをはじめ、様々なビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。

くるみにはαリノレン酸、リノール酸、蛋白質、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、コリン、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビタミンE、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、銅、ミリセチン、トリプトファン、アルギニン、ルテイン、ゼアキサンチン、不溶性食物繊維が含まれます。

くるみには以下のような健康効果に期待があります。

  • 循環器疾患予防
  • 老廃物排泄
  • 糖尿病、肥満予防
  • 疲労抑制
  • 体組織を構成
  • 体脂肪率低下
  • リラクゼーション
  • 脳機能向上
  • 胎児の正常な成長…等



 

循環器疾患予防

くるみの70%を占めている脂肪分は、必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸のαリノレン酸とオメガ6脂肪酸のリノール酸を豊富に含み、その比率は1:4と理想的な配分で含まれています。


αリノレン酸は血液中のLDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす働きがあります。

血液中のHDLコレステロールが増えると血液がサラサラになり、血流が良くなります。

αリノレン酸には中性脂肪を減らす働きもあると言われます。

くるみにはカリウムが含まれ、カリウムは体内の余分なナトリウムを排出することによって、血圧を正常に保ちます。

くるみには抗酸化作用の強いビタミンEが含まれ、ルテインやゼアキサンチン等のポリフェノールが含まれています。

抗酸化作用には、血液中の中性脂肪やLDLコレステロールの酸化抑制作用があることによって、血管中のアテローム形成や血管壁の損傷、硬化を未然に防ぎます。

クルミには脂質異常症や高血圧、動脈硬化症、循環器疾患の予防効果に期待があります。

 

老廃物排泄

くるみは不溶性食物繊維が豊富に含まれています。

不溶性食物繊維はプレバイオティクスとして善玉菌の餌となり、腸内環境を善玉菌優位にします。

水分と一緒に摂ることによって便のかさを増し、腸の蠕動運動を促して排出を促します。

くるみにはマグネシウムが含まれ、マグネシウムは便に水分を促して適度に柔らかくして排泄を促します。

排便を促すことによって老廃物をデトックスすることに期待があります。

 

糖尿病、肥満予防

クルミは脂質の割合が7割占めていることから低GI食品です。

くるみは糖質含有量は100gあたり4gの為、GI値が低く食後血糖を急激に上げません。

クルミは不溶性食物繊維が豊富であり、不溶性食物繊維は腸管からの糖の吸収を抑える働きがあります。

コリンは肝臓における脂質代謝を主に担っており、コレステロールやリン脂質の再合成という役目があることから、脂肪の蓄積の防止による肥満予防に良いと言われています。

くるみは、このことから糖尿病や肥満予防に期待があると言えるのです。

 

疲労抑制

くるみにはビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、マグネシウムが含まれ、解糖系やクエン酸回路において補酵素として利用されます。

糖分は解糖系にてピルビン酸に変換されるときにビタミンB1とマグネシウムが利用されます。

ピルビン酸に変換された糖がエネルギーとして代謝されるには、ビタミンB1が必要となります。

ビタミンB1の働きによってピルビン酸はアセチルCoAに変換され、エネルギーとして利用されるときにビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸が補酵素として利用されます。

その為、糖や脂肪がエネルギーとして利用されるため、疲労抑制効果があると言えます。

 

身体の組織の形成

くるみには蛋白質が含まれ、蛋白質の代謝に関わるビタミンB6も含まれています。

蛋白質は主に筋肉の合成や皮膚の形成等、人体のあらゆる場所を構成するのに必要不可欠です。

皮膚や粘膜、髪や爪の構成にはビタミンB2が必要となります。

くるみには成長ホルモン分泌促進作用のあるアルギニンが含まれ、成長ホルモンの分泌によって肌の代謝を促進します。

その為、肌のターンオーバーを促進し、潤いのある肌や黒い髪を作る役目があります。




 

