日本脳炎の予防効果に期待のある「ロスマリン酸」

ロスマリン酸はシソ科ハーブ類の植物に含まれるポリフェノールの一種です。

ロスマリン酸は1958年に2人のイタリア人研究者によってシソ科ハーブ類のローズマリーから発見されました。

その為、ローズマリーの名前に由来して「ロスマリン酸」と名前が付いたのです。

ロスマリン酸は、カフェイン酸がエステル結合で2つ繋がった構造をしており、タンニンにも似た健康作用をもつ天然の抗酸化物質です。

近年ではローズマリーの抽出物を原料としたサプリメントもあり、手軽にロスマリン酸を摂取することが出来ます。





 

ロスマリン酸に期待する効能

ロスマリン酸には沢山の効能があると言われ、主に次のようなものがあります。

  • 認知症予防
  • 学習能力、記憶力の低下防止
  • 鬱や不安の緩和
  • 日本脳炎の予防
  • 抗酸化作用、抗炎症作用
  • 糖尿病予防…等

 

認知症予防

ロスマリン酸は認知症予防効果があることが示されています。

認知症で特に発症が多いものがアルツハイマー型認知症をはじめ、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、脳血管性認知症が主な認知症です。

このうちアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症はロスマリン酸によって認知機能の低下を防ぐと言われています。

また、脳の健康を維持し、脳機能低下予防にも役立ちます。

アルツハイマーは脳内に毒性の高いアミロイドβペプチドの凝集体が蓄積することにより、神経細胞死が生じ、記憶や認知力が低下する病気です。

また、神経伝達物質のドーパミンの低下は高齢者やアルツハイマー型認知症に見られると言われます。

ロスマリン酸は脳内でドーパミン関連物質を活性化させ、これによってアミロイドβペプチドの凝集を抑制させる働きがあることが解明され、アルツハイマー型認知症の予防に有効的と言われています。

レビー小体型認知症はリン酸化したαシヌクレインが凝集・蓄積し、不溶性の繊維となってレビー小体を形成することによって起こります。

αシヌクレインとは、主に神経細胞のシナプス前週末に発現している蛋白質であり、レビー小体の形成によりレビー小体型認知症やパーキンソン病、多系統萎縮症等の疾患に罹患してしまいます。

ロスマリン酸にはαシヌクレインの蓄積を防ぐ働きがあります。その為、レビー小体型認知症の予防に役立つと言われます。

ロスマリン酸はアセチルコリンを分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼの働きを抑える為、認知機能の低下を防ぐ為、認知症予防効果が期待出来るのです。

 

学習能力、記憶力の低下防止

ロスマリン酸にはドーパミン量を増やし、アセチルコリンエステラーゼの働きを抑えることから、認知症予防効果の他にも、学習能力、記憶力、意欲、集中力、注意力等の低下を防止する働きがあると言われます。

 

鬱や不安の緩和

ロスマリン酸はうつや不安の症状を軽減する働きがあります。

うつや不安の原因は脳の萎縮や代謝異常、機能障害が関わっています。

しかし脳内における神経伝達物質のセロトニンやドーパミンが不足すると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまい、副交感神経優位に偏ることで自律神経失調が起こります。

その為、喜怒哀楽や恐怖、社会的情動(感謝、羞恥心、プライド等)のコントロールが効かなくなり、うつや不安症状が現れます。

ロスマリン酸にはこのような症状を緩和する働きがあることが明らかになっています。

 

日本脳炎の予防

ロスマリン酸には脳の酸化ストレスを減らす働きがあると言われています。

脳は酸素を多く必要とする器官である為、酸化ストレスを受けやすく、脳神経や脳組織の障害を引き起こし、老化を加速させてしまいます。

更に活性酸素が増えてしまうと炎症を引き起こしてしまいます。

ロスマリン酸の酸化ストレス軽減作用によって、脳におけるストレスを減らし、脳の炎症疾患である日本脳炎を予防する効果があると言われています。

 

抗酸化作用、抗炎症作用

ロスマリン酸には抗酸化作用や抗炎症作用があり、アレルギー疾患を和らげる効果があると言われます。

また、ヒスタミンの遊離の放出を抑える働きもあるため、皮膚の炎症、痒み、鼻炎、喘息を抑えます。また、花粉症やアトピーの症状、関節炎の症状を緩和する働きもあるのです。




 

糖尿病予防

ロスマリン酸には、食後血糖上昇に関わる酵素のαグルコシターゼを阻害する作用とインシュリン感受性改善作用により、食後の急激な血糖上昇を予防します。

その為、糖尿病予防効果に期待があると言われます。

 

その他の効能

ロスマリン酸にはその他に、抗菌、抗ウィルス作用、生体膜の酸化予防、アテローム性動脈硬化症のリスク減少、消化器潰瘍、白内障予防及び軽減等の効果があると言われます。

 

ロスマリン酸を含む食品

ロスマリン酸を含む食品は、スペアミント、ローズマリー、しそ、レモンバーム、ミント、タイム、セージ、スイートバジルのハーブ類に含まれます。

また、オメガ3脂肪酸が豊富なえごま油にも含まれています。

えごま油から摂取する場合は、魚のようなにおいがあるものは変質してしまい、酸化してしまっている可能性があります。

品質には十分に注意を払い、良質なものを選んで摂取しましょう。


 

まとめ

ロスマリン酸の働きについてまとめます。

  • 認知症予防
  • 学習能力、記憶力の低下防止
  • 鬱や不安の緩和
  • 日本脳炎の予防
  • 抗酸化作用、抗炎症作用
  • 糖尿病予防…等

ロスマリン酸は脳機能向上を中心に糖尿病の予防にも期待のある成分です。

えごま油から摂取する場合は製造方法が低温圧搾法によって作られているものかを確認し、新鮮なものを選ぶようにしましょう。

 
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