亜鉛は体内に2000㎎存在し、主に骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓等に分布されます。
亜鉛は皮膚の創傷治癒に役立つことから、医療現場で注目されています。
亜鉛の皮膚の修復作用には身体を構成する働きが携わっています。
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総論
亜鉛は体内に2000㎎存在し、主に骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓等に分布されます。
亜鉛の生理機能は、蛋白質との結合によって発揮され、触媒作用、構造の維持作用、調節作用に大別されます。
亜鉛の恒常性は、亜鉛トランスポーターによる亜鉛の細胞内外への輸送とメタロチオネインによる貯蔵によって維持されます。
亜鉛トランスポーターは細胞内シグナル伝達と代謝調節を介して、亜鉛の多くの生理機能に関わります。
亜鉛の腸管吸収率は約30%とされますが、摂取量によって変動します。また、吸収過程で2個の陽イオンである鉄や銅などと拮抗します。
亜鉛の排泄は、未吸収の亜鉛や朝刊粘膜の脱落、膵液の分泌に伴う体内亜鉛の糞便中への排泄によって行われます。亜鉛の尿中排泄量は少なく、摂取量に関わらず一定です。
亜鉛の主な働き
亜鉛の働きには次のものがあります。
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構造維持と核酸の合成
亜鉛はジンクフィンガーという4つの結合手により蛋白質やRNAなどを結び付けて立体構造を構築する働きがあります。
このように亜鉛には構造維持の働きがあるのです。
ジンクフィンガーは転写の過程でその調節に関わる転写調節因子の中に存在しています。
転写因子がDNAと結合すると細胞分裂が行われます。
亜鉛は細胞分裂が活発な部位に多く存在し、細胞分裂を正常に行うことに関与しています。
核酸にはDNAとRNAがあり、DNAは遺伝情報を格納し、RNAは遺伝情報の伝達や蛋白質の合成等に働きます。
DNAの複製においてDNAが進展する働きを活性化する酵素としてDNAポリメラーゼがあります。
また、RNAの合成に関してもその働きを活性化させる酵素であるRNAポリメラーゼがあります。
亜鉛はこの2つの酵素を活性化させる働きによりDNAとRNAの合成に関与しているのです。
この、核酸の合成を促すことによって細胞分裂を正しくさせます。
細胞分裂は、成長期において重要であり、亜鉛が不足することによって、成長が遅延してしまう場合があります。
更に亜鉛は、mRNAから生成されるスパイク蛋白質からの影響を大きく抑制すると言われます。
活性酸素除去酵素の構成成分
亜鉛は活性酸素を除去するスーパーオキシドディムスターゼ(SOD)と呼ばれる活性酸素除去酵素の構成成分です。
その為抗酸化作用に大きく関わります。
活性酸素は本来、身体に入ってきた細菌やウィルスなどを攻撃して身体をまもってくれるものなのです。
活性酸素は増え過ぎてしまうと過酸化脂質の産生により生活習慣病や癌、老化を招いてしまいます。
体内には活性酸素を除去する様々な種類の活性酸素除去酵素が存在し、その中にはSODも存在しています。
亜鉛は活性酸素の除去を、除去酵素の構成成分の一つとしてサポートしているのです。
男性ホルモンの生成
亜鉛は精液をつくる前立腺や精子、男子ホルモンのテストステロンをつくる精巣に多く存在しており、精子や精液、男性ホルモンの生成に関係しています。
また、精子や男性ホルモンの分泌を促す性腺刺激ホルモンにも関与しています。
そして、男性由来の不妊症改善にも役立つと言われます。
亜鉛にはこの他にも男性に嬉しい働きがあります。
亜鉛は5αリダクターゼの結合を抑制することによって、薄毛や円形脱毛症の進行を抑制させるそうです。
皮膚の形成
亜鉛は皮膚の生成、維持に非常に重要な役割を担っています。
そのため褥瘡をはじめとする創傷治癒に必要不可欠です。
亜鉛不足は創傷の治癒を遅らせ、皮膚の脆弱化を招いてしまいます。
褥瘡患者は必要な栄養素を十分に補給することによって皮膚症状が改善に向かいます。
その為には亜鉛も必要な栄養素であり、更にビタミン類、鉄、アルギニン、カルシウムなどの補給も必要になってきます。
アルコール代謝
亜鉛はアルコール脱水酵素の構成成分としてアルコールの代謝に関わります。
アルコール脱水酵素はアルコールの摂取によって産生されたアセトアルデヒドを、無害な酢酸に代謝する働きがあるのとのです。
免疫機能
亜鉛には免疫の主役となるT細胞やNK細胞の働きにも関係しています。
T細胞の胸腺ホルモンのチルミンを活性化させることに亜鉛が関与しているそうです。
抗酸化作用に関わることから、亜鉛は細胞性免疫機能に重要な役割を果たします。
亜鉛の摂取が風邪を引きにくくするという報告が数例あるようです。
糖尿病予防
亜鉛はインスリンの構成成分としても働きます。
糖尿病の予防に直接的ではありませんが、インスリン不足を起こさないように間接的に血糖値の維持をサポートしています。
甲状腺機能維持
甲状腺ホルモンのうち、FT3の合成に亜鉛が関わっています。
その為、甲状腺が正常に働かないには、亜鉛不足が疑われます。
味覚を正常に保つ
亜鉛が不足すると味覚障害が起こります。
舌の表面には味蕾という味を感じ取る部分があります。
味蕾は他の細胞より、早く細胞が生まれ変わります。
亜鉛は細胞分裂に関わるミネラルです。
細胞の新陳代謝が速い味蕾では、細胞が生まれ変わる時に、より多くの亜鉛が必要になります。
亜鉛が不足すると、細胞の生まれ変わりについていけなくなり、味蕾が正常に形成できないことから、味覚障害を引き越します。
欠乏症上及び過剰摂取障害
亜鉛欠乏の症状は、皮膚炎や味覚障害、慢性下痢、低アルブミン血漿、汎血球減少、免疫機能障害、神経感覚障害、認知機能障害、成長遅延、性腺発育障害、甲状腺機能低下症等です。
亜鉛欠乏の原因として、亜鉛非添加の高カロリー輸液施行の継続によるもの、吸収障害を伴う疾患に対する経腸栄養施行によるもの、低亜鉛濃度の母乳や経腸栄養剤での栄養管理の場合に報告されています。
亜鉛は通常の食事において過剰摂取が生じることはありません。サプリメントや亜鉛強化食品の不適切な利用によって過剰摂取による健康障害が生じる可能性があります。
亜鉛を含む食品
亜鉛を含む食品には、牡蠣、マカ、種実類、大豆製品、海草類、乾物野菜、牛肉、レバー、乳製品、小麦胚芽等があります。
まとめ
最後に亜鉛の働きについてまとめます。
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この亜鉛の働きには解媒作用、構造の維持、調節作用が絡んできます。
身体の至るところに存在して、沢山の役割を持っていることから、摂取不足にならないようにしましょう。