ザクロとはミソハギ科ザクロ属の一種であり、高さが5~6mの落葉小高木です。
ザクロは果実に沢山の実がなることから「女性の果実」と呼ばれ、「子孫繁栄」「子宝」の象徴とされています。
ザクロは西南アジアはや中東が原産と言われていますが、原産地については諸説があり、トルコ、イラン、北インド、カルタゴ、北アフリカ等が挙げられています。
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ざくろの栄養と期待する効能
ザクロにはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンE、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、アントシアニン、エラグ酸、タンニン、オレイン酸、リノール酸等、沢山の栄養成分を含みます。
ざくろには次の健康効果に期待があります。
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強い抗酸化作用
ザクロには抗酸化ビタミンであるビタミンE、ビタミンC及びアントシアニン、エラグ酸、タンニンといったポリフェノールが含まれ、抗酸化作用があると言われます。
ビタミン類の中でも特にビタミンEは抗酸化作用が強く、ビタミンCはビタミンEの抗酸化作用を再生することによってビタミンEの抗酸化作用をサポートすると言われています。
抗酸化作用には、動脈硬化や脳梗塞、心疾患の予防、老化防止、癌予防に期待があると言われています。
美肌効果
ザクロに含まれるエラグ酸には過剰になったメラニンの生成を抑え、シミやそばかすを防ぐと言われます。
ザクロにはビタミンCも含まれ、ビタミンCはエラグ酸とともにチロシナーゼの生成を抑制するとともに、シミやそばかすを目立たなくすることが知られています。
ザクロには抗酸化作用によって紫外線から肌を守ると言われます。
ザクロに含まれる亜鉛や鉄分は皮膚の形成に関わります。
そしてビタミンCと言えばコラーゲン生成に欠かせないビタミンということで知られています。
亜鉛、鉄分、ビタミンCの組み合わせは皮膚を美しく保つとともに、医療現場ではスキントラブルに欠かせない栄養成分として患者様や高齢者の栄養管理において注目されています。
ザクロのこれらの働きによって、ザクロは美肌効果に期待のある食材であることが言えます。
糖尿病、肥満予防
エラグ酸には糖尿病や肥満を予防することが知られています。
エラグ酸には悪玉アディポサイトカインの一つであるレジスチンの分泌を抑制します。
レジスチンとはインスリン抵抗性を高める悪玉アディポサイトカインの一つであり、インスリン抵抗性が高まると、インスリンが分泌されているにも関わらず、血糖値の上昇が抑制されないことが起こってしまいます。更に血糖値を下げようとインスリンが分泌されます。
このような状況から糖尿病や肥満をはじめとする生活習慣病のリスクが高まってしまいます。
エラグ酸にはレジスチンの分泌を抑えることによってメタボ予防に期待があることが言えます。
ザクロにはリノール酸が含まれています。
リノール酸は適度に摂取している限り、LDLコレステロールの上昇抑制、糖尿病、高血圧症、脂質異常症等の生活習慣病予防に役立つと言われています。
目のトラブル予防
ザクロにはアントシアニンが含まれていることから、目の網膜にあるロドプシンという色素の生成に関わります。
その為、眼精疲労や視力低下を予防することに期待があります。
アントシアニンには血管トラブルの予防があると言われており、糖尿病合併症による毛細血管トラブルによって引き起こされる糖尿病性網膜症や網膜剥離を予防することに役立つとされています。
ザクロにはビタミンB2、ビタミンCが含まれ、これらのビタミンは粘膜生成にも関わり、ドライアイや涙目から守るとも言われます。
ザクロには、眼病予防に役立つことが言えます。
浮腫み解消
ザクロにはナトリウム、カリウムが含まれ、電解質のバランスを図り細胞を正常に保つ食品であることが言えます。
カリウムが含まれることから、体内に余分に溜まったナトリウムを排泄し、血圧を正常値に調整することから、高血圧予防にも良いとされています。
ザクロに含まれるカリウムによって余分なナトリウムが排泄されると、浮腫みが解消や血流改善に繋がり、更に冷え性や肩こり、腰痛の改善に期待があります。
循環器疾患予防
ザクロには抗酸化作用によって循環器疾患予防に役立つと言われます。
ザクロにはリノール酸、オレイン酸が含まれています。リノール酸はLDLコレステロールを減らし、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、心疾患、脳血管疾患を予防すると言われます。
