ハト麦はイボ取りに良いと言われています。
ハト麦は穀類の中では蛋白質が多くアミノ酸も豊富ですが、筋肉を合成するというより、皮膚の形成に関わるものの方が豊富に含まれています。
また、利尿作用があることから、浮腫みに改善にも期待があります。
Table of Contents
ハト麦の歴史
ハト麦はイネ科のジュズダマ属の一年生草木です。
ハト麦は川辺で見られる野生の多年草植物「ジュズダマ」の変種とされており、両者の形態はそっくりで区別が難しいと言われます。
起源は東南アジアであることは間違いなく、インド、ビルマ地域で最も古くから栽培されていたことから、この近辺が発祥地とみられています。
東南アジアではトウモロコシが導入されるまでは、米の代用食料として重要なものでした。インドシナ半島では古代から栽培されており、タイにおいては多くの品種が存在しています。
タイからマレーシアを経由してインドネシア方面に広がり、ヨーロッパに中世頃伝来しました。しかし、珍奇な形の観葉植物として栽培されていたに過ぎませんでした。
日本にはおよそ300年前に中国から伝来し、トウ麦、チョウセン麦と称し、病後の滋養強壮薬として薬用または食用として小規模に栽培されてきました。
近代に入ってからは厚生省の呼びかけによって保健食として奨励され、さらに農務省によって食糧不足を補うための食料資源の一つとして増産が図られています。
ハト麦の栄養
ハト麦にはイボや皮膚トラブルの改善に良いことが有名です。
他にも蛋白質やカリウムをはじめ、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄分、銅、マンガン、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、パントテン酸、葉酸、コリキセノリドが含まれています。
ミネラルの含有量は玄米や大麦の方が多く、アミノ酸は主に筋蛋白合成よりも皮膚の形成に関わるものの方が含有量が多く含まれています。
ハト麦には次のような効能に期待があります。
|
イボの改善、美肌効果
ハト麦にはコリキセノリドという成分が含まれています。
コリキセノリドには抗腫瘍作用があり、イボを取り除く効果があることから、ハト麦はイボの改善に良いと言われています。
また、皮膚の角質層の新陳代謝を促進する作用があり、シミ、そばかす、ニキビ、肌荒れの改善に効果があると言われます。
食物繊維も含まれているので、便秘解消効果があり、更に美肌効果に良いとされ、アトピー性皮膚炎に効果があると言われています。
ハト麦には蛋白質、脂質、鉄分、ビタミンB群が含まれており。これらの栄養素が皮膚の形成に関わます。
ハト麦のアミノ酸にはグルタミン酸が含まれ、グルタミン酸は成長ホルモン分泌促進作用があることから皮膚の新陳代謝を高めます。
この他にも美容成分に関わるアミノ酸が複数含まれます。
アミノ酸 | 効能 |
メチオニン、セリン、システイン | 抗酸化作用によるシミの生成を抑制 システインはメチオニン、セリンからも生成される |
アスパラギン | デトックス 蛋白質の合成材料 |
セリン | 保湿効果 |
プロリン | コラーゲンの成分 |
これらの栄養成分の働きによって、ハト麦には滑らかな皮膚を作る働きがあることが言えます。
免疫力向上
ハト麦には蛋白質やアミノ酸が含まれ、ミネラルも豊富に含まれていることから、免疫力向上効果があると言われます。
毎日の摂取により免疫力が高まり、夏バテや風邪の引き始めにも効果的と言われています。
利尿作用、浮腫み改善
ハト麦には腎臓の動きを活発にする働きがあることから、利尿効果があると言われています。
ハト麦にはカリウムが含まれている為、体内の余分なナトリウムを排泄する働きがあります。
その為、血圧を正常に保つ働きがあり、余分はナトリウムや水分を排泄することによって浮腫み改善効果や高血圧予防が期待出来ます。
ハト麦に含まれているアスパラギンはアンモニアと結合するとアスパラギン酸になります。
アスパラギンには尿の排出を促進する作用があることから、有害なアンモニアの蓄積を防ぎます。
胃腸を整える
ハト麦の利尿効果は胃腸を整える働きもあります。
胃の中に水分が溜まりすぎると、食欲低下や吐き気、胃の辺りの張り、お腹や背中の冷えを感じるようになり、消化不良を起こしやすくなります。
ハト麦の利尿効果によって、胃の中の水分を排出することにより、胃腸の働きを改善することが言えるのです。
エネルギー代謝
ハト麦はビタミンB群やマグネシウムが含まれ、解糖系やクエン酸回路によって糖分や体脂肪がエネルギー代謝に必要な酵素の供給源となります。
マグネシウムはエネルギー代謝の補酵素として欠かせません。
運動開始時や無酸素運動時には糖分が主に使われ、糖分が利用される時はビタミンB1が利用されます。
糖分がピルビン酸へ、ピルビン酸がアセチルCoAへ、それぞれ変換する時にビタミンB1が補酵素として変換に関わります。
有酸素運動によるエネルギー消費を図るには糖質がアセチルCoAに変換していることが条件となります。
アセチルCoAはミトコンドリア内に入り、クエン酸回路にてエネルギーとして利用されるのですが、この時にビタミンB2やナイアシン、パントテン酸が補酵素として働きます。
ハト麦を摂るだけでも、エネルギー代謝が正しく行われ、疲労抑制効果にも期待があるのです。
漢方薬として
ハト麦は漢方では「ヨクイニン」として、浮腫、リウマチ、神経痛、イボ取り、皮膚の荒れ、滋養強壮の薬として利用されています。
漢方薬である「ヨクイニン」は天然成分で構成されている為、基本的には副作用の症状の発症は殆どありません。
「ヨクイニン湯」などの場合はヨクイニンの成分は含まれているものの、複数の漢方薬が配合されている為、ヨクイニンとは異なる副作用症状が現れる場合があります。
ハト麦の副作用は?
ハト麦には副作用や相互作用の報告はされていません。
但し、身体を冷やす作用がある為、冷え性の方や妊娠中の方は注意が必要です。
まとめ
ハト麦についてまとめます。
|
ハト麦は化粧品やサプリメントとしてヨクイニンの需要が増えています。
これによってハト麦の生産が国内外で大規模でなされるようになりましたが、ハト麦を使った粗悪品も中にはあります。質の良いハト麦は価格が高騰しています。
確実に健康効果を得るのなら、安易に安いものを選ばないで、原料の質が良いものを選ぶと良いでしょう。