味覚には甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の五味が基本となっています。
このうち、旨味は19世紀になってから化学的に立証されるようになりました。
日本のだしは世界文化遺産にも登録され、和食の土台となっています。
Table of Contents
だしの分類
旨味と呼ばれるものには、アミノ酸系、核酸系、有機酸系の3つの分類があります。
アミノ酸系
アミノ酸系は蛋白質を構成する物質であり、蛋白質には約20種類ものアミノ酸が多数結合しています。
消化過程でポリペプチド、ジペプチド、トリペプチドを経て、最小単位に切断されてアミノ酸となります。
蛋白質そのものには味がないものの、アミノ酸にはそれぞれ、旨味を感じるもの、甘味を感じるもの、苦味を感じるものがあります。
この中で旨味を感じるものがグルタミン酸、アスパラギン酸です。
グルタミン酸を含むものには昆布、トマト、肉類、醤油、味噌があります。
アスパラギン酸を含むものにはアスパラ、肉類があります。
核酸系
核酸はヌクレオチドとも呼び、リン酸を含んだ物質を言います。
有酸素運動時においてクエン酸回路では、アデノシン三リン酸が産生されます。
このアデノシン三リン酸が酵素により分解されるとイノシン酸が生成されます。
イノシン酸は肉類や魚類に含まれます。
煮干しやかつおから採るだしもイノシン酸によるものです。
イノシン酸は時間が経過するとヒポキサンチンに変化し、腐敗します。
そのため、だし汁は長期保存が効かないと言われます。
核酸系にはもう一つの旨味成分があります。
それが「グアニル酸」です。
グアニル酸は干し椎茸から採れるだしです。
干し椎茸から出しを採る時に一度水に浸します。
この時、リボ核酸が水分に抽出されます。
一日から二日間かけるとしっかり旨味が抽出されます。
加熱時は、60~80℃の温度帯で20分程加熱します。
これにはリポ蛋白分解酵素が働いてグアニル酸に変化するためです。
しかし、45~60℃の温度帯の時に、ヌクレオチド分解酵素が働いて、折角のグアニル酸をグアノシンに変えてしまう為、リポ蛋白分解酵素が働く温度帯に達するまでは出来るだけお湯の温度を早く上げます。
そのため、45~60℃の温度帯の時に弱火で煮込むことがないようにしましょう。
グアニル酸は、干し椎茸の他にもカニやうににも含まれます。
有機酸系
有機酸は炭素を含まない炭素化合物のことを言います。
有機酸系には、酢酸、コハク酸、クエン酸、乳酸等があります。
酢酸は酢、漬物に、コハク酸は貝類、クエン酸はレモンなどの柑橘類、キウイ、イチゴ、酢、アセロラなどに含まれ、乳酸は味噌、醤油、漬物に含まれます。
旨味の相乗効果
旨味の中でも、アミノ酸系と核酸系を組み合わせると旨味の相乗効果を発揮します。
その組み合わせには次のものが挙げられます。
|
だしの中でも鰹節は発酵食品
日本の出し汁が発酵食品と言われるのは、鰹節が使われているからです。
鰹を煮て骨を摂り燻製させた後、表面を削ってカビ付けし、天日干しをします。
これによって「本枯節」が出来上がります。
このカビ付けにコウジカビの一種であるユーロティウム・ハーバリオラムを繁殖させて発酵させます。
因みに燻煙させた段階のものを「荒節」と言い、こちらは発酵食品ではありません。
和の出し汁が発酵食品と言われるのは、このような行程があるからです。
まとめ
日本のだしは旨味だけではなく、発酵食品としての役割もあり、腸活をサポートする食品と言えます。
それは世界文化遺産として位置づけられるほど、優秀なものと言えるのでしょう。