ヨウ素は甲状腺に70~80%存在し、甲状腺ホルモンを構成します。
ヨウ素は海藻類に含まれているミネラルです。
ヨウ素は基礎代謝を促す働きがあり、基礎代謝を促すことは成長を促進することに繋がります。
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総論
ヨウ素を含む甲状腺ホルモンは、生殖、成長、発達等の生理的プロセスを制御し、エネルギー代謝を亢進させます。
また、甲状腺ホルモンは、胎児の脳、末梢組織、骨格などの発達と成長を促します。
ヨウ素は摂取されると化学形態とは無関係に、消化管でほぼ完全に吸収されます。
ヨウ素の多くは、血漿中ではヨウ化物イオンとして存在し、能動的に甲状腺に運ばれます。
甲状腺に取り込まれたヨウ化物イオンは、酸化、チログロブリンのチロシン残基への付加、プロテアーゼの作用による遊離、ペルオキシダーゼによる重合を経て甲状腺ホルモンとなります。
甲状腺ホルモンから遊離したヨウ素、及び血漿中ヨウ素は、最終的にその90%以上が尿中に排泄されます。この為、血中ヨウ素は直近のヨウ素摂取量の指標とされます。
ヨウ素の働き
ヨウ素の働きは次の通りです。
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基礎代謝亢進
ヨウ素は基礎代謝を高めます 。
基礎代謝が高まることによって呼吸を早め、酸素の消費量を高めたり、心臓の動きを強くして心拍出量や脈拍数を増やします。
甲状腺ホルモンは全身の組織の代謝を活発にする働きがあるので、甲状腺ホルモンが多くなってしまうと甲状腺機能亢進症を起こしてしまいます。
甲状腺機能亢進症を起こした場合、エネルギー消費が高まり、心臓が多くの血液を送らなければならなくなるので頻脈になります。体温が上昇して汗をかきやすくなり、食事を食べていても体重減少が起こります。
甲状腺機能亢進症の食事療法としてヨード制限を行います。
成長促進
ヨウ素には成長を促進させる 働きがあると言われます。
甲状腺ホルモンは炭水化物、脂質、蛋白質の代謝を促し、成長な神経を活発にします 。
代謝の促進によって細胞の生まれ変わりが盛んな皮膚や髪、爪を健康に保つ ために重要な役割を担っています。
また、神経細胞の発達や末梢組織の成長にも関わる為、脳尾や知識の発達にもヨウ素が必要不可欠です。
乳幼児の成長期の子供にとってヨウ素は成長の促進 に関わるので特に必要となります。
欠乏症状
慢性的なヨウ素欠乏は、甲状腺ホルモン(TSH)の分泌亢進、甲状腺の異常肥大、又は過形成(甲状腺腫)、を起こし、甲状腺機能を低下させます。
妊娠中のヨウ素欠乏は、死産、流産、胎児の先天異常及び先天性甲状腺機能低下症を招きます。
重度の先天性甲状腺機能低下症は全般的な精神遅延、低身長等を起こします。
重度の神経学的障害を伴わず、甲状腺の萎縮と繊維化を伴う粘液水腫型胎生甲状腺機能低下症を示すこともあります。
過剰摂取障害
ヨウ素は過剰摂取すると甲状腺機能低下症を起こします。
また、過剰摂取によって甲状腺中毒を起こし、口から胃にかけての熱感、嘔吐、吐き気、下痢、発熱、昏睡、弱熱等の症状を呈するとのことです。
大豆製品の摂りすぎに注意!
食品には、甲状腺へのヨウ素蓄積を阻害し、甲状腺腫を起こすことがあるゴイドロゲンといわれる化学物質を含むものがあります。
ゴイドロゲンはアブラナ科植物等に含まれるチオシアネード、豆類に含まれるイソフラボン等があります。
大豆製品にはイソフラボンを高濃度に含むものがあるため、大豆製品の多食はヨウ素の体内利用に影響を与えると考えられます。
まとめ
ヨウ素の働きについてまとめます。
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ヨウ素は海藻類、特に昆布に高濃度に含まれています。
ヨウ素は不足しても過剰摂取しても甲状腺機能に支障をきたします。
ヨウ素の1日あたりの摂取量は成人で130μg とのことです。