黒豆というとおせち料理に使われている黒豆のイメージが強いでしょう。
黒豆は大豆であることから、アミノ酸が豊富でイソフラボンも含まれています。
そして、大豆の栄養に加えてポリフェノールが含まれているのが、黒豆の健康効果の魅力的なところです。
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黒豆の歴史
黒豆は中国が原産と言われ、日本へ約2000年前に伝来したと伝えらえています。
日本で最初に作られたのが丹波国(現兵庫県篠山市付近)であり日本発祥の地であると伝えられています。
古くからの民間療法として、咳や喉の痛みの症状がある時に黒豆の煮汁を飲むことが伝承されてきました。
漢方としての歴史は更に古く、数千年前より「黒豆衣(こくずい)」と呼ばれる生薬として利用されてきたと言われます。
黒豆の栄養
黒豆は蛋白質、糖質、脂質、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛、食物繊維、ビタミンE、イソフラボン、黒豆ポリフェノール、レシチン、コリン、アントシアニンが含まれています。
大豆には次のような効能があると言われています。
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黒豆には大豆のメリットに加えて、次のような健康効果に期待があります。
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蛋白質が豊富
黒豆は「畑の肉」と呼ばれる大豆同様に蛋白質を豊富に含みます。
アミノ酸スコアは大豆同様に100であり、必須アミノ酸全てを含みます。
蛋白質の含有量な肉類と匹敵する位ですが、黒豆は肉類と違い食物繊維が豊富に含まれる為、生活習慣病予防効果もあり、腸内環境改善にも良いと言われます。
ポリフェノールによる抗酸化作用
黒豆の栄養成分はほぼ大豆に準じますが、大きな違いはポリフェノールが含まれていることです。
大豆の詳細については大豆の栄養のページにリンクしてください。
循環器疾患予防
ポリフェノールはチョコレートや赤ワインにも含まれ、強い抗酸化作用を持つことが知られていますが、黒豆に含まれるポリフェノールは「黒豆ポリフェノール」と呼ばれています。
ポリフェノールの代表的な効用は抗酸化作用であり、コレステロールの酸化を抑制することによって血液中に酸化したLDLコレステロールや中性脂肪の産生を抑制します。
この働きによって中性脂肪やLDLコレステロールによって血管が傷つくことを防止し、傷口からアテロームが形成されることを予防します。
これによって動脈硬化や血栓症、心筋梗塞、脳血管疾患の予防効果があると言われます。
老化予防
抗酸化作用には紫外線から皮膚を守る事によって肌の老化を防止する働きがあります。
元々大豆にも黒豆にもビタミンEが含まれていますが、黒豆にはポリフェノールも含まれている為、大豆より抗酸化作用が強いことが言えます。
免疫力強化
黒豆ポリフェノールには免疫力を高める上に、血行を促進する作用もあります。
血行促進によって身体を温める為、更に免疫力を高め、風邪やインフルエンザ等の感染症の予防に役立つことが言えます。
血行促進効果は体温を上げる効果にも繋がり、その効果は癌予防にも期待があります。
人の身体は36~37℃代が免疫力が高まる温度帯と言われます。
ところが35℃代にまで下がると、免疫力が36℃代の時より30%下がります。更に35℃代は癌細胞が増殖しやすい温度帯と言われています。
黒豆には血流促進による体温上昇させる働きが期待出来ることから、癌予防に良い食品の一つであることが言えるでしょう。
アントシアニンの働き
黒豆には大豆にはない「アントシアニン」が含まれます。
ビタミンP様作用
アントシアニンは抗酸化作用がある上、ビタミンPに似た作用があります。
黒豆とビタミンCを含む食品を一緒に食べると、ビタミンCの効能が強化されることに期待があります。
ビタミンPには血流促進や毛細血管の強化、血圧降下等の働きがあるとされ、更に循環器疾患予防に期待があると言えます。
ロドプシン合成
アントシアニンによる抗酸化作用は目にも働きかけます。
アントシアニンは目の奥にある紫色の色素のロドプシンの再合成を助け、ロドプシンが光に当たるとビタミンAに分解され、再びロドプシンを合成することによって眼精疲労回復や視力回復の効果が現れると言われます。
アントシアニンには糖尿病の合併症による糖尿病性網膜症や白内障の予防効果があると言われ、更に加齢性黄斑変性症等の目のトラブル防止に期待があります。
花粉症予防
アントシアニンにはヒスタミンの放出を抑える働きがあることが知られています。
その為、花粉症の症状を抑えることに期待があります。
注意点
黒豆は元々大豆であることから、大豆同様に摂りすぎによるデメリットがあります。
ホルモンバランスを乱す
大豆の食べ過ぎは却ってホルモンバランスを乱してしまいます。
イソフラボンの摂り過ぎはホルモンバランスの乱れによって自律神経や月経リズムを乱してしまいます。
また、せっかくの美容効果も台無しにしてしまいます。
また、妊娠中の方や子供はサプリメントや特定保健食品からイソフラボンを摂るのは避けた方が良いでしょう。
便秘、腸管トラブル
大豆は食物繊維が多いことから、摂り過ぎは却ってお腹を壊してしまいます。
水分の摂取量が不足すると、マグネシウムや食物繊維の働きによって便が排出しにくくなります。
自律神経に乱れによる便秘を引き起こすリスクもあります。
腸閉塞に罹っている場合は、神経障害によって腸管が正常に機能しないことや腸管が閉塞してしまっていることから、食物繊維によって腸管を詰まらせ、腹部膨満や嘔吐の症状を起こす場合があります。
男性は女性らしい身体つきに…
男性の場合は体臭の抑制や亜鉛と併せて薄毛予防に良いのですが、イソフラボンの過剰摂取により精子の量が減少する場合ばあります。
腎機能低下
大豆は蛋白質が豊富なことから、腎不全が見られる場合は悪化防止の為に摂取を控えておくと良いでしょう。
腎機能が低下してしまうと排尿困難に陥り、カリウムが体内に蓄積されてしまいます。
カリウムが体内に過剰に蓄積されると不整脈を起こし、最悪の場合は心不全を起こして死に至ってしまいます。
ヨウ素の吸収阻害
食品には、甲状腺へのヨウ素蓄積を阻害し、甲状腺腫を起こすことがあるゴイドロゲンといわれる化学物質を含むものがあります。
イソフラボンもゴイドロゲンの一つあり、大豆の大量摂取によってヨウ素の体内利用に影響を及ぼす場合があります。
まとめ
黒豆についてまとめます。
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黒豆は大豆の栄養に加えてポリフェノールの効能も享受出来るメリットがあります。
しかし、市販の黒豆は砂糖で甘く煮たものが多く、せっかくの栄養が白砂糖で台無しになってしまいます。
甘い黒豆を食べたいのなら精白されていない糖を使って煮た方がベターですが、黒糖等を用いても沢山食べ過ぎないようにしましょう。
砂糖不使用の商品を購入して煮込み料理に活用してみたり、お茶としてポリフェノールを摂る等して活用してみましょう。