細胞外液の主要陽イオンであるミネラル「ナトリウム」

ナトリウムは細胞外液の主要な陽イオンであり、細胞外液量を維持しています。

ナトリウムはカリウムとともに細胞を正常に働かせる働きがあります。

通常通り食事をしていれば不足することは殆どありませんが、ナトリウムは寧ろ過剰摂取が問題となっています。





 

ナトリウムの役割

ナトリウムはカリウムとともに、体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持しており、酸・塩基平衡の調節にも重要な役割を果たしております。

カリウムとナトリウムのバランスは、物質の代謝から外界の刺激に反応する神経の動きまで、広範囲に大きな影響を与えます。

このバランスが崩れてしまうとあらゆる細胞が正常に働かなくなり、健康が失われます。

その他、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送等にも関与し、胆汁、膵液、腸液等の材料となっております。

ナトリウムは水分を保持しながら細胞外液量や循環血液の量を維持し、血圧を調整します。

ナトリウム過剰摂取により細胞外液量や循環血液量が増大するため、血圧の上昇や浮腫を生じてしまいます。通常の食事をしていれば、ナトリウムが不足になることはありません。

 

吸収、排泄

摂取されたナトリウムは、その大部分が小腸で吸収され、皮膚、便、尿からの排泄によって損失されます。

空腸では、ナトリウムの吸収は中等度の濃度勾配に逆らい、糖類の存在によって促進されます。

回腸では、高度の濃度勾配に逆らって能動輸送されますが、糖類又は重炭酸イオンの存在とは無関係です。便からの損失は少なく、損失の90%が腎臓経由による尿中排泄によるものです。

ナトリウムが糸球体でろ過された後、尿細管と集合管で再合成され、最終的には糸球体ろ過量の約1%が尿中に排泄されます。ナトリウム再吸収の調節は、遠位部ネフロンに作用するアルドステロンによります。

糸球体でのろ過作用と尿細管での再吸収が体内のナトリウムの平衡を保持しているので、ナトリウム摂取量が増加すれば、尿中排泄量も増加し、摂取量が減少すれば、尿中排泄量も減少します。

 

ナトリウム値が上昇すると…

高ナトリウム血症の主要症状は口渇ですが、水分が細胞外に移動することによって、錯乱、神経筋の興奮、痙攣、昏睡の症状を呈します。

ナトリウムは通常の食事を摂取していれば不足することはありません。むしろ過剰摂取の方が生活習慣病のリスクを高めてしまう危険性があります。

 

低ナトリウム血症

低ナトリウム血症は消化管からの多量の喪失されたナトリウムが、ナトリウムが含まれない又は少量しか含有されていない水分で補充されると起こります。

また、嘔吐や下痢による循環血液量低下による脱水によって引き起こされるケースも主に起こる症状です。

その他に、抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が不適切なことにより、水分貯留による循環血液量正常性ナトリウム血症が引き起こされることがあります。

眩暈

体内のナトリウムが不足すると、これに合わせて水分量を調節します。

水分量が少なくなることに伴い、血液量が少なくなるため、脳に栄養や酸素を輸送する際に十分に供給することが出来ません。

その為、眩暈やふらつきの症状が見られるようになります。

食欲減衰

体内ではナトリウムは細胞外液に存在しています。

細胞外液は血液の他にも、リンパ液や消化液も細胞外液であり、一定量のナトリウムが存在しています。

ナトリウムが不足すると、血液だけではなく、消化液も少なくなり、消化する力が弱まります。

その為、食欲減衰を起こし、低栄養や倦怠感に繋がります。

痙攣

大量の汗をかくと、水分と一緒にミネラルも体外に排出されます。

ナトリウムもその一つです。

この時、ナトリウムが補給されないと、筋肉中のナトリウムが減少します。

これが極端に進行すると収縮信号に異常を起こし、無意識に筋肉が収縮することで痙攣が起こります。

 

欠乏症状と過剰摂取障害

ナトリウムは通常の食事をしていれば不足することはありません。

むしろ過剰摂取の方が生活習慣病のリスクを高めてしまう危険性があります。

但し、高温環境や運動時の高度発汗では、相当量のナトリウムが喪失されることがあります。

熱中症対策としての食塩は必要ですが、必要以上の摂取量は生活習慣病予防や改善、重症化予防上好ましくありませんので、注意が必要です。

また、経口摂取量が極端に低下している場合も、ナトリウム不足を引き起こす原因となります。

 

癌との関係

食塩摂取は癌、特に胃癌との関係について多くの報告があります。

日本人を対象としたコホート研究では、食塩は胃癌のリスクを増加させる可能性が高く、塩蔵食品摂取頻度と胃癌のリスクとの強い関係性も示されています。

 
栄養相談、サポート詳細
 

関連記事

最近の記事

  1. ダイエットをするのなら体重を40kg代前半になるまで落としましょう…という危険なダイエット

  2. 大豆の大量摂取が甲状腺に影響を及ぼす…ゴイトロゲンとは?

  3. 強い抗酸化作用が秘められる「チコリ酸」