体脂肪率低下

くるみは蛋白質やビタミンB6が含まれていることから、筋蛋白合成に関与します。

アルギニンは成長ホルモン分泌促進作用によって筋肉の生成をサポートします。

くるみはこのように体脂肪率低下を図ることに関与します。

 

リラクゼーション

くるみにはメラトニンの元となるトリプトファンが豊富に含まれています。

メラトニンには深い睡眠を促進する働きがある為、質の良い睡眠を得られると言えます。

くるみにはメラトニンの分泌を促す働きがあることから、不眠症の改善に良いと言われるのです。

くるみにはカルシウムも含まれ、には興奮や緊張の緩和、怒りの鎮静効果があることから、質の良い睡眠とともにリラックス効果も得られるのです。

マグネシウムには興奮抑制、GABAの働きの維持、筋肉の緊張を緩和させる働きがあります。

トリプトファン、ビタミンB6。マグネシウム、鉄分はセロトニンの材料となります。


 

脳機能向上

くるみに含まれるαリノレン酸は体内でDHAに変換されます。

DHAは神経伝達物質に作用し、脳機能を向上させる効果があります。

くるみには糖質が体内で利用されるのに必要なビタミンB1が含まれ脳機能向上に役立ち、コリンやトリプトファンも脳機能向上に関与します。

ビタミンE、ミリセチンは抗酸化作用があることによって脳の酸化を抑制する作用があります。

くるみに含まれるこれらの栄養成分が集中力や記憶力を向上させ、更に認知症予防に有効的であることが言えます。

 

胎児の正常な成長他

くるみには細胞分裂に関わる葉酸が含まれていることから、胎児を正常に成長させる事に関わります。

亜鉛は精子や精液の材料となることから、男性由来の不妊症にも役立ちます。

この他にもくるみは鉄分や銅、葉酸が含まれることから貧血予防に役立ち、カルシウムとマグネシウムは骨形成をサポートします。

薄毛対策、免疫力強化、アルコール代謝等にも関わっています。

 

注意点

くるみを食べる際には次の点に注意しましょう。

古いものは食べない

くるみは古いものを食べたり、必要以上に食べ過ぎてしまった時に下痢をおこす危険性があるため注意が必要です。

古くなったものは脂肪の酸化による害によって肝機能障害、動脈硬化、癌、老化の症状を引き起こしてしまいます。

腎機能低下

くるみはカリウムが豊富に含まれています。

腎不全が進行している場合、排泄機能の低下により、カリウムの排泄が出来ない状態となり、体内にカリウムが蓄積しやすくなります。

カリウムが蓄積することによって不整脈を起こしやすくなり、心不全に至ることさえあります。

食べ過ぎてしまうとカリウムを多く摂ってしまうため、腎機能が低下している場合は摂取量に注意しましょう。

腸管トラブル

くるみは脂肪分や不溶性食物繊維が豊富なことから、腸管トラブルを起している場合は適しています。

腸閉塞を起こしている場合、腸の閉塞や神経障害の症状が見られ、食物繊維を摂取することによって腸管を詰まらせてしまうことがあります。

腸管を詰まらせてしまうと腹部膨満や嘔吐の症状を引き起こしてしまう場合があります。

また、炎症性の腸疾患やお腹を壊している場合も摂取を控えます。

くるみは決して消化の良いものではないので、炎症を悪化させたり、お腹を下してしまう場合があります。

食べ過ぎは太る

くるみは食物繊維が豊富で低GIですが、脂肪分が大きな割合を占めていることから高カロリーです。

摂りすぎてしまえば肥満になりかねません。

 

まとめ

くるみについてまとめます。

  • 循環器疾患予防
  • 老廃物排泄
  • 糖尿病、肥満予防
  • 疲労抑制
  • 体組織を構成
  • 体脂肪率低下
  • リラクゼーション
  • 脳機能向上
  • 胎児の正常な成長…等

くるみは食べ過ぎると下痢を起こす場合があります。

1日あたりの摂取量は40gが適度です。

また、くるみの良質な脂肪分や栄養を享受する為にも、新鮮なものを召し上がると良いでしょう。


 
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