アマニは亜麻仁油の他にも亜麻の種子を煎って作られるローストアマニとしても流通されています。
亜麻仁油といえばオメガ3脂肪酸が含まれている油ですが、当然アマニ種子にもオメガ3脂肪酸が含まれます。
アマニ種子には、ごまの2倍の食物繊維が含まれています。
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亜麻仁油は炒った状態で召し上がる
アマニは種子の外皮が硬く、よく噛み砕かないと体内に吸収することが出来ません。
体内に吸収し、アマニの効能を得られるには一旦軽く炒ると消化器内で殻が剥がれる為、栄養成分を摂ることが出来るようになります。
アマニはオメガ3脂肪酸を含む油の代表の1つである亜麻仁油の成分であることから、ローストしたら油が酸化してしまうのでは?という心配の声もありますが、種実類として扱う場合は特に心配ありません。
アマニの殻は分厚く硬いことから、ローストした時の熱によって成分に大きな変化もなく、殻に覆われた状態では酸化は殆ど見られません。
アマニの栄養
アマニには当然オメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。
アマニに含まれる脂質の5~6割がオメガ3脂肪酸です。
このほかにも、蛋白質、ビタミンB群、ビタミンE、亜鉛、鉄分、銅、マンガン、マグネシウム、カリウム及びアマニリグナン、イソラリシレシノールジグルコシド等のリグナン植物栄養素、食物繊維を含みます。
アマニの食物繊維はごまの2倍含まれ、水溶性と不溶性の両方を持ち合わせています。
アマニに期待する健康効果には主に次のものが挙げられます。
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ごまの2倍の食物繊維
アマニにはごまの2倍もの食物繊維が含まれています。
種実類の食物繊維は不溶性だけのものが多いですが、水溶性のものも含まれており、水溶性:不溶性が2:3の割合となっています。
不溶性食物繊維は腸の蠕動運動を促し排便を促します。
その為、腸管に溜まった老廃物が排泄させる働きがあることが言えます。
また、善玉菌の餌となる為、発酵食品からプロバイオティクスを摂取すると、更に腸内環境改善に期待が持てます。
水溶性食物繊維は短鎖脂肪酸を増やして腸管内のPHを産生に傾けることによって、善玉菌優位にします。
水溶性食物繊維、マグネシウムは便に適度に水分を含ませることによって便の排出を促します。
腸内環境改善によって排便リズムが整い、美容効果や免疫力アップ、脳機能向上等に期待があります。
生活習慣病予防
水溶性食物繊維は腸管からの糖分の吸収を抑える働きがあります。
この働きは不溶性食物繊維にもある為、血糖値や中性脂肪の上昇、脂肪肝、肥満等の予防に良いとされています。
水溶性植物繊維は血液中の余分なLDLコレステロールや中性脂肪と吸着して体外に排出する働きがあることから、脂質異常症の改善効果があると言えます。
アマニのオメガ3脂肪酸には脂肪燃焼を促す働きがあります。
ビタミンB群、亜鉛、マグネシウムも含まれている為、エネルギー代謝時に解糖系やクエン酸回路において糖分や脂質を効率的に利用します。
その為、有酸素運動において疲労感を抑えつつ脂肪を効率良く燃焼する為、運動と併せることによってダイエット効果が期待出来ます。
オメガ3脂肪酸は消化器の粘膜を保護する働き、インスリン抵抗性を改善する働きもあると言われます。
これらの働きによってアマニは、糖尿病や肥満、脂質異常症、脂肪肝の予防に良いと言えます。
循環器疾患、癌、老化予防
オメガ3脂肪酸は血液中のLDLコレステロールを下げ、血圧を調整する働きがあります。
オメガ3脂肪酸は体内に入るとEHAやDHAに変換されます。
EPAは血液の粘度を下げる働きがあります。
アマニにはリグナンやビタミンEが含まれることから、抗酸化作用があると言われています。
過酸化脂質の産生を抑えることによってLDLコレステロールや中性脂肪の産生を抑える為、血管を傷つけることを防ぎます。
