イソフラボンとはポリフェノールの一種で大豆の芽である胚軸に特に多く含まれるえぐみ成分の一つです。
大豆イソフラボンは、豆腐や味噌、納豆等大豆製品に含まれる成分であり、蛋白質が豊富なうえ、美肌効果、コレステロール値上昇抑制、骨粗鬆症予防の働きがあると言われます。
イソフラボンは女性ホルモンに似たような働きをする為、フィトエストロゲンとも呼ばれています。
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イソフラボンの種類
実は大豆イソフラボンには「グリコシド型」と「アグリコン型」が存在しているのです。大豆イソフラボンは糖と糖が結び付いた構造をしています。
グリコシド型
グリコシド型は、胃内では糖が付いたままなので吸収されません。
そのまま小腸に運ばれ、腸内細菌の酵素によって分解されることによって、糖が外れはじめます。
そして糖が外れたグリコシド型大豆イソフラボンは小腸にて吸収されます。
アグリコン型
アグリコン型はグリコシド型と違い、糖が外れた構造をしている為、胃や小腸から確実に吸収されます。
このアグリコン型は更に細かく分けると、グリシテイン、ダイゼイン、ゲニステインの3種類に分かれているのです。
この3種類はエストロゲン様作用が異なり、グリシテインはエストロゲン様作用が殆どなく、ダイゼインは弱く、ゲニステインは強く現れます。
このアグリコン型は大豆イソフラボンの抽出部分によって含有量が変わります。
大豆胚芽から抽出されたイソフラボンにはダイゼインの割合が約70%であり、丸大豆から抽出したイソフラボンにはゲニステインが50%、ダイゼインが40%という違いがあります。
エストロゲン様作用
イソフラボンの効能はエストロゲン様作用があると言われます。
エストロゲンとプロゲステロンはお互いバランスを取り合っている関係です。
エストロゲンはコラーゲンやヒアルロン酸等の美容成分の生成促進、食欲抑制、脂肪燃焼促進効果、骨を蓄える働き、自律神経を整える、HDLコレステロールを増やしLDLコレステロールを取り除く働きがあると言われます。
一方プロゲステロンは受精卵を子宮膜に着床させる働きがあり、これに伴い体温上昇、食欲増進、水分保持の作用があると言われています。
エストロゲンとプロゲステロンのバランスが保たれていると、ホルモン分泌の周期が整っている為、月経リズムも正常となります。
更年期における症状を抑制
40代を過ぎると女性ホルモン分泌量が急激に減少し、このホルモンバランスの崩れによって様々な症状を呈し、症状が重い場合は更年期障害となります。
エストロゲンの分泌量低下によって、生理不順、骨密度低下、脂質異常症、動脈硬化等の症状を呈します。
イソフラボンを摂ると生理周期の改善、骨密度低下を防ぐ、美肌効果、生活習慣病予防に良いと言われていますが、イソフラボンが持つエストロゲン様作用によって更年期症状や更年期障害の症状を抑制する為、これらの効能が得られると考えても良いでしょう。
また、大豆にはマグネシウムが含まれている為、エストロゲン様作用に加えてマグネシウムが持つ骨形成作用によって骨密度が維持されると言われます。
ホルモン分泌低下の様々な理由
ホルモン分泌低下の原因には年齢による女性ホルモン分泌低下以外に、ストレス、過度なダイエット、過労、肥満、睡眠不足、冷え、卵巣の疾患等があります。
これらについては一括にイソフラボンで対応というよりは症状別に対応を行います。
例えば、冷えや血行不良がある場合は身体を温める食材を摂取したり、身体を温める工夫をする、ストレスについてはトリプトファンやビタミンB6の摂取や日光浴及び休養というようにそれぞれの症状に応じて対処します。
食生活においても大豆製品を少なくとも1日1回取り入れることを心がけ、バランスが取れた健康的な食事を摂ることを心がけます。
原因が疾患に由来するものや、それでも改善されない場合は病院で診てもらうと良いでしょう。
男性の悩みにも…
イソフラボンは男性ホルモンの分泌作用を抑える作用があると言われます。男性の悩みである薄毛を抑え、更に体臭を抑制すると言われます。
注意点
イソフラボンは更年期における様々な症状に効能があり、美容効果に期待してしまうとうっかり過剰摂取してしまうことがあります。
ホルモンバランスを乱す
イソフラボンは摂り過ぎてしまってもホルモンバランスを崩してしまいます。
エストロゲンには美容やダイエット効果があって生理不順に良いと言われるけど、プロゲステロンは痩せにくくなるし、浮腫むし、イライラするから…とプロゲステロンは悪者に見られがちです。
プロゲステロンには子宮を軟らかくし、子宮内膜を厚くする、乳腺を発達するという働きがあります。お互いが均衡を図ることによって女性の身体は守られています。
エストロゲンの作用が強すぎると寧ろ生理周期を乱してしまうと言われます。
乳癌のリスクを高める
エストロゲンが過剰になると乳癌のリスクが高まる上、生殖機能にも影響を及ぼしてしまいます。
男性は女性的な体型に…
男性に関しては、イソフラボンの過剰摂取によって精子数の減少を招いて不妊症の原因を作ってしまったり、女性用乳房となってしまい、体つきが女性的になる等の症状が現れると言われます。
目安摂取量
イソフラボンの1日あたりの目安摂取量は70~75mgと食品安全委員会で定められています。
[1] 食経験に基づく設定
日本人が長年にわたり摂取している大豆食品からの大豆イソフラボンの摂取量により、明らかな健康被害は報告されていないことから、その量は概ね安全であると考えました。そこで、平成14年国民栄養調査から試算した、大豆食品からの大豆イソフラボン摂取量の95パーセンタイル値70mg/日(64〜76mg/日:大豆イソフラボンアグリコン換算値)を食経験に基づく、現時点におけるヒトの安全な摂取目安量の上限値としました。
[2] ヒト臨床研究に基づく設定
海外(イタリア)において、閉経後女性を対象に大豆イソフラボン錠剤を150mg/日、5年間、摂取し続けた試験において、子宮内膜増殖症の発症が摂取群で有意に高かったことから、大豆イソフラボン150mg/日はヒトにおける健康被害の発現が懸念される「影響量」と考えました。摂取対象者が閉経後女性のみであることや個人差等を考慮し、150mg/日の2分の1、75mg/日(大豆イソフラボンアグリコン換算値)をヒト臨床試験に基づく、現時点におけるヒトの安全な摂取目安量の上限値としました。上記[1]及び[2]から、現時点における大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値は、大豆イソフラボンアグリコンとして70〜75mg/日と設定しました。
引用元…食品安全委員会Q&A
大豆製品の量に換算すると以下の通りとなります。
食品 | イソフラボン75gあたりの量 |
納豆 | 2パック |
豆腐 | 300g以下 |
きな粉 | 50g以下 |
乾燥大豆 | 2/3カップ |
豆乳 | 200gのものを2本 |
また15歳未満の方や妊娠中及び授乳期には食事と併せてサプリメントでイソフラボン摂取量を増やすのはホルモンバランスの乱れが危惧される為、推奨していないとされています。
大豆アレルギーのある場合はサプリメントや特定保健用食品でもアレルギー症状を起こす場合があるそうです。