粟はイネ科アワ属に分類される一年草木で、穂が長大で下垂しているオオアワと、穂が短小で直立しているコアワがあります。
日本で栽培されているものの多くはオオアワです。
粟の原型は、道端や農地で見かける雑草のエノコログサと推定されています。
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粟の歴史
粟の原産地は中央~東アジアとされていて、シベリア、オーストラリアを経てヨーロッパへ既に石器時代に伝わったと見られています。
ヨーロッパではイタリア、ドイツ、ハンガリー等で栽培され、アメリカへは初期住民がヨーロッパから伝えて少量栽培していました。
その後1849年からアメリカでの栽培が推奨され、20世紀にはアメリカの雑穀の90%をアワが占めるようになりました。
日本へは朝鮮を経て最も古く渡来し、縄文時代には既に栽培されていたようです。ヒエと並んで最古の作物であり、イネ伝来以前の主食であったと見られています。
粟の栄養
粟には食物繊維、ビタミンB群、ビタミンE、ミネラルが豊富に含まれています。
粟には次のような健康効果に期待があります。
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腸内環境改善
粟には不溶性食物繊維が豊富に含まれています。不溶性食物繊維には便秘解消、有害物質の排泄効果があります。
水分と一緒に摂ると便のかさが増し、デトックス効果が更にたかまります。
その為、腸内環境改善効果があると言われ、腸内環境が改善することによって様々なメリットをもたらします。
三大栄養素の代謝
粟にはビタミンB群であるB1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸が含まれ、炭水化物、脂質、蛋白質を体内でエネルギーに変換させて利用する働きがあり、肝機能強化にも良いとされています。
粟にはマグネシウムが含まれている為、マグネシウムが酵素を働かせることにより、炭水化物、脂質、蛋白質の代謝をサポートします。
粟には蛋白質が含まれます。ビタミンB6は蛋白質の代謝に関わり、蛋白質を体内でエネルギーに変えたり、筋肉や血液が作るのに重要な働きをします。
脳機能向上
粟に含まれるナイアシンとビタミンB6、鉄分、マグネシウムはセロトニンの材料となります。
パントテン酸はストレスを緩和させるとのことです。
カルシウム、マグネシウムには鎮静作用があり、抗ストレス効果があると言われます。
また、糖質の代謝に主に携わるビタミンB1が含まれていることから、脳の栄養源となり、脳機能向上や心機能の安定を図ると言えるでしょう。
抗酸化作用
粟にはビタミンEが含まれ、抗酸化作用があります。
活性酸素を抑え、過酸化脂質の産生を抑制し、血管にアテローム形成されるのを抑制することから、動脈硬化等の生活習慣病予防効果があるとされ、細胞の損傷防止による癌予防、紫外線から肌を守ることによるアンチエイジング効果が期待されます。
出産時の栄養
粟に含まれる葉酸は、細胞の生まれかわりに関わります。葉酸は妊婦に必要な栄養素であり、細胞増殖が盛んな胎児が正常に発育する働きがあります。
不足すると妊娠初期の胎児に影響を及ぼし、神経管閉鎖障害のリスクが高まります。
粟には亜鉛が含まれ、精子や精液の材料として利用されることから精子の発育に携わります。
粟には男性、女性ともに出産に必要な栄養素が含まれているのです。
その他の効能
粟には豊富なミネラルが含まれ、上記に挙げた以外にも沢山の効能に期待があります。
貧血予防
粟には鉄分が比較的多く含まれ、葉酸とともに赤血球をつくり出すのに必要な栄養素な為、貧血予防効果が期待出来ます。
骨や葉を丈夫にする
粟には、骨の形成に関わるカルシウム、マグネシウム、リンが含まれています。
カルシウムは骨や歯を作るのに欠かせませんが、マグネシウムにはカルシウムを骨に定着させる働きがあるので、カルシウムをサポートします。
血液凝固
カルシウムは、血液を凝固させることによって傷口を治す働きがあります。
神経の働きに作用
カルシウム、蛋白質、ビタミンB6等によって筋肉の運動や神経の働きにも作用します。
味覚障害の予防
粟には亜鉛が含まれていますので、味覚障害の予防に役立ちます。
皮膚の健康を保つ
ビタミンB群は皮膚の粘膜の健康維持に役立っています。
粟には蛋白質や鉄分、亜鉛、カルシウムも含まれているので、皮膚の創傷の修復をサポートします。
生活習慣病予防
粟にはカリウムが含まれています。
カリウムは細胞内に存在し、ナトリウムとバランスを取りながら血圧が上昇しないようにコントロールしています。
パントテン酸は動脈硬化の予防に役立ちます。
まとめ
粟の効能についてまとまめす。
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粟はミネラル豊富な穀類の一つです。
現代人に不足しがちなビタミンB群やミネラルの補給源となるため、御飯と一緒に炊く等して日常の食生活に取り入れましょう。