その為、血管が傷つくことによってアテロームが形成されるのを防ぎます。
つまり、脂質異常症予防及び動脈硬化や心疾患等の循環器系疾患予防に良いと言えます。
また、抗酸化作用には抗炎症作用による癌予防効果も期待できる他に、紫外線から肌を守る働きがある為、老化防止に期待出来ます。
エストロゲン様作用
DHAは脳や神経細胞の成長や維持に関わります。
アマニに含まれるビタミンB1は糖質の代謝を担うことから、鬱や怒りのコントロール、学習力や記憶力を高める等の脳機能向上にも役立ちます。
アマニに含まれるリグナンにはエストロゲン様物質の作用があると言われています。
女性は閉経期を迎えるとエストロゲンが減少し、更年期における様々な症状を呈します。
症状には個人差がある為、一概にこれというものはありませんが、更年期症状や更年期障害の症状をリグナンが持つエストロゲン作用によって軽減させると言われています。
また、エストロゲンが減少すると骨密度が低下して、骨粗鬆症を招きやすくなります。
リグナンのエストロゲン様作用によって、骨密度を低下させる働きに期待があります。
体質劣化を抑制
アマニにはオメガ3脂肪酸が含まれていることからアレルギー体質改善に期待出来ることが言えます。
リノール酸はαリノレン酸とともに必須脂肪酸ですが、αリノレン酸:リノール酸の摂取比率が1:1~3が理想的とされています。
ところが、現代人は食の欧米化によって魚を食べることが少なくなり、その代わりに肉や揚物の摂取慮が増え、ドレッシングやマヨネーズ、パンや洋菓子からマーガリンやショートニングを摂取しているなど、この比率が大きく崩れてしまっています。
この油の摂取比率が崩れることによって体質が劣化し、アレルギーを引き起こしやすくなります。そして体質が劣化した状態で子供を産むと、子供はアトピーになるリスクが高くなり、孫以降の代にもアレルギー体質が遺伝してしまいます。
そのようにならない為にも、アマニをはじめ、オメガ3脂肪酸を含む食品の摂取を積極的に摂ることが大切です。
造血作用
アマニには銅、鉄分、葉酸が含まれます。
鉄分は赤血球の材料となり、葉酸は赤血球の核酸の合成に必要となります。
銅は鉄代謝に関わり、鉄の吸収を促します。
更にビタミンB12を含む食品と摂ると、更に貧血予防効果に役立つでしょう。
出産時の栄養
葉酸は細胞分裂に必要な栄養素であり、胎児の成長にも欠かせません。
また、不妊症の問題は女性ばかりとは限りません。
亜鉛は精子や精液の材料となり、精液の分泌を促進させます。
アマニは出産を控えている夫婦にとってもメリットがある食品です。
注意点
アマニはオメガ3脂肪酸の摂取源であり、食物繊維が非常に多いですが、以下の点には気を付けましょう。
腸管トラブル
アマニは食物繊維の含有量が優れていますが、腸閉塞やリーキーガット等の腸管トラブルを起こしている場合は控えておきましょう。
腸閉塞の場合は腸管が神経障害によって正常に働かない場合や、腸そのものが閉塞しているため、食物繊維によって腸管を詰まらせやすい状態となっています。
腸管を詰まらせてしまうと、腹部膨満や嘔吐等の症状を引き起こす場合ばあります。
炎症性腸疾患に罹っている場合は、食物繊維の摂取が腸管を傷つけることに繋がり、症状を悪化させてしまうことが考えられます。
アマニは種実類であることから、脂肪含有量の多い食品です。
脂質が多いと消化器に負担をかける為、お腹を壊している時は摂取を控えましょう。
脂肪制限
膵臓疾患や胆石症等で医師から脂肪制限の指示を受けている場合も摂取を控えます。
まとめ
アマニについてまとめます。
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健康油の亜麻仁油の種子であることから、アマニの健康効果もそれだけ期待が大きいです。
症状によってはデメリットとなる場合もありますので、特に健康上の問題がないのであれば、食生活に取り入れていきましょう。
とは言っても、基本は栄養バランスの整った健康的な食事です。