子供のアトピーに悩む親御さんが多い世の中ですね。
アレルギー疾患の発症には、遺伝的要因と環境的要因が関係していると言われていますが、実際には「環境的要因」…つまり後天的要因が圧倒的に大きな要因となっています。
食生活の悪化をはじめストレスの増大、大気汚染・環境中の化学物質の増加などがアレルギーを引き起こしてしまいます。
これらの要因によって、身体がダメージを受け続けて弱体化させた結果、アレルギー体質をつくり出しています。
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IgE抗体の異常発生
アレルギー体質とは、体質の劣化によって免疫機能が弱体化をきたし、IgE抗体が異常に多く産生されるようになった体質を言います。
アレルギーの人は、アレルギーがない人の50~100倍のIgE抗体を持っていることがあります。
そのため、わずかなアレルゲンの体内侵入でも、アレルギー反応を引き起こしてしまいます。
もし体質が健全であるならば、免疫機能も正常に働く為、IgE抗体の大量産生を抑制します。
その為、アレルゲンに対する反応が殆どありません。
体質劣化の原因
体質劣化の原因には次のものが挙げられます。
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間違った食事
間違った食事は体質に大きく影響を及ぼします。
アレルギーの原因となる食生活には次のものが挙げられます。
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このような食生活はアレルギーに大きく影響を及ぼし、体質を劣化させてしまいます。
同時に、アレルギーの引き金となる「アレルゲン」そのものをもたらすことになります。
そのため、大きなダメージを与えることになるのです。
動物性食品の大量摂取
消化吸収の良くない食品には繊維の多い野菜やナッツ類、海藻類、きのこ類、肉、魚等が挙げられます。
野菜、ナッツ、海藻、きのこには食物繊維が含まれていますが、肉や魚には食物繊維が含まれていません。
魚はわりとほぐれやすいのですが、肉はしっかり噛まないと細かく引きちぎることが出来ません。
肉や魚はそれだけ消化管内の滞留時間が長いのですが、肉は魚以上に消化吸収に時間を要します。
普段から肉の大量摂取をしていればそれだけ胃腸に負担をかけます。
消化の悪い肉は消化管内に長い間滞留しやすいので、やがて腐敗していきます。
腐敗すればバクテリアが発生して、腸管内は悪玉菌優位となります。
腸内環境が悪化することによって下痢や便秘等のトラブルを起こす上に、体質劣化を引き起こし、免疫力低下を招いてしまいます。
白砂糖による腸内環境悪化
白砂糖は糖反射によって胃や十二指腸の蠕動運動を数十分から一時間ほど止めてしまいます。
消化管が動かないことによって食物が滞留し、消化管内の食物はやがて腐敗してしまいます。
この腐敗菌によって腸内環境悪化を招き、その結果、免疫力低下を引き起こしてしまいます。
また、白砂糖はカンジダ菌を異常発生させてしまいます。
カンジダ菌の異常発生によっても腸内環境が乱れ、常に糖分が欲しい状態に陥ります。
白砂糖によるカンジダ菌の異常発生は、腸を傷つけることによってリーキーガット症候群を引き起こすと言われています。
食品添加物
食品添加物の入っていない食品を毎日摂ることは困難ですが、当たり前のように加工食品ばかり食べていると食品添加物は体内に蓄積されてしまいます。
商品添加物による毒性も懸念されますが、食品添加物は消化器に大きな負担をかける上に、体内で分解されず脂肪細胞に蓄積されてしまいます。
つまり、食品添加物は腸内環境悪化を引き起こし、免疫機能低下によってアレルギー体質を引き起こすことに繋がるのです。
グルテン
グルテンはグルテニンとグリアジンの二つの蛋白質が絡み合うことによって変化した物質です。
グルテニン、グリアジンにはそれぞれの特徴があります。
- グルテニン…弾力がある 伸びにくい
- グリアジン…弾力がない 伸びやすい
グルテンは麺類のコシを強くしたり、パンやケーキの生地をふんわり焼き上げる役目があるのですが、このグルテンもアレルギー体質の原因と言われています。
小麦アレルギーの原因となるのがグルテン不耐症によるものと言われています。
グルテン不耐症
グルテン不耐性の方はグルテンを消化しにくいという特徴があります。
その為、グルテンによって小腸が傷つけられやすいのです。
小腸が傷つくと免疫力低下や栄養吸収障害を起こすと言われています。
小腸が傷つくことによって炎症が起こり、炎症によって脳機能や腹部の不調を訴えるようになります。
小腸は本来、必要な栄養のみを体内に取り込む仕組みとなっています。
しかし、グルテン不耐症の場合は、小腸において不要物の侵入を防御出来ない為、体内に有害物質や毒素が侵入しやすく、炎症をおこしてしまいます。
その結果、アトピー、花粉症、喘息、頭痛、腹痛、肌荒れ、月経前症候群、リウマチ等の症状を引き起こすと言われます。
脳に影響を及ぼせば、鬱、ADHDを発症するとのことです。
セリアック病とは?
セリアック病とはグルテン不耐症の一つです。
グルテンによって免疫反応を起し、小腸が障害を受ける病気であると言われています。
症状には下痢や腹痛等が見られ、栄養吸収障害を起こすとのことです。
リーキーガットとは?
腸は本来粘膜で保護されていますが、粘膜が薄くもろくなることによって腸に穴が開いてしまいます。
腸に穴が開くことによって、本来身体に入るべきではない毒素や有害物質が体内に取り込まれ、下痢、便秘、疲労感、肌荒れ等の症状を引き起こすと言われます。
大麦やライ麦はグルテン不耐症の原因物質か?
