オメガ7脂肪酸は近年になってから発見された脂肪酸です。
一価不飽和脂肪酸で二重結合が7番目に位置することから、オメガ7脂肪酸と呼ばれています。
代表的なのはパルミトレイン酸です。
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パルミトレイン酸
パルミトレイン酸は人体のあらゆる組織に存在し、特に肝臓に多く存在しています。δ-9不飽和化酵素の働きによってパルミチンから生合成されます。
人間の皮膚に元々存在しているパルミトレイン酸ですが、30歳頃をピークに徐々に減少していきます。
パルミトレイン酸は特に副作用はありません。
心臓病、脳血管疾患予防
パルミトレイン酸は血液・血管の栄養源として作用することによって血行を促進します。
また、血管を強く丈夫にするとのことです。
パルミトレイン酸には中性脂肪、LDLコレステロールを分解し、HDLコレステロールの増加を促す働きがあることが分かっています。
その為、高血圧、心臓病、脳血管疾患予防の効果に期待されています。
肌や髪、爪の栄養
パルミトレイン酸の血行促進作用は新陳代謝を高め、肌の調子を整えることから美肌効果やアンチエイジング効果があると言えます。
パルミトレイン酸は髪や爪にも含まれ、健康的な髪や肌、爪ほどパルミトレイン酸が多く含まれています。
肥満、糖尿病予防、肝機能悪化防止
パルミトレイン酸はコレシストキニンという満腹感を満たすホルモンの分泌を促進する働きがあります。
満腹感を満たすことによって食欲を抑えます。
パルミトレイン酸は、ブドウ糖の代謝を促しインスリン感受性を上げるうえ、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞の破壊を阻害する働きがあります。
パルミトレイン酸は糖質の取り込み、代謝アップにも携わり、筋肉の疲れを抑えます。
これらの働きにより、パルミトレイン酸は肥満や糖尿病の予防及び肝機能悪化防止に役立つと言われます。
免疫機能の活性化
パルミトレイン酸はマクロファージと呼ばれる免疫細胞の働きを活性化させます。
その為、抗炎症作用を高め、癌や、生活習慣病を予防する役割があると言えます。
消化器官を健康に保つ
パルミトレイン酸には消化器官を整える役割があります。
パルミトレイン酸は胃の調子を整え、胃酸過多を防止します。
胃潰瘍を回復する働きがあるとともに、腸管を円滑にする働きもあるので、排便コントロールにも良いと言われます。
ドライアイ予防
パルミトレイン酸は、皮膚に栄養と水分を補給し、乾燥から守る働きがあります。
また、粘膜にも潤いを与える働きもあり、ドライアイに良いと言われます。
パルミトレイン酸を含む食品
パルミトレイン酸は主にマカダミアナッツ、サジーに含まれ、この他に、魚類、いくら、すじこ等にも含まれています。
パルミチン酸の摂りすぎに注意
パルミトレイン酸を多く含むマカダミアナッツ、サジーには飽和脂肪酸の一つ「パルミチン酸」も含まれています。
少量なら特に問題ありませんが、摂りすぎには気を付けましょう。オメガ7脂肪酸は一価不飽和脂肪酸の為、オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸の弱点を守っています。
加熱温度が高いとトランス型脂肪酸を発生の原因になるため、加熱する時は出来れば100℃以下にすることをお勧めします。
バクセン酸
オメガ7脂肪酸にはパルミトレイン酸の他に「バクセン酸」があります。
バクセン酸は牛や羊等の販推動物の脂肪や牛乳、ヨーグルト、バター等に見られる天然のトランス脂肪酸です。
反芻動物は、一度のみこんだ食物を再び口に戻して咀嚼する過程を繰り返すことで、胃の中に寄生する微生物がシス-トランスイソメラーゼという特殊な酵素によって、シス型の不飽和脂肪酸からトランス型の不飽和脂肪酸を生成しています。
生体内に取り込まれたバクセン酸の一部は、共役リノール酸に変換するとの説もありますが、今のところ明らかにはなっていません。
[参考]各食品100g当たりのトランス型脂肪酸平均含有量
食品 | 平均含有量 | 最小値~最大値 |
マーガリン、ファットスプレッド | 7.0g | 0.36~13.5g |
ショートニング | 13.6g | 1.15~31.2g |
ラード | 1.37g | 0.64~2.70g |
ビスケット | 1.8g | 0.04~7.28g |
ケーキ | 0.71g | 0.26~2.17g |
即席中華麺 | 0.13g | 0.02~0.38g |
牛乳 | 0.09g | 0.02~0.19g |
牛肉 | 0.52g | 0.01~1.45g |
チーズ | 0.83g | 0.48~1.46g |
ヨーグルト | 0.04g | 0.11g以下 |
トランス脂肪酸の含有量は植物性(人工)の方が多く含まれており、特にマーガリン、ショートニングに多いことが分かります。
バクセン酸や共役リノール酸が含まれる動物性のものは、植物性よりは少なめです。
天然のトランス脂肪酸はダイエットに良いと言われますが、大量摂取は心臓疾患の原因となってしまいます。
まとめ
オメガ7脂肪酸は適度に摂取するには健康効果が得られますが過剰摂取は良くありません。
身体に良いからといって一つの食品ばかりに目を向けることより、普段から健康的な食生活、生活習慣を心得、その中に身体に良いものを取り入れることが、その食品の健康効果を十分に活かせるでしょう。