セロトニンは、脳内の神経伝達物質の一つです。セロトニンは90%が腸に存在しており、8%が血液中の血小板に、2%程が脳の中枢神経に存在しています。
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感情や欲望をコントロール
セロトニンはドーパミンとノルアドレナリンが過剰分泌されないようにコントロールする働きを持っています。
ドーパミンは神経伝達物質の一つで嬉しさ、快感、意欲等の感情源です。
ノルアドレナリンは緊張感や集中力を高め、ストレスに打ち勝つ力を与え、心拍数や血圧を上げる働きもあります
これらは人間にとって必要なものですが、ドーパミンの過剰分泌は過食やアルコール依存など欲望のコントロールがしにくくなり、ノルアドレナリンの過剰分泌はパニックやヒステリーなど、感情の抑制が効かなくなります。
セロトニンは長期にわたるストレスや自然光を浴びることが少なくなると、不足してしまうことがあります。セロトニン不足は睡眠の質やストレスへの抵抗力が低下しやすくなります。
それでは、セロトニンを増やすには日常生活でどのような事を心がければ良いのでしょうか?
セロトニンを増やす方法1 適度な運動
セロトニンを増やすには、適度な運動をして体を動かすと良いとされています。
好きなスポーツやダンスなどのリズミカルな運動、ウォーキングなどの有酸素運動がお勧めです。有酸素運動はセロトニンを増やす方法として有効的と言われています。
一方、運動強度が強いものはセロトニンがあまり分泌されないのです。
セロトニンを増やす方法2 緊張感から解放する
体を緩めることもセロトニンを増やします。
例えばマッサージを受けると心身ともにリラックスすると呼吸が深く、ゆっくりとなるため、リラクゼーション効果によりセロトニン分泌が促されます。
ストレッチには筋肉を緩める効果があります。
筋肉が硬化すると自律神経の乱れの原因となります。
ストレッチを行う時、呼吸を意識して行うと筋肉を緩める効果を更に高めることが出来るでしょう。
セロトニンを増やす方法3 日光浴
メンタルを整えることもセロトニンを増やします。
セロトニンは太陽光を浴びることで分泌が促進されます。
太陽光の紫外線にはビタミンDを生成する働きがありますので、程度に陽当たりすることにより、ビタミンDはセロトニンの分泌を促してくれるのです。
そして朝に日光浴をすると日周リズムが整い、朝の目覚めも良くなります。
このように生活習慣を改善することにより、自律神経が整い、セロトニンを増やすことに繋がります。
質の良い睡眠に繋がる
セロトニンはメラトニンの材料にもなります。
セロトニンが増えることによってメラトニンの分泌量が増えます。メラトニンは深い睡眠を促進する働きがあるので、質の良い睡眠を得ることが出来ます。
セロトニンを増やす栄養素
セロトニンを増やすにはセロトニンを生成する栄養素を摂る事も大事です。
セロトニンを体内で生成するには、必須アミノ酸のトリプトファン、ビタミンB6、炭水化物が良いとされています。
トリプトファンを多く含む食べ物は、大豆製品、乳製品、卵、肉類、マグロやカツオなどの赤身魚、青魚といった蛋白源が挙げられます。
ビタミンB6を多く含む食品には、青魚、肉類、とうがらし、にんにく、バナナ、豆類、種実類が挙げられます。炭水化物は穀類、芋類、果実類が挙げられます。
セロトニンの生成にトリプトファンが必要なことは知られていますが、これは炭水化物も一緒に摂ることが意味をなしています。
炭水化物とインスリンは密接な関係があり、インスリンによってトリプトファンが脳内に運搬されます。
また、トリプトファンと炭水化物を一緒に摂ることによってトリプトファンが他のアミノ酸によって吸収が阻害されることを防ぎます。
炭水化物が脳で利用されるには、ビタミンB1を一緒に摂るとブドウ糖が脳の栄養としての発揮できるようにサポートします。
これらと併せて血管を修復する働きのあるオメガ3脂肪酸を摂ると良いでしょう。
オメガ3脂肪酸はナッツ類、えごま油、アマニ油、青魚に含まれています。
また、ナイアシンはトリプトファンの材料となることから、ナイアシンも摂ることも心がけると良いでしょう。
ナイアシンそのものにも鎮静効果やリラクゼーション効果があると言われます。
セロトニン生成にはマグネシウムも関わっている
マグネシウムもセロトニン生成に関わっていると言われています。
マグネシウムが不足すると、イライラしやすくなり、神経過敏になります。そして精神疾患を起こしやすくなります。
脳や神経機能を正常に保つ働きのあるビタミンB1を組み合わせて摂取すると精神面での健康維持に効果が期待されます。
マグネシウムは主に海藻や大豆製品に含まれ、ビタミンB1は肉類、玄米、小豆に含まれています。
ちなみにピタヤにはマグネシウムもビタミンB群も豊富に含まれています。
セロトニン生成には鉄分も関わっている
鉄分もセロトニン生成に関わっていると言われています。
鉄分は小腸で吸収された後、鉄輸送蛋白質であるトランスフェリンと結合して、骨髄へ運ばれた後、赤芽球上にあるトランスフェリン受容体と結合して取り込まれ、赤血球が作られます。
120日の寿命を過ぎた赤血球の一部はフェリチンとなって貯蔵され、セロトニンの材料のトリプトファンの変化の過程で利用されます。
甘いものの摂りすぎに注意!
ただし、炭水化物でも砂糖の過剰摂取には気を付けましょう。砂糖の多い甘い物は内臓の働きを弱めてしまいます。
セロトニンの働きを弱めてしまうものにはカフェインがあります。
カフェインには覚醒効果によって、夕方以降摂取してしまうと睡眠の質を下げてしまう場合があります。
カフェインの過剰摂取により軽い鬱症状を起こすこともあります。
セロトニン過剰症候群
一方で、「セロトニン過剰症候群」というセロトニン濃度が過剰になることによって引き起こされる病状があります。
症状として、一般的に鬱病の治療に使われるセロトニン作動系の薬品や他の薬剤との相互作用が考えられます。不安やイライラ、震顫、発熱、下痢などの不調が現れます。
鬱病の薬に限らず、抗精神薬は副作用や相互作用に細心の注意が必要なので、主治医からの指導のもと、用量、用法には必ず注意しましょう。
まとめ
鬱病を予防するためにも、セロトニンが不足しないように、普段から生活リズムを整え、適度な運動、バランスの良い食事を心がけると良いでしょう。