大麦にはグルテンは含まれていません。βグルカンによる健康効果が注目されています。
ライ麦にはグルテニン、グリアジンは含まれていませんが、似たような成分としてセカリンが含まれます。
セカリンは小麦のようにグルテンを形成することが出来ませんが、ライ麦にはグルテンは微量に含まれているそうです。
小麦不耐症がある場合は、ライ麦の摂取にも気を付けた方が良いでしょう。
カゼイン
カゼインは牛乳に含まれる蛋白質であり、牛乳の蛋白の8割りを占めています。
カゼインを消化出来る酵素は牛にはあるものの、人間にはあまりないと言われています。
つまり、人が牛乳を飲むと未消化の蛋白質によって腸管を傷つけやすくなり、これによって炎症を引き起こすと言われています。
この症状によってリーキーガット症候群を引き起こし、アレルギー体質という体質劣化を引き起こしてしまいます。
ところが、母乳にもカゼインが含まれます。
しかし、母乳に含まれるカゼインは牛乳より分子が小さいという構造となっています。
分子が小さいため、消化吸収しやすく、カゼインの割合が4割程度となっています。
そのうち残りの6割は乳清蛋白質(ホエイプロテイン)です。
副腎疲労
腸に炎症が起こると、副腎はそのしわ寄せを受けます。
何故なら、コルチゾールを分泌することによって腸の炎症の鎮静に取り掛かるからです。
しかし、コルチゾールの分泌にも限界があり、副腎そのものが疲労してしまいます。
副腎疲労を起こすことによってホルモンバランスが乱れ、様々な不調を訴えることとなります。
酸化した油、トランス脂肪酸
アレルギー体質は油の摂り方も大きなポイントです。
オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取比率は1:1~3が理想的とされています。
しかし、魚離れしている現代人ではオメガ3脂肪酸が不足になりやすいのです。
オメガ6脂肪酸は特に沢山摂ろうとしなくても、充足することが出来ます。
オメガ6脂肪酸は豆類や種実類にも含まれていますが、市販のマヨネーズやドレッシング、植物油脂にも含まれています。
マーガリンやショーニングもオメガ6脂肪酸に属します。
現代人は揚げ物やマヨネーズ、ドレッシング、パン、焼き菓子といった欧米化した食品を摂ることが多いため、オメガ3とオメガ6の摂取比率が極端にオメガ6に偏っています。
このバランスが崩れることによって体質劣化を引き起こし、アレルギー体質となってしまうのです。
また、揚げ油は加熱によって油が変性し、マーガリンやショートニングは製造工程において油が変性し、トランス化しています。
このトランス脂肪酸がアトピーや花粉症、皮膚炎等のアレルギー症状を引き起こし、更に癌や認知症の発症及び妊婦や胎児に悪影響を及ぼすと言われます。
ストレスによる体質劣化
ストレスもIgE抗体を増加させます。
そうした時にアレルゲンが侵入してくると、容易にアレルギー反応を引き起こすことになります。
例えば「ストレス性蕁麻疹」がストレスによるアレルギー症状の一つであることが言えるでしょう。
また、ストレスによっても副腎疲労が起こしやすくなり、更に普段の食事の栄養バランスが悪いと、ビタミンC不足によって副腎疲労を起こしやすくなります。
疲れや睡眠不足も体質劣化に繋がりやすい
他の病気で体が弱っていたり、過労、睡眠不足によって体調が崩れると、すぐにアレルギーやアトピーが発症し、体調が良くなるにつれて治っていくことがあります。
これらは体質悪化とアレルギーに強い関連性があることを示唆しています。
アレルギー体質を改善するには?
アレルギーの原因を知ると、食生活の改善やストレス対策によってアレルギーやアトピーを克服する方法を見出すことが可能となります。
アレルゲンとなる物質は実際、限りなく存在します。
それを全て取り除くとなるとキリがないのです。アレルゲンとなる食品はアレルギー専門の医師のもとに、原因食品を摂取して負荷を与え、免疫力を付けていく方法があります。
リスクを伴うものなので、必ず専門医の監修のもとで行うようにしましょう。
食生活や生活習慣の改善を図ると、体質改善に繋がっていきます。
和食を中心とした食事、良質の油、野菜やきのこ類、海藻類の摂取、肉より魚といった食生活を行うことで体質の改善に繋がっていきます。
このような体質向上がアレルゲンの根本的な対抗策となります。
アトピーにおける皮膚のバリア機能低下についても同様です。
皮膚も体の一部である以上、身体全体が健康になれば皮膚の機能も正常になり、外部からの物質を皮膚でしっかり防護し、侵入を防ぐことが出来るようになるのです。
生まれてくる子供は親の体質に左右される
生まれてくる子供の健康レベルは、子供を宿す前の母親の健康状態によって大きく左右されます。
そこでさらに母親の妊娠中の栄養状態が悪いと、生まれてくる子供の健康レベルも低くなります。
母親がアトピーではなくても生まれてくる子供はアトピー体質を持っていたり、母親自身がアトピーだと、生まれる子供は更に体質悪化します。
こうしてアレルギー体質が2代3代と継続されるにつれ、さらに重症化することになります。
年子は虚弱体質になりやすい
年子の場合は、母体の栄養が先の子供の妊娠で使われてしまうため、後の子供は深刻な栄養失調状態を引き起こすことになります。
したがって年子の子供には奇形児で生まれる確率が増えてしまいます。
病気から無縁だと言われている地域では、意識的に年子を避け、さらに妊娠前には母体の健康レベルを上げるために食生活に特別な注意をはらうための一定期間をもうけているとのことです。
まとめ
アレルギー体質は食生活や生活習慣によって予防に勤められます。
その為には以下のことを心がけましょう。
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食生活や生活習慣を改めることによって自分の身体を守ることが出来ますし、後世がアトピーによる苦労人生を歩まない為の対策にもなります。