貴重な多価不飽和脂肪酸γリノレン酸を含む「ヘンプシード」

ヘンプシードは日本でも古くから雑穀の一つとして食べられている麻の実のことであり、七味唐辛子にも入っています。

ヘンプ(麻)は中央アジア原産のアサ科の植物で、麻の実は食用となり、油を搾ることもできます。

麻と呼ばれる植物は20種類以上あると言われており、大麻(マリファナ)も麻の一種です。ヘンプはマリファナと全く別物なので危険性はありません。

ヘンプは成長が早いので大量の二酸化炭素を消費し、エコな植物として注目されています。

ヘンプは農薬や肥料を使わずに栽培できるので、安全性が高く、チアシードに次ぐスーパーフードと言われています。





 

ヘンプシードの栄養と期待する効能

ヘンプシードには蛋白質、アミノ酸、αリノレン酸、γリノレン酸、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、パントテン酸、葉酸、マグネシウム、鉄分、亜鉛、銅、マンガン、食物繊維、カンビナスAが含まれています。

このような栄養組成であることから、次のような効能に期待があります。



  • 組織の形成
  • 筋蛋白合成
  • エネルギー代謝
  • 生活習慣病予防
  • アトピー性皮膚炎の予防
  • 月経前症候群の緩和
  • 抗酸化作用
  • 抗老化作用
  • 腸内環境改善
  • 鉄欠乏性貧血予防
  • 抗ストレス
  • 胎児の成長

 

蛋白質が豊富

ヘンプシードはスピルリナほどではありませんが、蛋白質が豊富に含まれており、必須アミノ酸が全て含まれています。

組織の形成

蛋白質には皮膚や筋肉、内臓、爪、髪など身体のあらゆるところを作るのに必要不可欠です。

蛋白質はコラーゲン生成に関わる栄養素であり、ビタミンや亜鉛、鉄分等と摂取すると皮膚の形成を促し、美肌作りや傷ついた筋肉の収縮、重症な患者様に発生しやすい褥瘡やスキンテアの予防や改善に役立てます。

ヘンプシードには細胞分裂に関わる亜鉛とコラーゲン生成に関わる鉄分も含まれる為、皮膚の形成に関わる食品であることが言えます。

ホルモン代謝等

蛋白質にはホルモン代謝の調節、神経伝達物質の前駆体としての働き、抗体の生成にも関与し、ビタミンB6も含まれていることから、蛋白質を代謝することによってこれらの働きを発揮することに期待があります。

筋蛋白合成

ヘンプシードには必須アミノ酸が含まれていることから、動物性食品に頼らなくてもBCAAを摂取することができます。

BCAA(ロイシン、イソロイシン、バリン)は筋肉の形成に深く関わっています。筋肉を付けることによって燃焼体質を作るので、ダイエットを効率的に行うための栄養成分となっております。

また、筋力低下防止にも役立つ為、サルコペニアフレイルの予防や介護予防にも役立ち、更に筋力低下の症状が著しく現れるCOPDの栄養管理にも活用されます。

肝硬変非代償期の栄養

BCAAは肝硬変非代償期の肝性脳症の発生防止にも役立ちます。

 

エネルギー代謝

ヘンプシードにはエネルギー代謝に関わる成分が含まれています。

ビタミンB1、マグネシウムは糖分がピルビン酸に変換する時の補酵素としてりようされます。

この代謝過程を経た後、ビタミンB1はピルビン酸をアセチルCoAに変換される時に利用され、ミトコンドリア内で有酸素運動下においてビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸が補酵素として利用されます。

その為、糖分や体脂肪がエネルギーと利用され、カロリー消費しながら運動時において疲労を抑制します。

 

脂質異常症予防

ヘンプシードはαリノレン酸が含まれており、荏胡麻油やアマニ油と同じオメガ3脂肪酸です。

オメガ3脂肪酸には沢山の効果効能があり、糖尿病や高血圧症の予防、中性脂肪やLDLコレステロール上昇抑制、認知症予防や記憶力アップ、美容効果など幅広い効果があります。

 

貴重なγリノレン酸を含む

ヘンプシードはγリノレン酸を含む数少ない食材の一つです。

γリノレン酸には生活習慣病の予防、アトピー性皮膚炎の抑制、月経前症候群の緩和の効果があると言われています。

ヘンプシードには蛋白質やビタミンB6も含まれる為、γリノレン酸の働きを更に引き出せると言えるでしょう。

 

抗酸化作用

ヘンプシードには「カンナビスA」という独自に含まれる成分があります。

カンナビスAはポリフェノールの一つで強力な抗酸化作用があります。

活性酸素による老化や生活習慣病の予防に役に立っているのは勿論のこと、更に抗老化作用が注目されております。

ヘンプシードを常食している中国のある自治区では「長寿の里」と呼ばれていますが、老化促進予防効果によるものではないかと考えられています。

 

腸内環境改善

ヘンプシードの食物繊維は不溶性食物繊維の方が多く含まれています。

100gあたり41.3g含まれ、サツマイモやおからより多く含まれています。

便秘改善や腸内の老廃物や有害物質を排出するのに役立ちますが、水溶性食物繊維を含む野菜や海藻類と一緒の摂ると、更に腸内環境改善に繋がります。




 

鉄欠乏性貧血の予防

ヘンプシードには赤血球の材料となる鉄分が含まれています。

そして鉄分の吸収を促す働きがある銅も含まれているため、鉄欠乏性貧血の予防に役立つ食品であると言えます。

 

抗ストレス

ヘンプシードにはセロトニンの材料となるトリプトファン、マグネシウム、鉄分が含まれます。

マグネシウムには興奮抑制作用及びGABAの働きを持続させる働きがあることから、ヘンプシードには抗ストレス効果をサポートする食品であることが言えます。

 

胎児の成長

ヘンプシードには、細胞分裂に必要な葉酸が含まれており、胎児の正常な成長に重要な栄養成分です。

亜鉛は精子や精液の生成に関わり、制刺激ホルモンを刺激する働きがあります。

このようなことから、ヘンプシードは不妊症を予防することに期待があります。

 

1日あたりの目安摂取量

1日の目安量としては大匙1杯が適度です。

ヘンプシードには副作用はありませんが、大量摂取による下痢や腹痛を引き起こす場合があります。

また、熱に弱く40度以上の場所では、質が変化してしまう為、冷暗所又は熱い夏場は冷蔵庫に保管しておくと、栄養価を維持することが出来ます。

調理の際には加熱せず、出来上がって粗熱が取れたところに混ぜあわせると、栄養価を損なわず召し上がることが出来ます。

 

まとめ

最後にヘンプシードに期待する効能についてまとめます。

  • 組織の形成
  • 筋蛋白合成
  • エネルギー代謝
  • 生活習慣病予防
  • アトピー性皮膚炎の予防
  • 月経前症候群の緩和
  • 抗酸化作用
  • 抗老化作用
  • 腸内環境改善
  • 鉄欠乏性貧血予防
  • 抗ストレス
  • 胎児の成長

ヘンプシードにはナッツに似た香ばしさと、豊富に含まれる脂質のまろやかさがあります。

種実類として調理に使えるので、金平や胡麻和えにしても合いますし、御飯に混ぜておにぎりにするのも良いでしょう。


 
栄養相談、サポート詳細
 

関連記事

最近の記事

  1. ベリーをはじめとする赤い果実に含まれるポリフェノール「エラグ酸」は美容効果の他にも生活習慣病予防に期待

  2. 低脂質でエネルギー、蛋白質の摂取源「レンズ豆」

  3. 原因不明の蕁麻疹…それはダニアレルギーの可能性がある