CPP(カゼインホスペプチド)はミネラル吸収に必用な成分と言われています。
但し、CPPはリン過剰摂取により、血管石灰化を招きます。
CPPはカルシウムの吸収に良いとされていますが、このような観点からカルシウムの摂りすぎも要注意となります。
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骨吸収と骨形成
カルシウムの貯蔵庫と言われる骨は、絶えず新陳代謝を骨吸収と骨形成を繰り返すことによって新陳代謝を促しています。
そして、この二つの働きは、神経や筋肉の正常な働きに欠かせないカルシウムの濃度を一定に保つことによって協調されています。
骨吸収と骨形成のアンバランス
骨吸収が骨形成の量を上回る状態が続いてしまうと骨密度の低下を招きます。
骨粗鬆症は血液中に骨からのリン酸イオン、カルシウムイオンが血中に大量に出来る為、骨が弱くなります。
このような骨吸収と骨形成のアンバランスを招くのは高齢者及び閉経前後の女性見られます。
高齢者
特に高齢者の場合はリン酸過剰になると血管に大きく影響を与えてしまいます。
この場合、骨の形成にCPPが良いからと言ってカルシウム及びCPPを積極的に摂ったところで骨の材料として使われず、リンやカルシウムが余ってしまいます。
余剰となってしまったリンやカルシウムは血管内壁の受容体や白血球につかまって、血管石灰化や炎症を引き起こしてしまいます。
閉経前後の女性
閉経前後の女性の場合、エストロゲンの分泌量が減り始めます。エストロゲンは骨吸収を抑える働きがある為、閉経前後になると骨吸収が加速して骨形成が追い付かなくなり、骨の破壊が進むことによって骨量が減少してしまいます。
ただ、高齢者の場合と違って血管などへの悪影響は少ないようです。
骨密度低下を出来るだけ抑制するには、リンの過剰摂取を避け、カルシウムとマグネシウムのバランスを図ると良いでしょう。
腎機能悪化にも
骨粗鬆症は腎臓に負担をかけ、やがて慢性腎不全に移行してしまいます。
更にCPPを介することによって悪循環を招きます。
骨粗鬆症と慢性腎不全の関係は「慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常」という病名で注目されています。
CPPは形成されると、血中リン濃度が過剰になることによりリン排出ホルモンである線維芽細胞増殖因子23(FGF23)の分泌を増やします。
FGF23が腎臓で活性化ビタミンDの産生を抑制することにより、尿中カルシウム排泄量が増加します。
血液中のカルシウム濃度は一定に保たれる必要がある為、不足した場合は骨を溶かすことによって骨吸収が促されます。
これが骨粗鬆症を招いてしまい、更に血管石灰化を起こし、更にCPPの関与に伴い慢性腎不全を更に進行させてしまうという悪循環に陥ります。
ミネラルバラスの不均衡
カルシウムは骨の栄養と言われ、骨粗鬆症だからといって大量摂取するのは却って逆効果となります。
カルシウムを大量摂取すると、マグネシウムとのバランスを崩してしまう上に更に腎臓に負担をかけます。
カルシウムの大量摂取によりリン酸カルシウムが生成されることによって老化現象が加速されることが危惧されます。
CPPはカルシウムを効率的に吸収するのに必要とされていますが、骨を促すためにはカルシウム、マグネシウム、リンとのミネラルバランスを取ることが必須になります。
誤った食習慣も関与
清涼飲料水やインスタント食品やスナック菓子をはじめとする加工食品の常食は、体内にリンを蓄積させる原因となります。
石灰化にはリン過剰摂取が大きく関わっている為、年齢に関わらず、普段から健康的で安全な食事を摂る事が症状の予防や軽減に繋がっていきます。