オレイン酸はLDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを維持すると言われます。
ザクロには前述のように高血圧予防に良い食品であると言えることから、循環器疾患予防に役立つと言えます。
但し、リノール酸はαリノレン酸とのバランスが崩れると体質劣化に繋がる為、脂肪酸比率には気を付けましょう。
骨形成
ザクロには骨や歯の材料となるカルシウム、リンが含まれます。
また、カルシウムを骨に定着させると言われるマグネシウムも含まれています。
その為、ザクロは骨形成や骨粗鬆症予防に役立てることが言えます。
造血作用
ザクロには鉄分が含まれ、鉄分を三価鉄から二価鉄に還元するビタミンCが含まれることから鉄欠乏性貧血予防に期待があると言えます。
妊娠の成立
ザクロには葉酸が含まれ、核酸の合成や胎児の正常な成長に役立つことが言えます。
ザクロには亜鉛も含まれている為、男性由来の不妊症改善にも役立つことが知られています。
ザクロには妊娠中に失われやすいカルシウムや鉄分も含まれている為、出産を控えている場合に役立つ食品の一つでしょう。
但し、鉄分やカルシウムを過剰摂取してしまうと葉酸の吸収を抑えてしまう為、サプリメントで鉄分やカルシウムを補う時はこの点に注意しましょう。
脳機能向上
ザクロに含まれるリノール酸はアラキドン酸を産生します。
アラキドン酸は脳内物質の一つであり、言語機能や記憶力を高めると言われています。
その為、子供の成長にアラキドン酸は必要であるとともに、認知症予防にも期待があります。
免疫力強化
アラキドン酸には免疫力を強化する働きがあることが知られています。
その為、花粉症予防及びアレルギー体質の改善に期待があります。
但し、アラキドン酸は過剰摂取するとリノール酸同様に栄養効能が却って逆効果になってしまいます。
リノール酸、アラキドン酸は通常通り食事を摂っている限り摂取不足になることはないでしょう。
三大栄養素の代謝
ザクロにはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシンが含まれていることから三大栄養素のエネルギー代謝に欠かせない食品であることが言えます。
三大栄養素の中でも真っ先に燃焼されるのは炭水化物であり、炭水化物は無酸素運動の条件下で解糖系によって利用されます。
炭水化物はアセチルCoAを経てミトコンドリア内に入るとTCA回路にて有酸素運動下においてエネルギー産生をします。
そしてTCA回路は三大栄養素の合流地点であり、代謝に関わるという非常に重要な役割を持っています。
このようにエネルギーがビタミンB群によって正常に代謝されると、疲労を抑制しながら糖質や脂質を燃焼する為、ダイエットを効率的に行うことに期待があります。
また、ビタミンB6は蛋白質の合成に関わり、蛋白質やアミノ酸と一緒に摂取することによって筋蛋白合成を促進し、脂肪燃焼しやすい身体作りに役立つと言われます。
肝機能維持
ザクロにはビタミンB1が含まれます。
アルコールを摂取した際にアルコールの殆どが肝臓に送られアセドアルデヒド代謝時にアルコール脱水酵素が働き、大量のビタミンB1が利用されます。
ビタミンCにはアセドアルデヒドの分解を促進すると言われます。
収斂作用
ザクロにはタンニンが含まれていることから消炎作用や収斂作用があると言われます。
タンニンには胃腸のトラブルに良いことが知られています。
注意点
ザクロを摂取する際は次の点に注意します。
腎機能低下
ザクロにはカリウムが含まれていることから、腎機能が低下している時は摂り過ぎに気を付けます。
腎不全が進行すると腎臓からカリウムの排泄が正常に行われなくなります。
その為、血中カリウム値が上昇し、不整脈を起こすリスクが高まり、最悪の場合には死に至ってしまいます。
鉄の吸収阻害
ザクロには鉄分が豊富である一方、タンニンが含まれている為、過剰摂取すると鉄分の吸収を阻害してしまいます。
その為、貧血気味の方や貧血の治療をしている場合は、大量摂取することを避けた方が良いでしょう。
C型肝炎、NASH(
ザクロには鉄分が豊富なことから、C型肝炎やNASH(非アルコール性肝硬変)に罹っている場合には、摂取量に気を付ける必要があります。
C型肝炎やNASHに罹ると肝臓に鉄分が蓄積されやすくなり、肝臓に蓄積された鉄分が酸化することによって更に肝機能悪化を招いてしまうからです。
まとめ
ザクロについてまとめます。
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ザクロは「女性の果実」である役割の他にも、脳機能の維持や生活習慣病予防に期待のある食品であると言えます。
バランスの取れた食事を普段から心がけた上で、時々ザクロを取り入れてみましょう。