ダイエットや筋肉づくり、癌やCOPDの食事療法に注目の「BCAAとMCT」

BCAA(分岐鎖アミノ酸)と中鎖脂肪酸の組み合わせは、高齢者のサルコペニア・フレイル対策として注目されています。

 

BCAAの効果とは?

BCAAとは必須アミノ酸の中のバリン、ロイシン、イソロイシンをさします。

BCAAは運動時、筋肉の中でエネルギー源となり、筋蛋白質中に非常に多く含まれています。

運動時のBCAA摂取に期待される効果として「筋蛋白質合成促進」「筋蛋白質分解抑制」「筋損傷軽減」が挙げられます。

また持久運動能力の面でも有効であり筋肉中のグリコーゲン節約、乳酸産生抑制といった効果も期待されます。

そこに中鎖脂肪酸と組み合わせると相乗効果が表れるのです。

中鎖脂肪酸はここ最近注目されるようになりましたが、それまでは病院食の中の腎臓病食の蛋白制限によるエネルギー不足を中鎖脂肪酸入りの補助食品で補うことで使用されていました。

 

中鎖脂肪酸との組み合わせ

中鎖脂肪酸は早くエネルギーとして利用されやすい性質があります。

まず、これが中鎖脂肪酸が肥満になりにくいと言われている理由の一つです。

そしてグレリンを活性化する働きがあります。

「グレリン」というのは蛋白同化を促すホルモンであり、中鎖脂肪酸を摂取することによって蛋白同化を増強します。

この蛋白質がBCAAの場合、筋蛋白質合成促進効果を更に増強させるのです。



 

BCAAとMCTの組み合わせのニーズは幅広い

BCAAとMCTの組み合わせを考慮した栄養管理とリハビリの組み合わせは、高齢者のサルコペニア・フレイル対策に有効であり、老いても自分の足で歩ける身体を作っていきます。

BCAAとMCTの組み合わせは「筋蛋白質合成促進」「筋蛋白質分解抑制」に更に効果的であることから、運動と組み合わせると痩せ体質を作っていきます。

食事によって摂取されたエネルギーが筋肉内で上手く活用するにはビタミンB群を摂取することが大切ですが、この適切な栄養管理を行うことによってエネルギーを効率よく消費していくのです。

なので、体脂肪増加が気になった場合は体質改善の効果の期待できるところです。

また、ダイエットのために運動した場合、運動量が激しいと乳酸脱水酵素(LDH)が上昇します。

しかし、BCAAを補給することによりLDHの上昇が8割ほど抑えられるので、疲労感がある程度抑えられます。

成長期のお子様にとってもBCAAとMCTは良い組み合わせです。また成長期の子供は部活で激しく体を動かします。

激しい運動をするとLDHの他にクレアチニンキナーゼ(CK)が上昇し、筋損傷へと繋がっていきます。

また、骨の成長と筋肉の合成のアンバランスによって筋損傷を起こしやすくなります。

そこで筋肉の合成に必要なBCAAとMCT、骨の成長に必要な栄養素を不足なく摂る事を必要としています。

 

BCAAは医療現場で需要が高い

BCAAはサルコペニアフレイル対策の他にも様々な疾患において重要なアミノ酸です。

その一つとして肝硬変があり、肝硬変は代償期と非代償期から分類されています。

代償期の時は比較的肝機能が保たれていますが、非代償期となると、黄疸、腹水、浮腫、出血傾向、消化管出血、肝性脳症等の症状を呈し、深刻な状況に陥ります。

肝硬変が非代償期へ移行すると血中アンモニア値が上昇し、蛋白質の制限が必要となる為BCAAが摂取しづらくなります。

また、フィッシャー比が上昇し、芳香族アミノ酸比率が上がってしまう為、BCAAの補給が必要となります。

この対処法としてアミノレバンを処方するか、もしくは肝不全用の栄養補助食品(クリニコのへパス)を活用してBCAAを補給します。

肝硬変非代償期の他にもCOPDや癌、カヘキシア(心不全末期に起こる症状)にもBCAAは医療現場において重要な役割を占めます。

これらの疾患の栄養管理方法は当然一律ではないですが、共通する部分として「筋蛋白の減少が著しい」という特徴がありアミノ酸の補給を要求される状況です。

そしてるい痩の方が多いことから、高カロリーのエネルギーが必要となり、そのエネルギー補給としてMCTオイルが用いられます。

早期な栄養管理によって進行をある程度抑えられますが、病気が病気だけにあって最終的にはエンドステージに進んでしまいます。

エンドステージとなると栄養管理による改善はほぼ不可能な為、ターミナルケアに移行し、可能な限り苦痛緩和の為のケアを行います。

 

高齢者が効率よくBCAAを摂るには?

BCAAを効率よく摂取するには動物性蛋白質から摂取すると効率よく摂れます。

また高齢者では一度に沢山の食事量が摂れないので、栄養補助食品を活用することをお勧めします。

クリニコのリハたいむゼリー、エンジョイカップゼリー、明治のリハサポートなどが該当します。

日清オイリオのプロキュアはBCAA、MCTの両方が含まれているので効率的に栄養が摂れます。

値段は高いですがヘルシーフードのリピメインは高カロリーでBCAA、MCT、ビタミンB群を含み、食欲低下が見られる方や、COPDをはじめとする呼吸器疾患を持っている方には特にお勧めです。







 

BCAA摂取の工夫

健康な方は通常の食品から摂取して問題ありません。

主に動物性食品に多く含まれますが、動物性食品は摂りすぎると腸内環境悪化に繋がりかねません。

大豆製品等の植物性のものと併せて蛋白質を補給しましょう。

動物性蛋白質が苦手な場合にはスーパーフードのヘンプシードを活用すると良いでしょう。

またチアシードも使うことによって蛋白質を補給することが出来ます。

チアシードにはマグネシウムも含まれているので、血中に流れ出たカルシウムを骨に定着させる役目があります。

モリンガやスピルリナにもBCAAが含まれています。

中鎖脂肪酸はココナッツオイルやマクトンオイルから摂れるのはご存知ですが、身体に良いからといって無暗矢鱈に摂り過ぎてもお腹を壊す等過剰摂取による害を起こす為、摂りすぎに注意しましょう。

 

まとめ~プラスαに…~

適度に日光浴を行うと体内にビタミンDが生成され、骨の形成を助長します。

BCAAとMCTの組み合わせは、太りにくい身体づくりにも期待できます。

人生の最期まで自分の足で歩ける身体作りは介護予防に繋がり、自由な人生を長く過ごせるための一つのきっかけになるかもしれません。

 
栄養相談、サポート詳細
 

関連記事

最近の記事

  1. 大豆の大量摂取が甲状腺に影響を及ぼす…ゴイトロゲンとは?

  2. 強い抗酸化作用が秘められる「チコリ酸」

  3. いくら食べても太らない…隠れ肥満とサルコペニアのリスクの低減を図るには?