ごまはゴマリグナンやミネラルが含まれていることで健康効果が謳われています。
ごまは身体に優しいだけではなく、心にも優しい食品です。
その為、ストレス社会において必要な食品の一つであることが言えます。
Table of Contents
ごまの歴史と種類
ごまは、古代エジプト、インド、中国の頃から栄養価に優れた食品として重宝されてきました。
日本にごまが伝わったのは縄文時代だと言われています。
仏教が伝来し、肉食がタブーとされていた時代も、ごまは肉に代わる高蛋白食品として日本人の食生活を支える役割を担ってきたのです。
また、肉や魚を食べない禅宗のお坊さんが食べる精進料理にごまが多く使われているのは有名な話です。
ごまは4種類あります。
種類 | 特徴 |
白ごま | 小粒で油の含有量が多く、リノール酸が豊富 |
黒ごま | 大粒で油の含有量は少なく、抗酸化作用のあるアントシアニンを含む |
茶ごま | 油の含有量が多いが生産量が少ない |
金ごま | 粒の色が金色に近い |
ごまの栄養
ごまは50%が脂質、20%が蛋白質、残り30%が食物繊維、ビタミン、ミネラルという栄養組成となっています。
ごまには8種類のアミノ酸、リノール酸、オレイン酸、ビタミンB1、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンE、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄分、銅、マンガン、モリブデン、不溶性食物繊維、ゴマリグナンが含まれています。
更に抗酸化成分であるセサミンも含まれています。
ごまには以下のような健康効果に期待があります。
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アミノ酸が豊富
ごまに含まれているアミノ酸は20種類になります。
ごまには含硫アミノ酸のシスチンが豊富に含まれています。
蛋白質の摂取により、免疫強化、抜毛・薄毛の予防、腰痛予防、筋肉痛の軽減、疲労回復効果が期待出来ます。
ごまには蛋白質の代謝に必要なビタミンB6が含まれており、蛋白質の効果を引き出します。
蛋白質は筋肉や骨、皮膚等、体組織を作ることに欠かせません。
筋肉づくりに関与
ごまにはアミノ酸が含まれていることから分岐鎖アミノ酸も含まれ、筋肉の合成を促します。
アミノ酸の中には成長ホルモンの分泌を促すものもあり、成長ホルモンも筋蛋白合成を促進します。
薄毛対策
ごまには亜鉛が含まれ、蛋白質とともに髪の栄養となり、抜毛や薄毛の予防効果に期待があります。
皮膚の形成
蛋白質は皮膚の形成に関わり、成長ホルモン分泌促進作用によって肌の新陳代謝を高めます。
ビタミンEやゴマリグナンには抗酸化作用があり、紫外線から肌を守ることによって皮膚の老化を防ぎます。
リノール酸は細胞膜を作るの必要な脂質です。
マンガンは、マンガンスーパーオキシドジムスターゼ等の酵素の構成、アルギナーゼなどの酵素の活性化を行っており、皮膚の代謝もその一つです。
老廃物排泄
ごまには約12%食物繊維が占めています。
ごまに含まれる食物繊維は不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は善玉菌の餌となり、腸管内を善玉菌優位にさせる働きがあります。
水分と一緒に摂ると便のかさを増し、腸の蠕動運動によって排便を促す働きがあります。
その為、腸管内の老廃物が排泄されることによって腸内環境改善効果に期待があります。
糖尿病、肥満予防
ごまの約50%を占める脂質には必須脂肪酸であるリノール酸が45%、オレイン酸が40%という比率で含まれています。
また、リノール酸はLDLコレステロールを溶かして体外に排出し、オレイン酸はHDLコレステロールの量を減らさずにLDLコレステロールを減らす働きによって、血中コレステロール値の上昇を抑えます。
ごまにはカリウムが含まれ、血液中のナトリウム量が多い場合は、余分なナトリウムを排泄して血圧を正常値になるように調節します。
ごまは食物繊維が豊富なことから、腸管からの余分な糖分の吸収を抑制します。
そして、ごまそのものが低GI食品です。
生活習慣病、癌予防
ビタミンEは抗酸化作用があり、血管壁に付着したコレステロールを除去する働きがあると言われます。
ごまにはビタミンEやゴマリグナンといった抗酸化成分が含まれ、血液中の中性脂肪やLDLコレステロールの酸化を抑制することによって血管壁の硬化や血栓ができることを未然に防ぎます。
また、抗酸化作用は細胞の損傷を防ぐことから、癌予防にも期待があります。
リノール酸やオレイン酸に相乗して、高血圧や脂質異常症、動脈硬化の予防効果が期待出来る上に、にも期待があると言えるでしょう。
骨形成をサポート
ごまにはカルシウム、マグネシウムが含まれているので骨の健康にも役立っています。
カルシウムには骨や歯を形成する働きがあり、更に筋肉の収縮や細胞の調整機能、神経興奮抑制作用もあります。この作用にはマグネシウムやカリウムも関わっています。
また、マグネシウムにはカルシウムを骨に定着させる働きがありますので、骨粗鬆症予防に役立ちます。
ごまにはマンガンも含まれています。
マンガンスーパーオキシドジムスターゼ等の酵素の構成、アルギナーゼなどの酵素の活性化を行っており、骨代謝、糖脂質代謝、運動機能、皮膚代謝等に関与していることから、骨形成をサポートします。
鉄欠乏性貧血予防
ごまに含まれている鉄分はヘモグロビンの原料となり、鉄欠乏性貧血予防に良いとされています。
葉酸は赤血球の核酸の合成に携わります。
銅は鉄代謝に関わることから鉄の吸収を促進させます。
貧血の改善は疲労回復、冷えの改善、免疫力向上に繋がります。
肝機能向上
ゴマリグナンは、セサミン、セサミノール、セサノールなどの抗酸化物質の総称です。
そのうち50~60%をセサミンが占めています。
セサミンの抗酸化作用は、生活習慣病や癌の予防、アンチエイジング効果があると言われています。
ごま油が酸化しにくいのは抗酸化作用があるからなのです。
抗酸化作用にはビタミンCやカテキン、ポリフェノールが有名ですが、これらの抗酸化物質と明らかに違う点を持っています。
ゴマリグナンは血液中では抗酸化作用が働きません。
ところがゴマリグナンの抗酸化作用は肝臓で力を発揮するのです。
また、セサミンにアルコールや脂肪の分解を助ける作用があるので、肝機能維持及び向上という点でも更に肝臓で力を発揮するのです。
メンタルヘルスの向上
セサミンには副腎ホルモンの分泌を促す働きがあるため、精神を安定させる働きがあります。
また、ごまにはトリプトファンという必須アミノ酸が含まれている為、メラトニンの材料となることから不眠効果に期待出来ます。
カルシウムには興奮や緊張の緩和、怒りの鎮静効果があることから、質の良い睡眠とともにリラックス効果も得られるのです。
マグネシウムには興奮抑制、GABAの働きの維持、筋肉の緊張を緩和させる働きがあります。
トリプトファン、ビタミンB6。マグネシウム、鉄分はセロトニンの材料となります。
ビタミンB1は脳のエネルギー源であるブドウ糖を代謝することによって、鬱や怒りの感情を抑える働きや、集中力や学習能力の維持や向上を図る働きがあると言われます。
このようにごまは、身体にも心にも優しい食品なのです。
妊娠の成立
ごまには葉酸が含まれ、葉酸は核酸の形成に必要な成分です。
核酸の形成は細胞分裂を繰り返すことから、胎児の成長に必要不可欠となります。
不妊の問題は女性だけではなく、男性側に原因がある場合もあります。
ごまには亜鉛が含まれ、亜鉛は制刺激ホルモンの分泌に関わり、精子や精液の材料になります。
ごまは、妊娠の成立をサポートする食品であることが言えます。
注意点
ごまを食べる際には以下の点に注意しましょう。
カロリーが高い
ごまは脂肪分が多い食品です。
ごまの健康効果に期待して大量摂取をすれば、ごまは高カロリーであることから、体重増加を招きます。
胃腸トラブルを起している時
ごまは不溶性食物繊維と脂質が豊富に含まれ、胃腸の働きが弱っていたり、消化器系疾患に罹っている場合は注意が必要です。
胃や腸に炎症を起している場合は、胃や腸を傷つけたり、炎症を悪化させてしまう場合があります。
食物繊維や脂質が多いことから消化出来ずにお腹を下してしまうことがあります。
腸閉塞を起している場合は、腸管の狭窄や神経障害を呈していることから、不溶性食物繊維によって腸管を詰まらせる危険性があります。
もし、ごまを摂るのであれば、練りごまから摂り、摂取量を少量に留めておくと良いでしょう。
脂肪制限の指示
ごまは脂肪分が多いことから、膵臓疾患、胆石症等の理由で医師から脂肪制限の指示を受けている場合は、摂取量を控えます。
オメガ6脂肪酸の過剰摂取
ごまに含まれるリノール酸は少量でしたら生活習慣病予防に良いですが、大量摂取は却って逆効果となります。
オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取比率の観点からも、大量摂取は脂肪酸バランスがオメガ6脂肪酸に偏ることになり、脂肪酸摂取比率のバランスの崩れは、体質劣化を引き起こすことによるアレルギー体質に至ることもあります。
ごまには身体に良い成分も数多く含まれていますが、オメガ3脂肪酸を普段から摂ることを心がけましょう。
まとめ
ごまについてまとめます。
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ごまは1日あたり18~20gが適量で、大匙2杯分の量になります。
ごまは料理の使い道の幅が広く、和え物やサラダ、炒め物、お菓子作り等汎用性があります。
普段の食事に取り入れ、身体と心の健康に役立てましょう。